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ツイン・ヤンデレ

土曜日か……俺かと石動良也の趣味は何だろうと部屋を見ても何もないんだよなあ。趣味なし、とか何してたのか。

まぁ、いいや。今日はギャルゲーの主人公らしくヒロインの好感度をあげるとしよう。



「深鈴ー」


「なんですか、お兄さん。今日は忙しいんですけど」


「あっ」



記憶が流れ込んでくる。

そっか、深鈴は売れっ子作家だった。ドラマ、ラノベ色々書いているオールマイティな作風で。確かペンネームは『深也しんや』だったか。



「ごめん、締め切り近いのな」


「はい、すいませんお兄さん。また散歩ですか?お気をつけて下さい」



また、記憶がって!!俺の趣味散歩やん!!おじいちゃんかな!?いや、うん。健康的で良いね。



「深鈴も、無理はダメだからな?」


「はい。ありがとうございます、お兄さん」



微笑む深鈴、可愛いなぁ。

そんなことを考えながら家を出る前にちゃんと占いをチェックする。……ラッキーカラー赤ね。パンツ赤いからいいだろ。

家を出たが、弓月とひーたんの姿はない。



「休日まで、張ってないか」


「出たな、不審者」



家を出てすぐに伊澄が現れた。音もなく気配もなく、流石というか何というか。



「家から出ただけなのに!?」


「きょろきょろして、溜め息ついてニヤついたら不審者だろ」


「うぅーん!!あながち否定できないっ!!」


「はぁ……ついてこい」



凄く嫌そうだなあ。でも、特に予定もないしついていく事にしよう。

伊澄に呼ばれたということはうららもいるのかな。とりあえず黙ってついて行こう。何言われるかわからんし。



「……何か話せよ」


「えぇ……話したらうるせえって言うじゃん、伊澄よー」


「ちっ……」



うぁー早くうららのとこ連れてけよー!!

この空間に耐えられないんですけど!!少し歩いていると黒光りするリムジンがあって、顎で乗れと指示される。

仕方ないなぁ、と溜め息をついて扉を開け

乗るとうららが居た。



「良也さん」


「うらら、と?」



同じ顔?いや、うららのふんわり空気を切り裂くような鋭い視線。良く見たら目の色が違っていて、その翠の目で俺をじぃっと見て鼻で笑う。



「彼ですか」


「う、うん。石動良也さん」


「えっと、こんにちは」


「冴えないモブ男って感じですけど」



伊澄もそうだけどさ、言い過ぎじゃない!?俺にだって心はあるのよ!!しかも鋼のメンタルじゃあないしね!?

扇子を乾いた音を鳴らして開き俺を指差す。



「私は千堂院きらら。お姉様の双子の妹ですわ。

貴方、泣かせたらしいですね?お姉様を」



この、目は。

嘘だろ、マジか。うららの周りに二人のヤンデレだと?

この状況は危ないぞ。

うららは俺とひーたんの事で泣いてしまっていて、それをきららと伊澄は良く思っている訳がない。



「俺はっ……て選択肢か」



『ひーたんとの関係を否定する』『思い切って逃げる』か。逃げられるなら逃げたいけど。鍵を確認すると開いているように見える。

否定して「貴方、関係もない女性に彼女とか思わせぶりな事を?その片手間でお姉様を?」とか言われそうだし。

逃げてみようか。試しに。残機にはまだ余裕があるし。



「さらばっ!!」



ドアを開けて、逃げる事には成功した。

ってマジか逃げられちゃったよ!!走りながら後ろを見てみると。



「はぁ、ボクの手を煩わせないでよ」



腰に入った飛び蹴りで思い切りバランスを崩し、転倒してしまう。全力疾走からの、これは息が崩れる。くそ、呼吸を、整えろっ!!

ずるずると引き摺られながら、さっきのリムジンへと戻される。



「で、貴方。お覚悟はよろしくて?」


「全然です」



扇子を鳴らして俺を叩く。

そして誰かに頭を殴られて、目の前が暗くなる。

最後に見たのは涙を流して謝るうららだった。

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