ため息の始まり。
なんだかんだで、投稿できました。
この4話までが、プロローグです。(ながっ)
「まさか、あたしが作ったキャラと対面出来るとは。世の中って摩訶不思議ね」
「まさか、私を作成した人物と会話出来るとは。世の中よくできていますね」
「話しをしたかったの? このあたしと?」
ちょっと、嬉しそうだ。う。隠せ胸のトキメキ☆ 隠せるのか? いや、隠すしか無いのだ。
「そりゃぁ、もう」
少し間をおいてから深呼吸。そうしてから、本心を悟られないように、別の本心を言い放つ。
「こんな能力値に、す・る・なー! もう少し考えてから、能力値は決めるべきだ! キャラクターを作成するということは、人の命を創造するということだ! その場のノリで、信仰心極振りとか、するなー! 筋力とか、体力とか、知力とか、他に融通が利くのがあるだろう! なんで、意味のわからない信仰心なんて!」
がぁー! と吠える。
「しぃー! 声が大きい」
綺麗な右手の人差し指で、口をふさぐジェスチャーをする。
ピコン。
【ユカリさんから、パーティー招待を受けました。承諾しますか?】
頭の中で、軽い効果音が鳴り響く。私の顔少し前付近に、こんな文字が現れた。
「はい」とか「いいか」とか無いけど、どうやって選択するんだろう?
まぁ、よくわからないから、心で拒否を主張。
ピコン。
【ユカリさんからのパーティー招待を拒否しました】
「こーらー! 拒否するなぁー」
怒られてしまった。
ピコン。
【ユカリさんから、パーティー招待を受けました。承諾しますか?】
はいはい。わかりました。まぁ、本音は、願ったり叶ったりなのですが。それを隠したいお年頃なのさ(30歳手前というのは公然の秘密だ)。
ピコン。
【ユカリさんのパーティーに参加しました】
“これなら、他の人に聞かれること無く話が出来るわね。私の名前はユカリ。よろしくね”
おぉ。口が動いて無くても、意思疎通が出来るとは。これがパーティーチャットか。すごい。
”先ほどの能力値うんぬんだけど。人前では言わないように。そうのような、ゲーム設定は、ここの人たちは知らないわ。混乱を招くような言動には注意して頂戴ね”
”そんな世界設定があったんですか。知りませんでした。確かに、それを知った方々が、「俺たちは、所詮作られた存在だったんだー」とか、暴徒化する可能性もあるんですね。わかります”
”暴徒化するかどうかわからないけど、あまり、いい影響は出ないらしいわ。復活の女神様曰く、ですけどね”
ん? 復活の・・・? はて。どいうことだろうか。なんか、嫌な予感がする。この世界に生まれて数時間。でも、この嫌な予感は、やばい感じだ。
”ふ、復活の女神様って、誰のことですか? まさか・・・”
ごくり。聞き逃すまいと意識を集中。
”まさかの、まさかよ? そこに建ってる聖堂の主様”
神様キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!
”復活の女神様というと・・・本当に?”
”あなたも、案外、頭難いのね。本当のことよ。あたし、これでも神様の一人なんだから! といっても、まだ、神様になって3時間ぐらいだけどね”
えっへん! と、慎ましい胸を張っております。くはー。かわいいけど、その前に、疑問をいくつか聞いてみよう。
”えーと。神様というと、何の神様になるんですか? というか、神様というのは、ひょいひょいと、この世界に降りたっていいもんなんですか? ぶっちゃけ、冗談ですよね?”
”本当の事です。降りたって悪かったら、ここには居ないと思うけど。女神様も「私も3000年前には冒険者として駆け回ったもんよー」って言ってたし”
衝撃の事実発覚。復活の女神様は、元冒険者だった!
”さっきも、そこの冒険者ギルドで、冒険者の人たちからお祝いされたしね。なんていったって、あたしは「冒険者の神」ですもの。ふふ。この世界に来てから、すぐに、主賓として、宴会に巻き込まれました。これこそ、巻き込まれ型の冒険というやつよね!”
”用法が違います。しかし、神様を目の当たりに出来るなんて、僧侶しては、うれし・・・い・・・かぎり・・・”
やばいことに気がついた。
私は、今のところ、特定の神様を信仰していない。
私は、現在、目の前に居る女の子に作成された。
”へぇ。僧侶なんだ。そうか、そういえば、そうだった。私が作ったんだ。忘れていました-。ところで”
「跪きなさい」”
「御意」
すちゃっと、神様の御前に、綺麗に跪く。100点満点を自分にあげたい。
え? なんで? 何の疑問も浮かぶこと無く、跪いたよ? え? え?
気がついて、かーっと、顔が赤くなる私。
ちらっと、ユカリさんの顔を、下からのぞき込んでみる。うはぁ。天使の笑みだよ(神様だけど)。天使と悪魔は表裏一体なのだなぁ、と痛感。
「立ち上がってもいいわよ」
「ありがたく・・・って、いやいや。思わず、パーティーチャットじゃないけど。もう、いいや、そんな些細なこと」
こ、これは、もしかしたら、神と、その僕(下僕の僕じゃないよ。念のため)の構図では無かろうか。
「僕って漢字、一人称以外だと、下僕のイメージしかないね。ふふ」
「心を読まないで頂きたい! プライバシーの侵害だ!」
これは、危険だ。何が危険かというと、私の信仰心の高さだ。これは、何か命令があっても、逆らえないのでは・・・。いや、それが神に仕える聖職者なんだが・・・。なんか、怖い。
「のどが渇いた。なんか飲み物買ってきて」
「よろこんで!」
近くの屋台にダッシュ。銀貨しか持ってなかったけど、なんか、屋台のおやっさんから嫌な顔されたけど、両替もしてくれて、飲み物と、あと、小さなクッキーみたいなモノも買っていく。
「あら、ありがとう。気が利くね」
「いえいえ。その言葉だけでありがt・・・って、なんでやねん。途中で、疑問に思えよ俺!」
思わず、口調が変わってしまうぐらい、困惑してしまった。
「じゃぁ、次はねぇ・・・」
「くっ」
思わず、身構える。何が来ても、抵抗してやるっ!
