『2』想いを、伝えて
「死のうとしてたの」
その一言が胸に重くのし掛かる。
知っていても、ここまで辛く重いものなのか。
「りょーたんの邪魔になるから」
「俺は、そんなこと言ってない」
「なるよ。わたし、かぁってなると何だかよくわからなくなる時があるの。自分でそれをどうしようも出来ないから。
だから、わたしはりょーたんの邪魔にならないように死のうと思った」
本当に、極端過ぎなんだって。
邪魔だなんて誰が言った。俺が、いつひーたんを邪魔扱いした?
「俺は、ね。ひーたん」
「うん」
「君がいないと、寂しいよ」
「え?」
この言葉を伝えなかったから、こうなってしまったんだろう。
俺が自分を邪魔だと思っている。そんな思い込みで自分を殺してしまったのは。たったそれだけの原因だったと、確信していた。
「りょーたん……ほんと?」
「ああ。俺は、ひーたんを邪魔とか思ったことは一度もないよ」
「え、ふぇ……?わたし、りょーたんと居ていいんだ」
「そりゃそうだ。俺には、ひーたんが必要なんだよ。居なくなったら、泣いてしまうくらいに、寂しいよ」
乾いた血溜まりの中で倒れていた姿がフラッシュバックして、気分が悪くなる、が口を止めない。
「だから、居てよ。ひーたん」
「ぐっ……ひぐっ……」
大粒の涙を流して、真っ直ぐに瞳を見つめてくる。逸らさないで受け止めて、もう離さないように捕まえておかないと。
「わからないかも、しれないけど。
俺は……結構。ひーたんの、こと好きなんだよ」
「ちょっと、待った」
え、涙引っ込むの早っ!!
手を握ったままそこを抱くようにして身を捩り始める。
「好きなの……?」
「う、うん」
「わたしも大好きぃぃぃ!!!!」
飛びかかるように抱き付いてくるひーたんの頭を撫でる。……まぁ、あの結末よりはマシだ。
それからしばらくは興奮状態のひーたんを宥めるだけで随分と時間を使う俺だった。