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ピタゴラスちゃんのジレンマ  作者: 伊吹 由
第1章 犯人を追え!
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第1話  始まりはラブレター

【哲学的な彼女】という企画に投稿を考えている作品です。この企画の要点は2つだと個人解釈。1つは「哲学に萌えを」(これ、企画側的には大事な点らしい)。そしてもう1つは哲学を知らない人が、「ふ~ん、哲学ってこんなものなんだ」と、入り口的な物が見える点。個人的には古代や近代あたりが好きですが、時空を超えてあらゆる世代の哲学者を登場させ、謎解きあり、哲学的論理解釈あり、バトルありという形で書いていきます。最後の最後には、多くの科学者が議論している1つのテーマを元に・・・推理的トリックを用意してますので、推理小説が好きな方は謎解きに挑戦してみてください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  ~ 第1話 始まりはラブレター ~


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


3月14日。水曜日。



「哲学者として、もっと成長したいから・・・

 簡単には、先へ行かせないで・・・」




ピピピピピピピ・・・


「は!?」


一気に目が覚めた私。鳴り響く目覚まし時計を見ると、午前6時。


「・・・ ・・・」


なんかやけに・・・ リアルな夢を見ていたような?


「・・・ ・・・」


目覚ましを止め、夢の内容を思い出そうとするが・・・


思い出せない。


「そうだ!」


その代わり大事な事を思い出した。この日はとても大切な日。


私、ピタゴラスにとって・・・



・・・ ・・・。


いつもよりかなり早く起きた私は、午前7時前の誰もいない学園に登校した。


通っている高校は、【聖フィロソフィー学園】。哲学を中心にカリキュラムが組まれている学園なんだけど・・・ まぁ、その紹介については後々(あとあと)ね。


「・・・ ・・・」


私は今、ある靴箱の前に立っている。


「きょ、今日こそ・・・ このラブレターを・・・

 ルブラン君に・・・」


そう。私は今日、あこがれの男子生徒にラブレターを届ける。そのため、ほぼ徹夜でラブレターを書いた。1時間しか寝てないけど、眠気はない。


「・・・ ・・・」


直接渡す勇気なんてない。だから・・・


定番中の定番、【靴箱にラブレター作戦】を決行するというわけだ。


「・・・ ・・・」


学園の靴箱は、みな扉がついている。だからラブレターを入れて、扉を閉めちゃえば・・・


誰かにそれを見られる心配はない。


「・・・ ・・・」


右手でギュッとラブレターを握りしめる。どんな内容を書いたか、今は覚えてない。見返すと、届ける勇気ががれちゃいそうで・・・


「こういうのは、勢いが大事よね。

 見直しなんかせず、私が思ったありのままの・・・


 愛の言葉で・・・」


ラブレターを握りしめたまま、しばらく靴箱の前でたたずむ私。この土壇場に来て・・・


トクン トクン ・・・


心臓が高鳴り、行動を起こせない。


「このままじゃ・・・ 誰か来ちゃう・・・」


髪につけた三角定木のアクセサリーを左手で握りしめた。2つあるうちの、1:2:√3の方を。


「・・・ ふ~・・・」


30度の角を握ると、少し落ち着きを取り戻す。


「よし!」


勇気を振り絞った私は靴箱の扉を開け、ラブレターを押し込もうと・・・


「!?」


したその時だった。靴箱の中に・・・


【ルブラン君へ】


そう書かれた手紙が、1枚入っている。


「ラ、ラブレター!?」


ハートマークのシールが貼られたピンクの封筒。どう見ても、ラブレターにしか見えないそれを見て・・・


「だ、誰が?」


私は呆然とした。


             (第2話へ続く)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回予告


謎のラブレターを手に取った私。その内容を盗み見た・・・

そしてこのラブレターを書いたのは・・・?



次回 「 第2話  数学ガール? 」

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