ため息混じりのキャラ作成
ノウン「はいっ。やって参りました。いろいろとのんびり修正しながら、生きたいと思います(誤字)」
「はぁ・・・。やってられない。と言うか、まいったなぁ」
突然ですが、私の職業は<僧侶>。
僧侶の活動は以下の通り。
・自身、他者の回復および治療。
・自身、他者の能力強化などの支援。
・不死者属性への鉄槌。
・聖書・経典を元にして道徳を説法・説教。
・神の布教活動。
などなど。
しかしながら、みなさんのご存知の通り、<僧侶>、<神官>といった「聖職者」系は必要とされていないのが現状なのですよ。ホント。
だって、この世界において「聖職者」は必要ないのですから。
我らが世界「ナイトランド」。この世界では、回復役といえば「治療術士」。
我らが世界「ナイトランド」。この世界では、支援役といえば「付与術士」。
現実世界で宗教活動をするのはごく一部。だから、
我らが世界「ナイトランド」。この世界では、聖職者といえば「NPC」。
ショック。
なんてこったい。そうだった。こんな世界だった・・・。
死者すらも蘇生させる回復専門「治療術士」。
神の加護による強化すら圧倒的に凌駕する能力強化「付与術士」。
不死者相手にもってこい属性、「聖属性魔術」スキル。
「はぁ・・・」
「聖職者」なんていらいのさ、を地でいく設定だ。
いや、まぁ、現実世界でも、そんなもんか。
よって「聖職者」はNPC。
だから、我々PCは「聖職者」に就かない。というよりも、なれない。というのを最近知った。
NPCしかなれない職業。なのにどうしてPCの私が「聖職者」である「僧侶」かと問われれば・・・。
職業選択欄にあったからさ!(爽やかに)
と答える。
私が選んだ訳ではないが。
職業制と同時にスキル制も導入している「ナイトランド」というオンラインゲーム。
この世界において、職業が全て、ではない。
スキルは基本的に誰でも身につけることができるのだ。条件さえクリアすれば。
例えば、「戦士」であっても(得意ではないが)「付与術士」の魔法を使うことができる。「治療術士」でありながら「付与術士」の魔法で支援というのもOKという自由度の高さがウリだ。
とはいえ、職業由来の優遇スキルというものも存在する。
・スキルレベルのレベルアップ必須経験点の優遇。
・使用MPの軽減。
・スキル獲得クエスト免除。
などなど。
職業選択の自由はあるけれど、人生を左右しますよ。慎重に。
「はぁ・・・。くぅ。これは参った。まさか、冒険者になれないとは・・・。予想外の結果だ」
ため息ひとつで幸せ逃す。
私の幸せは、もう、残ってはいないだろう。
私がこの世界にやって来たのはつい先程。三時間ぐらい前。
ただ私は、異世界からの旅人でも、ましてや、転生者というわけでもない。私はこの世界で作られたキャラクターだ。なので、厳密にはプレイヤーではないだろう。
あの時・・・つまり私の記憶が始まった時の事を話そうと思う。
そう、あれは、私の頭に突然文字が浮かんだんだ。それから、まだ成人前と思われる、そう、とても澄んだ、鈴が鳴るような、とっても耳に馴染んだ、いつまでも聞いていたい女の子の声が続くんだ・・・。
【この「ナイトランド」の世界をお楽しみいただくために、まず、あなたに代わって冒険をするキャラクターを作成します】
そりゃそうですよね。はい。作成しますよーっと。
えーなになに? まず性別。躊躇なく「男」に決定。
「なぜゲームまで同じ性別で遊ばないといけないの? それに男同士の方が萌える(※ただしイケメン同士に限る)」。
(刺々しくない薔薇がお好きなようですね。この子は)
次は名前の設定か。えーと、うーんと。まぁ、いつも通り「No Name」っと。
(いい加減と言うことなかれ。彼女はことあるゲームにおいて、男性キャラには「No Name」と名付ける。名無しでも名付けるこの矛盾。一人でも全滅と同じ感じ?
そうしてから、いろいろと(男性の)登場人物と妄想を繰り広げるのが趣味らしい。「名無しなので、その時の気分で名前を変えられるのが強みです(?)」とは彼女(14)の言である。
全然関係ないが、(どうしても)女性キャラを(仕方なく)選択しないといけないときは「縁」と名付ける。理由は、「たくさんの人と出会えますように(逆ハーレム希望)」とのこと。
欲望に忠実ですね)
えー次に、職業の選択か。やはり、清純な、なにも知らない無垢な聖職者を汚すのg(ry
(この子の趣味は独特ですね。わかります。お酒を酌み交わしたら、いい酒が飲めそうだ。惜しいのは、彼女が未成年で、さらに対象とする性別が違うのが痛いところか)
というわけで(どいうわけだ?)、聖職者系は「僧侶」というのが選択肢にあったので選択。この時に、説明書か攻略サイトを読んでくれていれば・・・。後の祭りか。
お次はっと、能力値の割り振りか。ふむふむ。筋力、体力、知力、魔力、器用度、敏捷度、信仰心。この七つに割り振るのか。そのポイントは100。固定かな? まぁ、いいか。
しかして、その割り振り方法は。
信仰心に全部っ!
ドガガガッ!
