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ピタゴラスちゃんのジレンマ  作者: 伊吹 由
第1章 犯人を追え!
2/41

第2話  数学ガール?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

前回までのあらすじ


私、ピタゴラス。この物語の主人公。

3月14日、早朝。憧れのルブラン君の靴箱の中に、ラブレターを入れようと思ったら・・・


その靴箱の中に、何者かのラブレターが!?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第2話  数学ガール?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「・・・ ・・・」


靴箱の中を覗き込みながら、私は思う。


「ありえない・・・」


私は昨日、最後に学園を出た。警備の人が出入り口のカギを閉める直前まで、目の前の靴箱に三角定木をあてている。


ルブラン君がラブレターに気づいた時、最もインパクトを与えるため・・・


【靴箱に対するラブレターのサイズは、どんな比であるべきか?】


この問題を必死で考えていた。


「あの時、上履きだけだった・・・」


このラブレター、昨日はなかった。だとしたら今日・・・


「私より、早く来た人が?」


リーン・・・ ゴーン・・・ カーン・・・ ゴーン・・・


7時ちょうどのチャイムが鳴り響く。


ガチャリ。


「!?」


学生用入り口が開いて、誰かがが入ってきた。反射的に身をかがめた私は、音のした方へ視線を向ける。


「カントちゃん・・・」


視線の先には、【近代組】のカントちゃんがいた。彼女は毎日同じ時間、ちょうど7時に登校してくる。


「ど・・・」


パニクった私。出そうになった声をのみ込んだ。


「あら~ こんな朝早く、珍しいわね~ デカちゃん」


1つ向こうの靴箱で、カントちゃんの声が聞こえる。


「ど、どうしよ・・・」


私は思いがけず・・・


「・・・ ・・・」


靴箱に入っていた、何者かのラブレターをわしづかみにした。


パタン。


静かに靴箱を閉めると・・・ カントちゃんに見つからないよう、足早にその場を立ち去る。


「・・・ 誰が?」


主のわからぬラブレターを握りしめ、自分の教室【古代組】へと走っていった。



・・・ ・・・。


教室にカバンを置いたあと、トイレへ駆け込む。誰もいない個室に入ると・・・


改めて


【ルブラン君へ】


何者かのラブレターを凝視した。


「・・・ ・・・」


裏を見ると


【from Π】


そう書かれている。【Π】? 何? なんて読むの?


「・・・ ・・・」


封を開け、中身を取り出した私。中にはたった1枚、真ん中2つ折りの便せんがあるだけ。


「・・・ ・・・」


人のラブレターを盗み見る事に抵抗はあるけれど・・・


「・・・ ・・・」


私はそれを広げ、読み始めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

愛しのルブラン君へ


毎日学園の窓から、あなたを見つめています。

もっと、あなたの近傍きんぼうに入りたい。


私の心はあなたに収束中・・・

限りなく近付いていけます。


メールアドレスを教えてくれたら・・・

毎日メーラー展開します♪


今日の放課後、校庭裏のポール公園にいます。

トイレ近くのベンチまで来て下さい。


時間は5時13分でどうでしょう?

私、12分までにいておきますから。


それじゃ、放課後・・・

お会いできる事を信じて、お待ちしております。


P.S.

あなたにとって、十分である必要はないけれど・・・

あなたにとって必要になれれば、私は十分です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「・・・ ・・・」


そのラブレターを見て、呆然とする。


「なんて、センスのいい・・・」


そして・・・


「これならルブラン君を、落とせる」


心からそう思った。それと同時に確信する。


「手紙の主は・・・」


【数学倶楽部】の人間だ。間違いない!


恋敵ライバルは・・・


私の所属する【数学倶楽部】にいる。



             (第3話へ続く)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回予告


手紙の主は、私の所属する数学倶楽部にいる。

そう確信した私は、授業が終わった後・・・部室を探ってみた。



次回 「 第3話  数学倶楽部 」

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