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映画をヤンデレと

休みが二日あって良かった。

溺死未遂を初体験した次の日。俺は今度こそなんとなくの散歩を達成しようと息巻いていたの、だが。



「弓月じゃん」


「偶然じゃん、良也」



玄関でお洒落して待ち伏せてるのは偶然なのか?

でも、まぁ。女の子がお洒落して待っているというシチュエーションは正直嬉しい。



「今日はあたしと出掛けると、運が上がるの。

行こ。良也、もう映画のチケットは取ってあるし」


「お、おう。行くかー」



拒否権はないようだし、とりあえず従っておこう。レンガで殺したりカッターで殺されたりで正直なところ弓月とのフラグをあまり立てていないなぁとは思っていた。だからちょうどいいかな。

横で機嫌良さそうに揺れる赤髪のポニーテールがとても可愛らしい。

……ツンヤンデレなのかな?

探り入れてみるか。この場合は……。



「俺と出掛けるの嬉しかったりする?」


「なっ!!そんなこと、あるんだから!!」


「あるんだぁ」


「もう、知らないんだから」



耳まで赤くなって可愛いじゃないの。でも、デレてる暇はない。

俺は、この子の好感度を操作しないといけない。気を張れ……俺!!好感度がカンストしていて大事過ぎるなら、少し下げて傷付けられないよ!!なレベルまで下げる。

それが俺なりのヤンデレ攻略法。嫌われるのは嫌だけど仕方ない。



「弓月」


「なに?」


「今日、凄い可愛いよ。パンツは何色かな」



どうだ!!これを言われて喜ばれる女子はいるまい!!しかも紳士的に褒めた後のこの落差でもう弓月は俺の事を嫌うはずだ!!



「あ、ありがと。えっと、ピンクかな」


「……ぶぶぅ」


「良也!?」



おっと危ない鼻血が服に付くところだった。

って答えちゃってるよ!!ツンヤンデレどころじゃないよ!!デレデレデレじゃんか!!可愛過ぎるぜ弓月ー!!

俺が心情荒れまくりでついた劇場は町にある大きな映画館で中には人が溢れかえっていた。



「弓月、何番シアター?」


「えっと。一番だね。『12日の木曜日〜シリアルキラーは夢を見る〜』ってゆう奴」


「……くっそ面白そうっ!!」


「でしょお?」



その時、弓月が人混みに流されバランスを崩す。

目の前に現れた選択肢を『手を伸ばして支える』と選択して弓月を支えた。



「あ、ありがとう」


「気をつけて、な。映画まで時間あるなら色々買おうぜ」


「あたしが選んであげるっ」


「おー頼むわ」



って俺いちゃいちゃしてんなよぉ!!

さっきの頭の中でのあれはどうした!!……とは言っても。



「早くしないと!!」



楽しそうに笑う弓月を見てると。

そんな気も失せてしまう。俺はまだまだ、甘い奴だと改めて実感する。

ついていこうとする俺の手を、誰がが掴んだ。



「良也さんじゃないですかぁ」


「どこにでもいるな……お前はプランクトンですか?」



振り返らずともわかる。

それよりも、目の前で目が死んでゆく幼なじみに俺は頭が痛くなってきていた。

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