求婚のヤンデレ
ひーたんに何回も電話をかけても通じなかった。
いつもは向こうからかかってるからか、何故だか寂しさを感じてしまう。
深く考えても原因やら闇はわからない、けど。考えてしまうよな。
「ん……ってうらら?番号を教えた覚えは、ないけど。もしもし」
『え、あっお前の妹は預かったです』
「さっきまで一緒にいたけど?」
『……なーんちゃった。わたくしでした』
「知ってるよ。で、なんで俺のケータイに番号入ってるの?」
『え?心がスって入れましたよ?』
これから貴重品の管理には気を使ってこう。
それで、初めての電話の内容は何だろうか。いつもこの寝る手前の時間はひーたんと話していたし、丁度良かった。
『あのですね、良也さん』
「はぁい」
『許嫁と結婚したくないんです。わたくしもきららも』
「ほう。そりゃあそうだよな」
向こうで、深呼吸が聞こえた気がした。
『わたくしと結婚しません?』
「は、はぁ?」
『セットできららも付いてくる!!お買い得ですよ、良也さんっ!!』
「いや、そうじゃなくてだな」
求婚されてる!?いや、でもうららから二人を攻略しようとは思ってたけども!!思わぬフラグの立て方にちょっと驚きを隠せない。
『答えはまだ、大丈夫ですから。ほら、きららも』
『ふぇ、お姉様っ!?わたくし、は』
「きらら、えっと」
『し仕方なくですから。仕方なくですから!!
でも、あれですわ。お姉様に手ぇ出したら爪先からゆっくりミンチにしますからね』
うーん女の子とは思えない脅し方。
きららは自分でというか事故に見せかけて俺を殺すからなぁ。この前も転んだ拍子にうららのおっぱい触ったら歩道橋から落とされて足の骨が折れたところをロードローラーに踏み殺されたっけ。
『覚悟しとけ!!』
「お、おぉ」
電話が切れた。求婚された、のか。
きららからの好感度もちゃんと稼げているだ。そこは安心したけれど。
ドアをちょっと開けてしまっていたのは、ミスだったなぁ。
「お兄さん」
「はい。なんでしょ「歯を食いしばれ。今からわたしはお兄さんを殴ります」
そう言って包丁を。殴らないじゃないか!!
という言葉が出る前に『妹奥義・鈴鳴ノ帳』で殺された俺だった。




