第4話 異世界へ
遂に始まった異世界編です。
今までは現実世界での話でしたがここからは異世界です。
よって魔法もあります!
また、現実世界での話しは後々また出てくることになると思うのでよろしくお願いします。
「ここは・・・・・・どこだ?」
目を覚ますと少年はベッドの上にいた。
肩まで伸びたその黒髪は、きれいに整えられていた。
そのせいか、少し少年というより少女な感じもする。
また体つきは細く、何処か頼りない雰囲気を醸し出していた。がそれ以上に何か強いものを感じられた。
スゥ、と少年体が起き上がる。
そして。
自分が今いる場所に妙な違和感を感じた。
(さっきまで俺は……)
ズキン!
思い出せそうになった瞬間、頭に亀裂が走るような痛みがあった。
「クッ、ウウゥゥゥゥ!」
少年の口から苦痛の声が放たれる。
頭痛は強まり、視界が揺らぐ。
世界の上下が反転した。
バタッ。
それは少年が床に落ちた音だった。
あまりの痛さにもがいていたらベッドから落ちていたのだ。
「いたたっ。一体……!?」
そこまで声にして気づく。頭の痛みが消えていることに。
そしてもう一つ気づく。
銃。
銃が壁に掛けてあったのだ。しかも猟銃だ。
しかし、今時猟銃なんて面白い趣味だと少年は感心した。
しばらく見ていた少年はゆっくりと猟銃に手を伸ばす。
そしてその手が遂に猟銃に触れる
思い切って手に持ってみると予想より重かったのか体がふらつく。
そしてもう一つあることに気がつく。
「あれ、この銃トリガーがない」
これどうやって撃つんだ? と猟銃を構えてみていると、タイミングでも見計らったかのようにギィィィィィという音と共に扉が開いた。
「「・・・・・・」」
一瞬の沈黙。そして・・・・・・
「なっ、何してんのよおぉぉぉぉぉおおお!!!」
と、この家の主であろう中年の女性、俗に言うおばさんが猟銃を構えていた少年をみて暴れだす。少年はえっ何!? 何なの?と一瞬困惑するが、自分が持っているものを見てすぐに事態に気づいた。
「うわあぁぁああ! すっ、すいません! これは、その・・・・・・」
「いいからその銃しまって! 早く!」
(やっ、やばい!わっ、わわ。どうしよう)
「えっ、だからその・・・・・・この銃なんかへ『バヒューーン』って、うわあぁぁぁ! 何ナノコレ」
パニックがうつった少年はおばさんの命令なんかには気がつかず・・・・・・
『バヒューーン』
猟銃からレーザー?のようなものが発射された!
「いっ、いいから『バヒューーン』銃を『バヒューーン』ひいぃぃ!」
「えっ!? 銃を? 何!?どうしたら『バヒューーン』」
「放して!!!」
コトンと、銃が床に落ちる音がした。同時にレーザー?の音もなくなり部屋は静寂に包まれた。
しかし、音が無いのも無いのでなかなか怖いものだ。
少年も例外ではなかった。
目線が不規則にゆれる。
そして気がついた。
傷が無い。
壁にも。
床にも。
天井にも。
そして何より。
目の前にいたおばさんにも。
改めて周りを見てみるとやはり部屋の中は傷一つない。仕組みはわからないが、アレは間違いなく銃の一種だろう。そんなものが乱射されて無事なはずがない。が、やはり部屋には傷がないのだ。
「あ、あのぉ」
少年は顔を強張らせながら中年の女性ことおばさん、もとい家主に問いかけた。
「なんだい。ビビッてないで早く言いな。防御結界のおかげで家は大丈夫なんだ。あたしゃ怒りやしないよ。」
おばさんは、それに怪我もなくてよかったわ、と付け加える。
(しかし、あの子どうして・・・・・・。まっ、そんなことは後で聞けばいいわ。)
と少年が何か言おうとしていたのを忘れて一人考え事にはしるおばさん。
「おばさん、ちょっと・・・・・・」
けっかい? 何ソレ? ていうか神って言った!? 少年は完全にパニック状態だった。
「おばさんじゃないよ」
「す、スイマセン!」
即答には即答返しと言わんばかりのスピードでペコリと頭を下げる少年。
「あたしゃ、ブリギッドって名前があるんだ。」
「はい。ブリギッドおばさん!」
やれやれ、といった表情で笑みを浮かべるブリギッド。少年もニコニコと笑っている。
しかしそれも束の間。
はっ、とブリキッドの表情が変わった。さっきまでとは打って変わって、真剣な目つきになる。具体的には、そう。母親が子供にお説教をするときの顔だ。
ゴクリ。少年は息を呑んだ。これからおきるであろう出来事に対して心の準備をしていた。
「あんた・・・・・・あたしに言うことがあるんじゃないの?」
「・・・・・・ご、ごめんなさい」
少年がそう言うと、ブリギッドは優しく笑みを浮かべた。そして、少年の方は、おこられるぅ〜、などと身構えていたのでその反応に驚きを隠せず、ポカンとしている。
「・・・・・・えっ?」
少年の口から疑問が発せられた。不意を突かれた、とでも言うべきか。
「な〜に、そう怖がらなくてのいいさ。あんたは素直に頭を下げられるいい子さ。」
そう言いながらブリギッドは少年の頭を撫でまくる。少年の顔にも笑顔が戻っていた。
少年の頭をあまりにも強く撫でたせいか、少年の髪の毛は崩れてぼさぼさになっていた。
そしてそれが、なんだかやんちゃ男の子と言う彼本来の姿を表現していた。
クスッ、と少年が笑った。
「苦しい……かも」
「あらあら、ごめんね。」
謝っても撫でるのはやめない。それだけ、子供好きなブリギッドだった。
ところで、とブリギッドが切り出す。
「あんたの名前、聞いてなかったね。名前はなんて言うんだい?」
純粋な疑問。確かに少年の名前は誰も知らなかった。
しかし。
「グッ、グウゥゥゥウウウ!!!」
先ほどよりもさらに強烈な頭痛が少年を襲う。
ギリギリと頭蓋が砕けそうだった。
またしても視界が揺れる。
その揺れは段々大きくなり立っていることさえつらいほどだった。
遂に少年はバランスを保てなくなる。
だが、倒れない。
少年の体には、ブリキッドの腕が優しく巻きついていた。
そして、少年は最後の力を振り絞って言葉をつむぐ。
「……て、天井……優紀…です」
そして。
少年、いや天井優紀の意識は途切れた。
突然の頭痛に倒れる少年、天井優紀。
次回その真相が少しばかし明らかに!?。