はじめてののじゅく
ユカリ「なんか前の話、(改)って書いてあるけど何?」
ノウン「いえ。あまりにも悲しい送り仮名間違いと、題名を変えました」
ユカリ「送り仮名って、あの、「両手をもの差し伸べ(ry」みたいな?
ノウン「はい。ユカリが残念な人になっていたので。あと、題名も恥ずかしかったので」
ユカリ「Oh! My God(dess)だっけ? たしかに。有名漫画の題名ですものね」
ノウン「やめて! 夜だったからテンションが高かったんだよ! って作者が言ってます」
ユカリ「必死ね」
ノウン「必死ですね」
「ゾンビって、あのゾンビ?」
「おそらく、あのゾンビかと」
ゾンビは超人気ホラーモンスターだ。
特に現代世界では、右に出るモノが居ないぐらいではなかろうか。なんていったって、現代世界でも十分通用するからだろう。
現代世界ににドラゴン出現! これはこれでありだが、人間一人が立ち向かえる敵では無い。
その点ゾンビはいい。群像劇も表現できるし、軍隊モノもOKだ。生き死にを扱うサバイバルとしてもおもしろい。吸血鬼も現代世界でいけるんだが、吸血鬼がでると途端に、「ロマン」とか「耽美」とか「伝奇」とかに走ったりする。その点ゾンビは安心だ。
近頃は全力疾走する新種が発生。急速に広まっている。困ったモノだ。
しかし、ファンタジーの世界でゾンビって・・・。あんまり聞かないなぁ。
ゾンビに噛まれたりしたら、ゾンビになります! といわれても、魔法でちょちょいと治療出来てしまうんだろうか。そう考えると、初めての冒険と考えたらお手軽か。動きものろいだろう。倒すのも苦にはなるまい。もともと死んでいるので、「殺す」という葛藤もあまりないかもしれない。その場にならないとわからないが。
願わくは、走らないで欲しい。それだけが希望だ。
「僕が住んでる村は、ここから20㎞はなれた所にあるの」
僕っ娘か。それはそれでいいものだ。可愛い子が言うと効果抜群。
「一人で来たの? お父さんとお母さんはいないの?」
「・・・う・・・う・・・」
女の子が泣き出したっ! あの青年の気持ちがよくわかった! いたたまれない! 変なこと聞いたのか? 確かに! 言ってますね! 多分、パパとママは、すでに・・・。
「・・・ごめんねごめんね。嫌なこと聞いちゃったね。そっかー。遠いところからよくここまでがんばったわね。えらいえらい。後はおねーちゃん達にまかせなさいっ!」
いい子いい子と、女の子の頭を撫でて、落ち着かせる神様。安心させるように最後は自分の胸に抱き込んでいる。美少女姉妹のようだ。和むなー。写真機能ほしいなぁ。
でも、いくら何でも、20㎞離れたところから、ここまで来られるものだろうか? こんな年端もいかない女の子が・・・? おかしい。
そんな疑問を抱いていると、先ほどの宿屋裏口に通じている横道から、50過ぎだろうか、一人の恰幅のある商人風の服装をしたおじさんが我々のそばにやってきた。
「あぁ、よかった。カーミラちゃん。無事だったんだね。探したよ-。突然いなくなるんだから」
お? この子の知り合いかなにかだろうか。チャンス。この人にステータス確認「神の覗き見」を発動してみよう。
名前:トーマス・エンヴァー
レベル:10
種族:人間
職業:商人(食品商)
体 力:4
筋 力:4
知 力:6
魔 力:1
器用度:4
敏捷度:2
(運):5
ふむふむ。さすがALL1は我々だけか。スキルも戦闘用はほとんど無いな。護身用に短剣が少しあるぐらい。後は、対人(商人)系が主だ。おそらく、道中一緒にこの都市まで来たのだろう。最初からか、途中からはわからないが。
「こんにちは、神官様。私は、主に食物を取り扱っております、トーマス・エンヴァーと申す商人で御座います」
「こんにちは。私はユカリ。見ての通り神官をしております。で、この子・・・カーミラちゃんでしたっけ? この子とは・・・?」
おぉ。普通に会話している。なんか感動。ちゃんと出来るんだなぁ。
「はい。この子とは、この都市ヴェレギンに向かう街道で出会いました。その時に、実は、その子のお兄さんでしょうか。彼が道ばたで息絶えておりまして。その側にその子がおったのです。彼を手厚く葬ってから、話を聞いてみれば・・・。うぅ・・・。なんて不憫な・・・うぅ」
