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『1』end 応えることで果たす約束

ふらふらと歩く弓月の肩を叩くと、振り向いてくれる。そして何故か大粒の涙を溜めて抱き付いてきた。



「え、弓月?」


「大丈夫?良也?誰かに虐められた?嬲られたの?」


「嬲られてはないよ……って、なんで?」


「辛そうだから」



あぁーもう。しっかりしろ俺。どれだけ見抜かれれば気が済むってんだよ。



「大丈夫だって。ちょっと、弓月と話したかったから声掛けただけ」


「うんっいいよぉー日が変わるまでお喋りしよっ」


「それは、ちょっと長いかなぁ……」


「うゔっ」


「あぁー!!泣かない泣かないっほら、俺の部屋行こうぜ?」



部屋に背中を押して行くと、入った途端押してた腕を取られて背負い投げでベットに倒される。

瞬時に馬乗りになった弓月は舌をぺろりと出して俺を見ていた。



「……この状況は?」


「簡単だよ。あたしが、辛い事もぜーんぶ忘れさせてあげるからね。

その為には辛くない、幸せな気持ちにならなきゃいけないんだよ?」


「そりゃ、そうだろうけどさ。なんでベルトを外そうとしてるの?」


「だって邪魔でしょ?」


「な、なんでブラのホックが外れないなぁ……みたいなもどかしさを感じた顔をしているの?」


「良也童貞だから上手く外せないでしょ?……あ、取れた」



服の上からでもわかる。

胸が一気に重力に素直になった瞬間を、見てしまった。流石にそんな瞬間を見たら男子高校生なら誰もが正気を失い掛ける。



だが、俺はそうはいかない。



だって扉の隙間から深鈴やらみんなが見てるし!!目がもれなく全員座ってるし!!



「はぁ……もう、あたしも甘くなったなぁ」


「へ?」


「みんな、入ってよ」



気付いてたのかよ!!ぞろぞろと入ってくるみんな……って何故か全員鼻息が荒いですよ!?

深鈴よだれ垂れてる!!心は脱ぎ出す姉妹の服を丁寧に畳むのやめて!?



「じゃんけんで、いいでしょ?」


「チャンスは均等に、ですね。仕方がありません」


「お姉様、勝ったらわたくしが譲りますからね」


「きららったら、正々堂々ですわよ?」


「お二人に、譲らないと……でも、ボクだって……うーん」


「ちょ、待ってよ!?」



全員の目線が俺に向く。

ひぃっ!?やっぱり背筋が凍るような謎の怖さがある!!



「え、童貞争奪じゃんけん?」


「ですね」


「勝った人と……するの?」


「そうだね」


「他の人は?」


「順位付けて待ってますわ」


「……ちょ、避妊「いりませんわ」


「危ない日だったらどうす「危ない日だよ、みんなね」



えぇ……?

逃げ場もなく、みんなは授かる気満々?



「でも、さ……?」


「「「「「全員好きなんでしょ!?黙って抱かれなよっ!!!!」」」」」


「は、はい……」



勢いに負けて返事したが。

俺は、確かに喋りすぎだ。みんなの想いに答えるんだ。黙って、応える。



想いを受けて、応える。

しかもそれが五人だ。頑張って、必死で。



これからの人生を全うする。



約束したからな。



ーーーー『応えることで果たす約束』normal end



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