お願いっヤンデレっ
ひーたんの目線が途切れない。
どこにいても、見られているような気がして、これはどうすればいいのか……!!
おお、助けてくれるのか選択肢!!どれどれ。
『身体を捧げる』か『命乞いをする』か『誤魔化す』……ね、ふむふむ。
「死亡フラグ多くね!?」
身体を捧げても生き残れないのは経験済みだし、誤魔化すってことはうららと何かあるのを認めた事になる。さすれば、一つしかないが。
『命乞いをする』を選ぶと、後ろに冷たい殺気の元が来たようで背筋が凍る。
「りょーたん」
「はぁい、ひーたん」
後ろは見えない、が!!経験を活かして前に飛んでみた。空を切り裂く音とひーたんの舌打ち。
ちょっと問答無用ですか!?
「聞いてくれ、ひーたん」
「……聞きましょう、二文字まで」
「短ぇ」
「終わりです」
「も、もう一回慈悲を!?」
頷いてとうぞと手を差し出す。
どう伝えるよ、てか二文字までって!!ポケベルでももっと送れたよ!!このご時世に伝わるかよ、二文字で!!
「誤解」
「詳しく」
よしっ!!詳しく来ましたっ!!
えーと伝えるのは、うららとは何ともないことだよな、つまり簡略的にしかもひーたんの心を動かすように!!
「これはひーたんの為なんだ!!」
「続けて」
「ひーたんを支えるためには、色々出来る男にならんといけないわけで、だから帰国子女と絡んでワールドワイドになろうとしたわけよぉ!!だからそのカッターをしまっていつもの可愛いひーたんに戻ってくださいお願いします」
「なるほど」
腕を組んで、考えてひーたんはカッターをしまう。やったあ!!武器をしまったぞい!!
ひーたんは可愛い笑顔で俺の制服をつまんでもじもじと身をよじる。
「もう、りょーたんってば。わたしの為にそこまで……素敵だなあ好きだなあ」
「だ、だろう?」
墓穴は掘った気がするけど。とりあえず命は繋いだぜ!!背に腹は変えられないように命より大事なものはないんだぜ!!
「あ、良也さんー」
「けっ。またですかお嬢様。それよりもボクとトランプやりましょう」
「あ、うららジャナイカー」
横で笑っているひーたんの爪が皮膚に食い込んでめっちゃくちゃ痛いんですけど!!なんてタイミングで来ちゃうかなぁ!!
「どうしました?すっごい脂汗」
「ソウカ?」
「はい。心、ハンカチ」
伊澄の出したハンカチで俺の汗を拭いてくれる。
有り難いけど、逆効果ぁああ!!!!
太ももにカッター刺さってますから!!流血でバレるよひーたんんん!!
「あれ、日比野さん」
「そうです、りょーたんの彼女のひーたんですけど」
「あ、彼女?あ、そう、なんです、か」
その反応は何だ?
それを見てひーたんがまた手に力を入れる。
俺を見て、ひーたんを見て。
泣いて去ってしまう。
「りょーたん」
「ははは。話を聞いてくれ」
「ふふふ」
カッター二刀流!?
俺は必死に逃げて、体力が点滅しようとも逃げて何とか生き延びる事が出来た。
ひーたんは「いいですよ、わたしのりょーたんなのには変わりないです」と笑っていた。
さっきの、うらら。
あれは……どうゆうことなのだろう。
気付くわけもない。これから俺は、もっと大変になるという事には、気付くわけもなかったんだ。