その後は、聞くも涙、語るも涙の物語。ユカリ様がもらい泣きしている。
話をまとめる。トーマスさんが、この都市に向かう途中、この子と出会った。その時に、どうやらお兄さんも居たんだが、先に他界した。彼女はこの町で、冒険者を募り、村を救い、兄の無念を晴らす。とのこと。
後半部分は、トーマスさんが、泣きながら語ってくれたのを要約しました。
その間、ユカリが泣きながら、カーミラ嬢の頭を撫でたり、抱いたり、だっこしたり、カーミラ嬢がおもちゃのようでした。
当のカーミラ嬢は、終始困った顔であったとさ。
そんなこんなで、しばらく経過。二人が落ち着いてから、今後の予定を聞いてみる。
「申し訳ないのですが、私は商人。戦いには向いておりません。次の商売もありますので、ここでお別れです。ですが、一度はカーミラちゃんと出会った仲です。少しぐらいは資金援助いたします。いえ、させてください!」
少ないですが。といって、金貨を10枚(!)カーミラ嬢に渡した(日本円で60万円ぐらい)。渡されたカーミラ嬢は「え?」と惚けた顔。
「実は、彼女のお兄さんは、銅貨1枚も持っておりませんでした。勿論、カーミラちゃんも持っていないようでした。お金がすべてでは無いですが、お金があれば、腕のいい冒険者を雇えるはずです。どうか。このお金で冒険者を雇って、お兄さんの無念を、そして、カーミラちゃんの村を救ってやってください! そうでもしないと・・・うぅ・・・」
ユカリ様は目を真っ赤にしている。うんうん、とうなずきながら、大丈夫。まかせて。と、誰に言うわけでも無くつぶやいている。「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣け」を実践しているなぁ。
トーマスさんは、泣きながら、離れた行った。何度も、こっちを振り返りながら。本当に無念そうだ。商売が無かったら、おそらく、ゾンビの群れに突っ込んで行っているな。あれは。
「よしっ!」
ユカリは、両手で自分の頬を気合いを入れるために叩く。
「冒険者ギルド行って、冒険者雇ってくる! あたしたちじゃ、絶対に勝てない!」
はい。ごもっとも。返す言葉もありません。
だだだー。風の如し。
「みんないい人・・・。みんな死んじゃう・・・」
「そんなことはありません。これ以上誰も死にませんよ。そんなこと、させません。私が。そして、ユカリが」
「・・・うん」
しばらくして。
だだだー。帰ってきた。神様が。あぁ、これが、神降臨! というやつか。違うか。
「だめだめだー。みんな酔っ払いすぎ。役にたたなーい」
あ、そうでしたね。忘れていました。宴会でしたねぇ。神様降臨の祝賀会。
「でも、とりあえず、明日には、数人出発してもらうようにクエスト依頼しておいた。お金も払ってきたよ! 安心して! カーミラちゃん!」
ぶんぶん、とカーミラ嬢の両手を上下に振っている。
「では、我々はどうしましょうか? お金がないので野宿です。どうせ野宿するなら、先に村に向かいませんか?」
「銀貨が1枚と銅貨が数枚残ったので、野宿に必要なアイテムを購入して出発しましょう!」
「ありがとうなの!」
「いえいえ。ゾンビは敵です。理由はゆるせないからです」
神官ぽくかっこよく決める。
「ありがとう! おねーちゃん! おにーちゃん!」
ずっきゅーん!
幼い女の子(+かわいらしい)が、両手を胸の前で握って、上目遣いで、この言葉。魔法ってあるんだ! そう思った。
「ノウン! 野宿に必要なアイテム買ってきて!」
「今すぐに!」
実に単純な主従であった。
お金をもらって買い出しに行きます。
何はともあれ毛布。一人二枚は欲しい。熱は地面が奪っていく。地面に一枚敷きたい。火打ち石も大事。魔術で代用ができるが、そもそも、魔術が使えない。保存食も大事ですね。干し肉かじるもよし。スープのだしにしてもよし。使えるやつだぜ。3フィートの棒はダンジョンじゃ無いので購入を見送る。便利だけど。
移動中でも睡眠がとれるように馬が欲しい。でも、さすがに買えない。不寝番の時間を考えないと、昼間の移動時間が無くなる・・・。
あれ? あれあれあれ? 不寝番・・・。あんな小さな子にさせるわけがない。神様にさせるのは、ユカリならいいかもしれないが、私が嫌だ。と、なると・・・?
