第9話:神の投資と、バブルの頂点
1999年11月。世界中の株式市場は、狂乱と熱狂の渦中にあった。
「ドットコム」と名のつく企業であれば、業績や実態が皆無であっても株価が連日連高する。テレビのニュースでは「インターネットが世界を変える」「新時代のニューエコノミー」と叫ばれ、投資経験のない一般人までもが資金を市場へ注ぎ込んでいた。
そんな中、秋葉原の雑居ビルで、俺——瑞樹は一人、静かにモニターを見つめていた。
「知力:100」と「運:100」の脳内には、無数のノイズを削ぎ落とした純粋な市場の「波」が見えていた。
「海外のヘッジファンドが仕掛けるポジションの偏り、実体のないITベンチャーの過剰なPER……。そして、FRB(米連邦準備制度理事会)の金利引き上げのタイミング……すべて計算通りだ」
俺が1999年夏に投じた2,500万円の資金は、米NASDAQのIT関連銘柄および日本の初期IT株のハイレバレッジ取引によって、すでに【12億円】まで膨れ上がっていた。
だが、俺の本当の狙いはここからだった。
2000年3月。
史実における「ドットコムバブルの崩壊(ITバブル崩壊)」の頂点が、刻一刻と近づいていた。
「全員が『まだ上がる』と信じ切っている今この瞬間こそが、史上最高の売り場だ」
俺は「技術100」で組んだアルゴリズム取引システムを稼働させ、買いポジションをすべて利益確定。それと同時に、膨れ上がった12億円の資産を担保に、バブルの象徴とされていた過評価なIT銘柄群へ巨額の空売り(ショート)を叩き込んだ。
市場の狂信者たちから見れば、それはまさに「暴挙」であり「自殺行為」に見えただろう。
だが——。
2000年3月10日。
NASDAQ総合指数が過去最高の「5048.62」を記録したその翌日。
市場は、突如として牙を剥いた。
『株価暴落! IT関連銘柄がストップ安の嵐!』
『ドットコム企業の倒産ラッシュ開始! 市場は大混乱に!』
世界中の投資家たちが悲鳴を上げ、資産を失っていく。画面を覆い尽くす鮮血のような赤色の下落チャート。
しかし、俺の取引画面に並んでいたのは、凄まじい勢いで増え続ける「莫大な含み益」だった。
「運100」の天運と、「知力100」の精密計算。
バブルの上昇波を頭から尻尾まで食い尽くし、暴落の波すらもすべて利益へと変換する悪魔的トレード。
2000年4月上旬。
俺がすべての空売りポジションを利確した時、口座に表示された数字は——。
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【ネクスト・エンターテインメント 口座残高】
18,450,000,000 円(約184億5000万円)
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「目標の100億どころか……180億オーバーか」
俺は静かにコーヒーを一口すすり、ふっと息を漏らした。
15万円の種銭からスタートして、わずか1年足らず。1999年〜2000年の世紀末マネーゲームを完全に制覇した瞬間だった。
この莫大な資金があれば、もはやサーバーの帯域不足に怯える必要も、既存のメディアやVCの顔色を伺う必要もない。自前でデータセンターを建設し、世界中にコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を張り巡らせることができる。
「さあ……次のステージだ」
俺は自社のWebサイト『NextStream』を開いた。
バブル崩壊で世間が暗いニュースに包まれる中、ネクストのサイト内だけは熱気と熱狂に満ち溢れていた。
会員数はすでに【150万人】を突破。
KAZUKINをはじめとする初期のクリエイターたちが毎日面白い動画を投稿し、視聴者たちがコメントで盛り上がっている。
俺は鏡に向かい、瑞樹の美貌を整えた。
「容姿100」「カリスマ90」の圧倒的オーラを纏い、カメラの前に立つ。
「皆さんに、ビッグなお知らせがあります」
2000年5月。
180億円の軍資金を手に入れたTS美少女・瑞樹による、「ネクスト自社ビル建設&次世代エンタメ帝国計画」の発表生放送が始まろうとしていた。
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【瑞樹の現在のステータス・資産状況】
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名前:瑞樹
年齢:18歳(高校3年生)
資産:184億5,000万円(投資利益確定)
割り振り可能ポイント:500 P(バブル完全攻略により獲得)
【パラメータ】
・容姿:100(MAX)
・知力:100(MAX)
・技術:100(MAX)
・カリスマ:90
・運:100(MAX)
【指標】
・『NextStream』会員数:1,500,000人突破
・獲得称号:『平成の相場師』『世紀末の超金持ち美少女』
【現在の目標】
獲得ポイントでのカリスマMAX化、都内での自社ビル&自社データセンターの建設、次なる才能(はじめしゃちょー風キャラ等)の発掘。
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