第2話 数学ガール?
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前回までのあらすじ
私、ピタゴラス。この物語の主人公。
3月14日、早朝。憧れのルブラン君の靴箱の中に、ラブレターを入れようと思ったら・・・
その靴箱の中に、何者かのラブレターが!?
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第2話 数学ガール?
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「・・・ ・・・」
靴箱の中を覗き込みながら、私は思う。
「ありえない・・・」
私は昨日、最後に学園を出た。警備の人が出入り口のカギを閉める直前まで、目の前の靴箱に三角定木をあてている。
ルブラン君がラブレターに気づいた時、最もインパクトを与えるため・・・
【靴箱に対するラブレターのサイズは、どんな比であるべきか?】
この問題を必死で考えていた。
「あの時、上履きだけだった・・・」
このラブレター、昨日はなかった。だとしたら今日・・・
「私より、早く来た人が?」
リーン・・・ ゴーン・・・ カーン・・・ ゴーン・・・
7時ちょうどのチャイムが鳴り響く。
ガチャリ。
「!?」
学生用入り口が開いて、誰かがが入ってきた。反射的に身をかがめた私は、音のした方へ視線を向ける。
「カントちゃん・・・」
視線の先には、【近代組】のカントちゃんがいた。彼女は毎日同じ時間、ちょうど7時に登校してくる。
「ど・・・」
パニクった私。出そうになった声をのみ込んだ。
「あら~ こんな朝早く、珍しいわね~ デカちゃん」
1つ向こうの靴箱で、カントちゃんの声が聞こえる。
「ど、どうしよ・・・」
私は思いがけず・・・
「・・・ ・・・」
靴箱に入っていた、何者かのラブレターをわしづかみにした。
パタン。
静かに靴箱を閉めると・・・ カントちゃんに見つからないよう、足早にその場を立ち去る。
「・・・ 誰が?」
主のわからぬラブレターを握りしめ、自分の教室【古代組】へと走っていった。
・・・ ・・・。
教室にカバンを置いたあと、トイレへ駆け込む。誰もいない個室に入ると・・・
改めて
【ルブラン君へ】
何者かのラブレターを凝視した。
「・・・ ・・・」
裏を見ると
【from Π】
そう書かれている。【Π】? 何? なんて読むの?
「・・・ ・・・」
封を開け、中身を取り出した私。中にはたった1枚、真ん中2つ折りの便せんがあるだけ。
「・・・ ・・・」
人のラブレターを盗み見る事に抵抗はあるけれど・・・
「・・・ ・・・」
私はそれを広げ、読み始めた。
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愛しのルブラン君へ
毎日学園の窓から、あなたを見つめています。
もっと、あなたの近傍に入りたい。
私の心はあなたに収束中・・・
限りなく近付いていけます。
メールアドレスを教えてくれたら・・・
毎日メーラー展開します♪
今日の放課後、校庭裏のポール公園にいます。
トイレ近くのベンチまで来て下さい。
時間は5時13分でどうでしょう?
私、12分までにいておきますから。
それじゃ、放課後・・・
お会いできる事を信じて、お待ちしております。
P.S.
あなたにとって、十分である必要はないけれど・・・
あなたにとって必要になれれば、私は十分です。
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「・・・ ・・・」
そのラブレターを見て、呆然とする。
「なんて、センスのいい・・・」
そして・・・
「これならルブラン君を、落とせる」
心からそう思った。それと同時に確信する。
「手紙の主は・・・」
【数学倶楽部】の人間だ。間違いない!
恋敵は・・・
私の所属する【数学倶楽部】にいる。
(第3話へ続く)
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次回予告
手紙の主は、私の所属する数学倶楽部にいる。
そう確信した私は、授業が終わった後・・・部室を探ってみた。
次回 「 第3話 数学倶楽部 」
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