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プロローグ
「シバ様」
その女は、シバと呼ばれた男が寝ているベットへと大股で歩みよってくる。
豪華な装飾が施されたベットである。
シバは気怠るそうに、彼女に目を向けた。
「……何かあったのか、ミリス?」
ミリスは掛けていた眼鏡を指で押し上げて、持っていた資料を読み始める。
「……城門に、女たちがシバ様に会わせろと」
「あ~。いい、いい。そんなのほっときゃいいって」
「ですが……」
ミリスは困った、というように眼鏡を中指で掛けなおす。
「正直言って、ここの生活飽きたんだよね」
「シバ様に変わられて、二千年と五百年と少しになります」
「ずっとおんなじ生活してるからな、飽きるのは当たり前か」
シバは、ミリスの返事に何かを考え始める。
「……あ、そうだ!」
「なんでしょうか?」
「実は、今思いついたんだけど……」
シバの提案に、ミリスは驚きを隠せなかった。
「……し、しかし!」
「これが俺のやり方だ。つまり……優勝者が次の魔王だ」