そんなことを思っていたら、ユカリさんの顔が赤くなっていく。何を考えているんだ。怖い。
「次はねー。チューをしなさい」
なんの漫画のオマージュだ! 抵抗DA! セービングスローはいくつだ?
くっ。がんばれ私。ぐぐっと。顔が近づいていくが、こらえる。ふんばる。
R15だから接吻ぐらいはOKだろうが、する対象の年齢がなにかに触れそうだ。
「ちっ。これは抵抗するのか」
かわいらしくない舌打ちが聞こえたが、なんとか抵抗に成功したようだ。経験点が欲しいぐらいだ。
ピコン。
【ユニークスキル:神への抵抗 を入手しました。
スキル説明:神からの命令を抵抗する際にプラス補正を得る。
スキル説明補足:プラス補正はスキルレベルに依存する。】
字面的に、反逆者っぽいのは致し方あるまい。神への反逆。とかもありそうだ。
「冗談はさておき。これから案内よろしくね」
冗談だったのか・・・。しかし、案内といわれても。
「先ほども、おっしゃりましたが、案内と言われましても、ぴんと来ません。どういうことですか?」
意味わからん。案内という意味は知っているが、何をどのように案内するのか。
「え? 復活の女神様がおっしゃるには、今世界の常識や、地理的な事を、そばで教授する人物を派遣しておく・・・とかなんとか。あたしと同じ、黒髪黒目だから、見つけやすいでしょ? って」
「なるほど。ですが、地理とかは、なんとか知っておりますが、私も、3時間前に生まれたばかりです。常識が微妙ですね。先ほども、冒険者になろうとしまして、聖職者はなれないと言われ、しょげていたところです」
「そっか。ま、おいおい、知っていけばいいんじゃない? そっちの方が、冒険してるっ! って感じで面白そう!」
まぶしいぐらいのポジティブシンキングですね。目に痛いぐらいだ。
「まぁ、とりあえず、冒険をしよう! もう、わくわくが止まりません!」
「いやいやいや。ですから、私は冒険者になれないんです。ユカリ様もなれないのでは?」
そう、冒険者にならないと、クエストが受けられない。クエストを受けないと、後が怖い。神様だからこそ、その辺もしっかりしないといけないと思う。
「様付けはやめて。呼び捨てでもいいぐらい」
「いえいえ。少なくとも、私は、貴女様の僧侶。呼び捨てなどはできかねます」
「呼び捨てで、名前をいいなさい」
はう。抵抗に失敗した。
「わかりました。・・・。ユカリ。これでいい?」
やけになって、両手で、ユカリの両肩をつかんで、顔をのぞき込むように言ってやった!
言って、お互いに赤面する。じゃぁ、やるな。バカップルって嫌ですね。
「あんた、って言うのも変ね。名前を決めましょう」
・・・。No Nameにした犯人が、どの口でものを言うか。
「うーん。UnKnownのノウンさん。決定-」
あ、涙が。涙を拭く仕草をする男が一人。
「ノウン。まず、冒険依頼もらってきてー」
「いやいやいや。ですから、冒険者登録出来なかったんですってば。ですので、冒険者ギルドからの依頼は受けられないんです」
何度このことを言ったのか。しかし、なぜ、そんなに冒険に・・・って、冒険者の神様か。そりゃぁ、冒険しないといけないよねぇ・・・。
「そうでした。そっかー。私も、冒険者登録できなかったけど、冒険者の神だから、その辺は優遇してくれるって、冒険者ギルドの本部長さんが言ってた気がする。たしか。もしかすると、たぶん」
かなり曖昧ですね。大丈夫だろうか。
「依頼が受けられるなら、話は早いですね。早速、ギルドに行って依頼を受けに行きますか?」
「よーし。また、あの宴会場に行くのは、気が引けるけど、行きますかー!」
何事にも元気に張り切る様は、見ていて気持ちがいいものだ。和む。
眺めていたら、ぐぐぅーっと、両手を空高く挙げて伸びをした。ひとしきり伸びをしたその体勢で、両の手のひらを空に突き出すようにして、言った。
「我々に、七難八苦を与えたまえっ! なんつって」
あはははー。と、こっちを見て笑いかけてくる。かわいらしいなぁ。
ピコン。
【クエストを受理しました。クエスト名「受難の日々」をスタートします。】
「「え゛」」
こうして、文字通り、私の受難の日々が始まった。
ユカリ「ところで、第一話の最後、『長くて綺麗な黑髪を(略)』の黑髪の『黑』って何よ? 『黒』じゃないの? なにこの『黑』って」
ノウン「そーいわれましても。おそらく、執筆に使った銀河タブが原因かもしれません。気がついてからATOKを思わず購入したそうですよ。作者いわく」
ユカリ「ふーん。作者のミスね」
ノウン「はい。作者の確認ミスです」
すいません。
でも、文字的には、「黑」の方が、語源的に正しくて、
ユカリ「どーでもいいことね」
すいません。
他に、誤字脱字があれば、教えてください。