はっきりとヤンデレに
意識を取り戻すと、俺が色々ぶちまける前にまで戻っていて不思議そうにするひーたんに微笑む。
さっきの言葉はもう言うまい。さっきのヨダレひーたんすげぇ怖かった。
「りょーたんどうしました?」
「何でもないよ。ひーたん」
「……ねぇりょーたん。みんなを幸せにする必要はないんだよ」
目を見ると、瞳孔が開いていて光が失われていた。この目に嘘はつけない。殺される。
残酷だな、選択肢は出ない。
今の俺の考えで生き残るしかないのか。
「いや。する」
「頑固だね」
ひたりと首筋に、カッターの刃が当たる。
怖いけど逃げないように。
ちょっとでも勇気を出して……言葉を紡げ。
「俺が、するんだ。
ひーたん。俺は、傷付いて殺されようと向き合うよ。今の俺は、それをするんだ」
「はぁあ……っ!!偽善者、じゃないんだもんね。本当に綺麗で純粋で。たまにそこが本当に憎たらしくて大好きで真っ直ぐで」
カッターをしまって、いつもとは違う。
綺麗で純粋な微笑みを向けてくれて、心臓が大きく跳ねる。可愛い、んだな。凄く、見惚れる程に。
「りょーたん、顔赤いよ?」
「いや。その、気にしないで」
「ん?わたし、可愛い?」
「……うん、すげぇ可愛いよ。ひーたん」
二人で赤くなって見つめ合う。
そのひと時は俺の本心で心地良い時間だと、思っていた。




