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ピタゴラスちゃんのジレンマ  作者: 伊吹 由
第1章 犯人を追え!
5/41

番外編①  ブラジャー・パラドックス事件

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

前回までのあらすじ


私、ピタゴラス。この物語の主人公。


3月14日、早朝。憧れのルブラン君の靴箱の中に、ラブレターを入れようと思ったら・・・すでに誰かのラブレターが入っていた。


それを盗み取った私は、こっそり中を読む。手紙の内容から、これを書いた人物(犯人)は数学倶楽部の部員で間違いない。


同じ数学倶楽部のデカルトちゃんとラッセルちゃんは犯人でないと確信した私は・・・この2人と共に、真犯人を探し出そうとする。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   番外編①  ブラジャー・パラドックス事件


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今から1年以上前。


私が高校入学したての頃、その事件は起こった。


【現代組】所属のラッセルちゃん。昔から自分より胸が大きい子を見ると、ブラジャーをハズしたくなる衝動に駆られる子だった(これは本人も認めている)。


ある日彼女は


みずからブラを脱ごうとしない子から、強引にブラをはぎ取る僕】


の存在について考えてみたらしい。そして、本人曰く


「僕も【自らブラを脱ごうとしない子の集合】に属している」


との事。そうすると、どういう事が起こるか?


「僕はブラを脱ごうとしない女の子から、強引にブラをはぎ取るから・・・

 自らブラを脱ごうとしない僕自身のブラもはぎ取らなければいけない。


 でも、そうすると・・・ 自らブラを脱いでいる事になってしまう。

 すなわち、自らブラを脱ごうとしない事に反し、まさにパラドキシカル!!」


自己存在のパラドックスに直面した彼女は興奮し、あろうことか・・・


みずからブラを脱ごうとしない子から、強引にブラをはぎ取る僕】


を【実践】する事に。本人曰く、それも立派な哲学的実践だとか?


とはいえ、そのためにやるべき事といえば・・・



・・・ ・・・。


最初の【犠牲者】は、同じクラスのカントールちゃんだった。ラッセルちゃんは彼女に・・・


「ねぇ、ブラとって」


と言った。


「は? 何言ってんの? 嫌に決まってるじゃん!」


というカントールちゃんの返しに対し・・・


「ふ・・・ 自らブラを脱ごうとしないってわけね・・・」


ニヤリと笑ったラッセルちゃん。カントールちゃんの背中に忍び寄り・・・


「3!」


彼女のブラホックを、一瞬でハズしたかと思うと・・・


「2!」


まるでマジックのように、ブラジャーをはぎ取った。


「1!」


目撃者の証言によると、ラッセルちゃんは奪い取ったブラを高々と持ち上げ・・・


「ラッセル、ラッセル~♪」


と、勝利の雄叫びをあげていたそうだ。


「これで僕は、パラドキシカル! ラッセル、ラッセル~♪」


彼女曰く


「僕にかかれば、どんなブラだって・・・

 3ステップでハズせるのさ!!」


との事。そんなスキル、人生に必要か?


こうして・・・


彼女自身、パラドキシカルな存在になりたいがため(本人は、哲学的真理探究実践だと)・・・


クラス中の女の子を巻き込んだ【ブラジャー・パラドックス事件】、通称【ブラパラ事件】が勃発。


この事態を収拾しようと動いたのが、同じクラスの学級委員長・ヒルベルトちゃん。


「は? ブラはずせ? あなた、気は確か?

 そんなね、クラスの秩序を乱す生徒の言う事なんて・・・」


矛盾のない、完全なクラス体系システム作りを目指していた学級委員長も・・・


「自らブラをハズす気、無いわけね・・・」


「当たり前でしょ! 完全な・・・」


「3! 2! 1!」


言わずもがな。2人目の犠牲者となった。


「ラッセル♪ ラッセル~♪」


そしてクラスの女子達は、次次とラッセルちゃんの毒牙にかかる。


「ブラとって!」


の要求に対し


「いや!」


と言う女子のブラをはぎとっては


「ラッセル♪ ラッセル~♪」


勝利宣言と同時に、ブラを高々と持ち上げる。パラドックス以前に、もはやただの変態だ。


「ブラとって!」


このラッセルちゃんの理不尽な要求に・・・


「いいわよ」


唯一「Yes」と言ったのが、ラマヌジャンちゃん。


「じゃぁ、取るね」


という彼女に対し


「あ! 待って! いい! あんたじゃ、パラドキシカルに反する!!」


初めてうろたえたラッセルちゃん。矛盾に反するというのも、変な話だけど?