ゴクリ。「受難の日々」は、神様専用のクエストではあるが、受難対象は・・・私か? あぁ、この世界にも栄養剤が欲しい。
他に、それらしいアイテムを購入し、バックパックも購入。見た目は野暮だが、作りはしっかりしている。あと、手提げ袋も二つほど購入。これにも、いろいろと入れられるであろう。
あれ? あれあれあれ? 荷物持ち・・・。あんな小さな子に持たせるわけg(ry
あぁ。前を歩く二人がまぶしい。一人は黒髪をポニーテールにして元気印の健康的美少女。もう一人は、十代になる前の、華奢でありながら、女の子らしい柔らかい雰囲気を持ち、髪の色は濃淡のある銀髪を肩ぐらいで切りそろえ、さらさらと風に揺れている。
二人が姉妹に見える。仲良く二人で歩くその姿は、これから、ゾンビが居る村へ向かうとは思えない程、夕日に映えている。綺麗だ。
一方。私は・・・。何も言わないで頂きたい。あの二人に、この荷物を持たせるなんて・・・出来ない。なーに。たかが、二日の野宿さ。倒れはしないさ・・・へへ(村に着いたら、休憩出来るわけが無いのだが)。
川が見えた。ヴェレギン湖につながっている川の一つだ。あのほとりで、キャンプをしよう。
まずは火をつくる。獣よけでもあるし。やはり、火があると安心する。
夜中を通して番をするために、先に二人に起きてもらって、私は仮眠を数時間取ることにする。ご飯は起きてからゆっくり食べよう。今は、睡眠を取ることに専念。空はまだ夕日が綺麗だが、寝ないといけない。男は消耗品、そんな言葉をかみしめなあら、まぶたを閉じる。
「お待たせしました。私が代わります。どうぞ、お二人はお休みください」
4時間ほど眠って、二人と代わることを宣言。空は、夕焼けの空から、満天の星空へと、舞台を変えていた。
「っと、ユカリはすでにご就寝ですか。カーミラ嬢も眠いでしょう。お休みください」
「ありがとうなの。おにーちゃん」
ずっきゅーん! 感謝の言葉が身にしみる! 言霊ってあるんだ! そう思った。
「でも、さっきまで、眠っていたの。もう少し起きてる」
「そうですか・・・」
とはいえ、いくらカーミラ嬢が可愛いからといって、子供と話したことが無い私。何を話せばいいのやら?
しばらく、お互いに沈黙の闇が落ちる。
とはいえ、たき火を囲んだ川のほとり。嫌な沈黙では無い。心地よい空気が流れる。
川のせせらぎ。風の音。虫の鳴き声。こんな小さな子とそんな空気を共有するとは思わなかったが。
そうだ。「神の覗き見」でカーミラ嬢を見てみよう。なにか我々が持っていないスキルを持っていたら、どうやって所得したか聞いてみよう。場のつなぎになる。
この世界の住民は、ステータスとか、レベルとかを自分で確認できないそうだから、それとなく、疑問に思われない範囲で聞いてみよう。
まぁ、こんな小さな子が持っているスキルなんてたかが知れていますが。まぁ、ちょっと、出来心で見てみたいと思ってしまったのです。僧侶としてはどうかと思うが、まぁ、罪にはならないでしょう。プライバシーの侵害ですが。
名前:カーミラ
レベル:31
種族:?
職業:美幼女
体 力:5
筋 力:5
知 力:14
魔 力:14
器用度:5
敏捷度:5
(運):20
なんだこりゃー? レベル31だって!? さっきの商人トーマスさんだって10だったのに。種族:? ってなんだ? 職業:美幼女って不明だ! 訳がわからない。
「どうしんの? おにーちゃん?」
おにーちゃん魔法は効きません。もしかしたら、アレは、本当に魔法の一種だったのかもしれない。精神に影響する系。
「あの。えーと。ちょっと聞きたいことがあるんです。いいですか?」
「なーに?」
ちらっと、ユカリを確認する。寝てる。ちょっと、揺すってみる。起きない。寝ている。よし。聞くぞ。
「あのですね。その。職業:美幼女・・・って、なんなんでしょうか?」
「・・・」
ものすっごくびっくりしている顔だ。そりゃぁ、何を聞いているんだ? と思われたのかも知れない。そうだよねぇ。私でも思う。
「ステータスを確認された?! まさか、他人のを確認出来るなんて、そんなスキル知らない!」
ん? おや? 幼女が話す口調じゃなくなったぞ。
「そんなバカな。まさか。いや。・・・。あの。もしかしたら、貴方、PC?」
「!」
なんと。ユカリ以外にこの言葉を発する人が居ようとは。
「いえ。私は、ちょっと例外ですね。ユカリがそうです(神様ですから、PCの範囲ではないですが)」
「そっか。こっちの世界には、私以外だれも居ないと思ってた・・・」
そう言って、ふふ。っと笑った。どう見ても、幼女ではない笑みだ。いろいろ酸いも甘いも知っている感じ。でも、見た目は美幼女。
「あのね。ノウンさん。実はね。私・・・」
「はい。何ですか。聞きます」
冗談では済まされない雰囲気になった。
「実は私・・・」
「はい」
「転生者なの」
そうきたかー。
ユカリ「女の子率高いわね」
ノウン「そうですか? 青年とか商人さんとか、男もいますよ」
ユカリ「旅の同行者としてね」
ノウン「確かに。それに、年齢が低いですね」
ユカリ「私が中学二年生(14歳)。カーミラちゃんが6歳だっけ?」
ノウン「作中では書かれていませんけどね。そうです」
ユカリ「作者は変態ね。確定かしら」
ノウン「ですね。ネット小説は、願望の現れ。とも言われます。そうでしょう」
ユカリ「救いようが無いわね」
ノウン「むしろ、作者の生活が哀れですね」
えーと。お姉さん系も出す予定ですよ?