選択肢とヤンデレ
視界の端に、緑のバーと残機が確認できた。
残り99?はぁ?ヌルゲーですかねぇ!!なんて思ってしまう。大抵のアクションならそんだけあれば余裕だろ。今までのゲーム、だって……はぁ。
……常識は、捨てよう。今の状態がどれだけファンキーなのかはわかっているつもりだ。
「おはよう、深鈴」
「お兄さん、遅いですよ」
「え?」
鋭い痛みが全身を駆け巡る。
血が滴る包丁を見て、やっと自分が斬りつけられたのだと理解した。
急に走る痛みに気を失いそうになる。
「いってぇ!?寝坊で、これ!?
深鈴さん怖いっすわぁ!!」
「は?」
「じょーだんです!!軽ーいジョーク!!
いやぁ深鈴は今日もとてつもなく可愛いなぁ!!」
「もう、お兄さんたら」
体力を確認すると、半分も減っていなくて。
嘘だろ?あんなに痛かったのに。
もっと異様なのはゆっくりと増えて行く体力だった。って、自動治癒持ち!?それはそれで化物じゃないの!!
てか選択肢でもない会話でこれ!?ノーマルなギアでこんなに切られるのかよ!!
「お兄さん?」
「うぇ!?」
深鈴の声のあと、時間が止まる。
秒針の音、テレビの音が静止して静寂が包む。
すると目の前に二つの選択肢が現れた。これが、初選択!!
『とりあえず深鈴を押し倒す』
『おもむろに服を脱ぎだす』
「とりあえずおもむろに何してるのかな!?」
でも選ぶしか、無いのだ。
とりあえずおもむろに。