あっぱれ。
極振りである。
迷いが無かった。
躊躇しなかった。
ふぅやれやれだ。
「単細胞生物が好きなの。と言っても、顕微鏡で見る生物とかでは無くて。そういう生き方と言うか・・。戦士は戦士のみ。剣が恋人。剣を取ったら木偶の坊。魔法使いは魔法のみ。趣味は魔法の研究です。魔法を取ったらただの人。1人では冒険できないの。だからこそのパーティーでしょう? 一人一人がエキスパート! エキスパートが集まったら最強じゃない!? 三人寄れば文殊の知恵よ!(用法が違います)」。とは彼女(女子中学2年生)の談。ちなみに、現代兵士は、あらゆる局面でも対応するために、専門分野はあるでしょうが、万能を目指しているそうです。違ったらごめんなさい。
繰り返すが、この時に、説明書か攻略サイt(ry。普通PCは「信仰心」の替わりに「運」となっているのだが。今となっては意味のないことですよー。
さて次は、外見設定か。これがめんどい。だが、しかし。紳士淑女の皆様、ご安心を。この「ナイトランド」、純国産MMORPGです。そのあたりのフォローもしっかりしております。何を安心するにかわからないが、彼女が30分以上かけて私の顔を作成。納得のいく出来だったのであろう。しばらくボーっと、私のできあがった顔と全体図を見ておりました。10分ほど。頬が赤かったのは画面の照り返しと信じたい(ちなみに画面は赤くない。むしろ黒い)。
そうして、最後の最後。出発地点の選定となる。
えーと、なになに。次の4つからお選びください。
・海に囲まれた諸島、海の都。シーア。
漁業と農業の島国。大陸の北にあります。
・樹海の奥地、森の都。フォレス。
エルフに管理された都。大陸の西側にあります。
・火山に囲まれた都。山の都。マテウ。
南は寒いですが火山があるため暖かい国。大陸の南にあります。
・宗教都市。冒険者の都。ヴェレギン。
大陸中央やや西寄り。大きな湖のそば。地下大遺跡があります。
うーん。どうしようかなー? 海の明るい男も捨てがたい。エルフの美男子にも惹かれる。筋骨隆々な山男もいい(※ただしイケメンに限る)。うーむ。まぁ、冒険者の都を選んでおけば、全部味わえるか。というわけで、遺跡のあるヴェレギンに決定!
・・・。何も言うまい。
最終決定確認画面。
【これで決定しますか?
→ はい
いいえ】
【ようこそ! 「ナイトランド」へっ! あなたの冒険に祝福を!】
・・・読み込み中・・・読み込み中・・・読み込み中・・・
・・・接続中・・・接続中・・・接続中・・・
しゅいん。
こうして、私こと「No Name」が、この世界「ナイトランド」に降り立ったのが、3時間前の出来事。
受難の日々が始まった、とも言い換えることが出来る。
おぉ。ここが冒険者の都か。
地面は中世ヨーロッパ風に石畳。地面が所々欠けていたり、少しずつ、でも長い時間をかけて、多くの人々が歩くことによってすり減ったのがわかる。相当歴史が古そうだ。私が居るのは、ちょうど建物と建物の間の人が5人ぐらいは通れる通路のようだ。人通りは少ない。けども、暗いという感じではない。時折子供たちも走り回っている。家はレンガで建ててある。
ぬぼーっと立っていると通行人お邪魔になると思ったのか、彼女に操作されて、壁際に寄る。空は果てしなく碧い。真のエンブルー。家の屋根で全部は見えないけど、雰囲気だ。いい天気だ。この町のどこかに、地下の大遺跡につながる道があるのだろうか。
待ってろYO!
わくわくしてきますね。
血湧き肉躍るZE!
・・・。
・・・。
・・・。
あれ? ん? あれから、私動いていないんですけど。時間に直して、約一時間も。永い。あれれ? 彼女をみてみる。といっても、顔を向けることも出来ないし、画面の向こうを見ることなんてできないけども。
動け、動け、動いてくれっ! 首よっ! ぐぬぬぬ。無理ぽ。
こうなったら、あれだ。必殺WEBカメラ乗っ取りっ! 方法は内緒です。説明出来ないし。トロンの人たちだったらできるかも。
むむ。初めてだから難しいな。ん? 音声を拾えるな。まずは音声からだ。
「・・・う侶なんて職業無いんだぁ。ありゃりゃぁ。なになに、人気の職業は剣士・・・か。始めるなら、山の都マテウが一番。鉱山でバイトしながら、筋力増強も見込めると・・・。功績と鉱石、さらにお金も貯まって一石二鳥? ふむふむ」
そうなのである。彼女のプレイスタイル(?)は見切り発車。それから、そのゲーム情報を得るタイプの暴走タイプだ。始めてみたはいいが、何をしていいかわからないから、攻略サイトを見る。それから、いろいろな情報を手に入た模様。さらに、声に出して読んでくれるありがたプレイヤーフレンドリーなお人だ。
「よしっ! 作り直そう!」
あれ? あれれ? 雲行きが怪しくなったぞ。空はどこまでも広く青いけど。
彼女が操作を始める。システムから「ログアウト」を選択。
【ログアウトしますか?
→ はい
いいえ】
【残り時間あと 30秒 でログアウトします】
お? カメラの乗っ取りも出来るか。よし間に合った。繋いだ矢先に、
「・・ちゃーん、・・つだってー(遠いのか不明瞭)」
「はーい。いま行くー」
おそらく、誰から(おそらく、母親?)か何かを手伝ってほしいとの要請があったみたいだ。
そこで、時間が来た。ログアウト。
かろうじて見えたのは、後ろを振り返って返事をする彼女の後ろ姿だけだった。
長くて綺麗な黑髪をポニーテイルにしている姿が印象的だった・・・。
ノウン「というわけで、いろいろと加筆したり、減筆したりしながら、進んでいきます。まずは一話から始めました。いやー。途中どうしても、書いていた作者に突っ込み入れたくて・・・。ほかに何かあれば、どしどしご意見くださいね」