こうして・・・


ラマヌジャンちゃんを除く【現代組】の女子全てが、ラッセルちゃんの犠牲になった。


「ラッセル ラッセル~♪」


やがて【現代組】の女の子達だけでは飽きたらず・・・ 他のクラスの女子を標的にし始める。


【古代組】に侵入したこのテロリスト・・・ いや、エロリストは・・・


私と相対あいたいした。


「・・・ ・・・」


彼女は私の胸をじっと見つめた後、こう言った。


「ブラ、必要?」


これがラッセルちゃんにかけられた、最初の言葉。


「は!? Cあるから!!」


そしてこれが、私からラッセルちゃんにかけた最初の言葉。


「C?」


「あ・・・ ホントは、B・・・ プラス・・・

 Bプラスよ! 四捨五入してCよ!!」


「Bプラス? それ以前にさ・・・ おっぱいに、四捨五入ってあるの?

 言うなれば、四捨五乳ってか? ラッセル、ラッセル~♪」


「な、何よ・・・ 人のおっぱいをネタにして・・・」


不意にラッセルちゃんの目が、キラリンと光ったかと思うと・・・


「ぶっちゃけ言うけどさ・・・ Aでしょ?」


自信満々でそう言ってきた。


「は!? Bあるし!!」


「じゃぁ、ブラとってよ」


「はぁ!? 頭おかしいんじゃないの?

 なんで、ブラとる必要があるわけ?」


「ふ~ん。じゃぁ、あなた・・・」


この当時はお互い名前も知らない。


「自ら、ブラを取ろうとしないわけね?」


「あ、当たり前でしょ!?

 あんただって、ブラ取りなさいって言われたら・・・


 取らないでしょ!?」


「うん♪」


あの時の嬉しそうなラッセルちゃんの顔・・・ 忘れたくても忘れられない。【ヤ】な意味でね。


「3・・・」


「?」


ラッセルちゃんは、突如・・・


「2・・・」


カウントダウンを始めたかと思うと、私の背後に忍び寄り・・・


「1! ラッセル♪ ラッセル~♪」


瞬殺でブラホックをはずし、ブラジャーをはぎ取った。


「き・・・ きゃ~!!」




この後、どうなったかって? 


私の口から言いたくないし、言えるわけがない。それは読者の想像に・・・



・・・ ・・・。


事件から数日後。私は数学倶楽部に入部するため、その部室を訪れた。


そこでラッセルちゃんと再会する。


「お? 古代組の・・・ えっと・・・」


彼女は私の胸を見て、何かを思い出した。


「そうだ! ピタ子! 【古代組】のピタ子だ!!

 正真正銘のピタ子だ!」


いや・・・ そんなピタ子ピタ子、言わなくても・・・


「・・・ ・・・」


あんただって、胸ピッタンコじゃん。私は失礼かなと思って、触れないでいるのに。


「すでに証明済みだもんね~。ラッセル♪ ラッセル~♪」


このセリフ・・・ ブラをハズされた後の事、少し想像できるだろう。


前述したけど、ラッセルちゃんはつるぺたピッタンコ。すなわち学校1の貧乳だ。


【自分より胸が大きい子のブラをハズす】かつ【学校1の貧乳】=【無差別エロ】


この等式は、【現代組】で【ラッセルの法則】とよばれている。【ド・モルガンの法則】よりも自明で、本人以外周知の公式なんだって。


そんなつるぺたピッタンコののラッセルちゃんに・・・


「ラッセルちゃんこそ、ブラいらないから」


なんて言おうものなら・・・ 


「あなたこそ、ブラ、必要なの?」


となり、あの悪夢の繰り返しになってしまう。そんなラッセルちゃんが・・・


数学倶楽部の部長だったのには驚いた。


「僕、集合好きだから」


よくわからない動機で、自ら部長に立候補したらしい。基本、数学倶楽部の人間は自分の研究にしか興味がない。倶楽部会議で集合に興味あるという彼女以外、立候補する人も推薦される人もいなかったとか。


「じゃ。僕、部長ね♪ ラッセル、ラッセル~♪」


こうして我が聖フィロソフィー学園、数学倶楽部の部長に・・・


「集合に必要なのは【エレメント】!

 ん~。何かエロい響きだね~。


 じゃ、もう1度~ エレメント!」


エロオヤジが就任したというわけだ。


人のブラをハズすのが趣味・・・


そんな子が上の立場に立つなんて、どんな混乱を招くだろう。


そう思っていた私だが・・・


ラッセルちゃんこそ、部長にふさわしい。


だんだんそう思うようになってくる。これから先を読んでもらえれば、みんなわかってくれるだろう。


そしてもう1つ。


後に私は・・・ 


このラッセルちゃんの【驚くべき事実】を知る事になる。



             (第5話へ続く)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回予告


私達3人は、【from Π】を見つめながら議論する。


この記号、部長は円周率だというんだけど・・・?


まさか・・・?



次回 「 第5話  パイからの手紙 」

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