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対立のヤンデレ

っと絶望してる暇も惜しい。

傷付けるくらいなら、腕の一本や二本くれてやるさ。さぁ来いよ弓月っ!!



フルスイングで胴を打たれた。

さっきは縦振りだったでしょ!?頭の上で交差させた腕を見て咄嗟に振り替えたよね!?

確実に骨が折れた音を身体の中に響かせながら勢いのまま壁に叩き付けられる。



「がはっ」



肺の中の空気と一緒に血が床を伝う。

痛みで声も出ない俺の頭を優しく、深鈴が撫でてくれた。まぁ正直尋常じゃあない痛みが全身を包んでいて、今にも絶叫したい気分だが、多分悪化するから止めておこう。



「弓月さん。すとっぷ。お兄さん死んでしまいます。多分今のでも肋骨がだいぶやられたでしょうし」


「だって、深鈴ちゃん。知ってるでしょ?あたしの占いは当たる」


「知ってますけれど。もし、お兄さんが死んだらわたしは自分を抑えられる自信がありませんよ」


「へぇ。やる気なの?」


「その時は死体が三つになります。弓月さんを殺してわたしも死にますから」


「ちょ、ふたりとも……ぐっ」


「話さないで下さいお兄さん。お身体に触りますよ……?」



お言葉に甘えよう。話そうと呼吸をしただけで失神しそうになるくらい痛かった。黙ってます。



「……そう、だね。死んだらあたしと結婚出来なくなるし」


「あのお言葉ですが、お兄さんと結婚するのはわたしなのですけれど」


「深鈴ちゃん妹じゃん」


「義理の、妹です。気持ちさえあれば法律なんかクソ食らえですよ」



深鈴さん口が悪いぞおー!!お兄さんは、そんな子に育てた覚えはありませんー!!

……痛みが少しずつ引いて行く。体力を見ると、四分の一程度だったものが半分を越えていて。小さく息を吸うとさっきほどの痛みはもう無くなっていた。



「ちょ、落ち着いてよ」


「お兄さん。お身体に「大丈夫になって来た。凄いだろ俺のバイタリティ」


「凄いね」



と笑顔でバールを振り被る弓月。

え、まだ避けられる程には回復してないんだけども!?



「すとっぷ、ですって」



深鈴の眉間ギリギリで止める。

二人の殺気が辺りを包み、空気が重くなったような感覚が肌を突く。



「……わかった。詳しく、聞くまで生かしといてあげるから、それでいい?」


「……え?ダメな案件ならどうなるの?」


「スイカ割りってしてみたかったんだぁ」


「目隠ししてね?」


「見えないじゃん」


「スイカ割りの楽しみ方を間違ってるぞぉー」



いつも通りにツッコミが出来ないことをむず痒く感じながら、俺は求婚の事について話す事になった。



「バールを下ろしてぇー」


「……仕方ないなぁ」



さて、どうお茶を濁そうか。

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