第1話 私と一緒に暮らそうね。
ホムンクルスの小さな子。ほろほろ。あなたは救われる子。
私と一緒に暮らそうね。
れい博士。わたしはどうして生まれてきたんですか?
ホムンクルスの小さな子、ほろほろはゆっくりと道の上を歩いていました。真っ暗な世界の中にあるひとつのまっすぐなどこまでも続いているような長い道です。(そこに道があるということはぼんやりと見えました)とても遠くに美しく光っている小さな星がありました。
その小さな星の光に向かって、ほろほろはただずっと、ゆっくりと小さな足を動かして、道の上を歩き続けていたのでした。(道の上を歩いている間、ずっとほろほろは大好きな、大好きなれい博士のことばっかり思い出していました)
だけどずっと歩いていたので、ほろほろは少し疲れてしまいました。なので、ほろほろは(ほかに誰もいなかったけど、邪魔にならないように)道のはじっこのところに座って、ちょっとだけお休みをすることにしました。
ほろほろは座っているとき、ずっと遠くに見える小さな星の光を見ていました。
れい博士。会いたいです。
ほろほろの『大きな瞳の中には輝いている星がありました』。(その星はホムンクルスのしるしでもありました)
ほぁーー、とほろほろは眠たそうな顔をして、大きなあくびをしました。
ほろほろはなんだかとっても眠くなってきてしまいました。(ずっとがんばって歩いていたから、思っていたよりもずっと疲れていまのかもしれません)
でも、眠ってしまうわけにはいきません。小さな星の輝いているところまで、ほろほろは歩いていかなくてはいけないのです。
なのですが、小さな子のほろほろは眠たさに負けてしまって、体を丸めるようにして、ぐーぐーと寝息を立ててそのまま眠ってしまいました。(思わずほっぺたにキスをしたくなるくらいに、とっても可愛らしい寝顔でした)
それからどれくらいの時間が経ったころなのでしょう。
ほろほろ。起きて。ほろほろ。
そんなほろほろのとっても大好きなれい博士の優しい声が聞こえてきました。
「れい博士?」
ほろほろはゆっくりと目を開けました。
するとそこには柔らかくてとってもあったかいぼんやりとした光の中にいる、とっても優しい顔をして笑っているれい博士が、ほろほろのことをじっと見守るようにして見ていました。
「れい博士」
ほろほろは嬉しくなって、ぱあっととっても明るい顔になってまるで小さな花が咲くみたいにして、笑いました。
「れい博士」
ほろほろ。
ほろほろは急いで転びそうになりながら、立ち上がると(でもやっぱり一度転んでしまいました)とことこと小さな足で一生懸命走って、すぐそばにいるれい博士の胸に飛び込むようにして抱きつきました。
そんなほろほろのことをれい博士は『しっかりとその両手で抱きしめるようにして、いつものように受け止めてくれました』。
「れい博士。会いたかったです。とってもとっても会いたかったです」
泣きながら、ほろほろは言いました。
私もずっとほろほろに会いたかった。
れい博士はほろほろのあたまをなでながら優しい声で言いました。
ほろほろはずっと会いたかったれい博士にやっと会えて、れい博士にぎゅっと抱きしめてもらって、とっても、とっても幸せでした。
「れい博士。大好きです。とってもとっても愛してます」
ずっと見たかったれい博士の顔を上目遣いで見ながら、ほろほろはぽろぽろと大粒の涙をこぼしながら、『ずっとれい博士に言いたかったこと』を言いました。
私もだよ。私もほろほろのことが大好きだよ。とってもとっても愛している。
れい博士は言いました。
れい博士がそう言ってくれただけで、ほろほろは生まれてきてよかったって、心からそう思いました。
わたしが『この世界に生まれてきたことにはちゃんと意味があったんだ』って、そう思いました。




