海と夕日と青い花、キラリ⭐︎
◇ぷれいやー1 キラリ おんな 16さい
そうび
ふく:いもじゃーじ
ぶき:すで
どうぐ:しんだすまほ
◇ぷれいやー2 ヨシオ おとこ 30さい
そうび
ふく:はでなじゃーじ
ぶき:きんにく
どうぐ:ーーー
◇ぷれいやー3 ハヤミ おんな 17さい
そうび
ふく:かわのふく ふくろうのねっくれす
ぶき:まどうしのつえ
どうぐ:やくそう
◇ぷれいやー4 みげる
そうび
ふく:ゆうしゃせっと
ぶき:せいけん
どうぐ:ぽーしょん
漁村として有名なニノ村は、海岸に沿って続く切り立った崖の横の浜辺を進んだ場所にあった。
落ちた夕陽を真正面に捉えた湾曲の形をした綺麗な砂浜、桟橋には小型の木製ボードが数隻滞留していて、漣に揺られてゆっくりと上下している。
砂浜から少し離れた場所に、なだらかな傾斜があり、そこに木や藁で造られた幾つもの建物が点在していた。
海と森と空が眺望できる絶好のロケーションは、まるで東南アジアのリゾート地を思わた。
壮観な景色が私の疲れた体と心に染みる。
宿屋を探すために村を歩く、殆どの建物からは室内の灯りが外へ漏れ出ていて、家の隙間から立ち上がる煙からは美味しそうな匂いがした。
炊事場で夕飯を作っているのだろうか。家からは団欒の声も聞こえてくる。危うくホームシックになりそうだ……いや、もうちょっとなってるんだけど。
建ち並ぶ家々の中に宿屋はあった。手続きを済ませて、店主に先に来ているはずのミゲルは何処かと聞くと、隣の酒場にいるとのことだった。
「お腹空いたね、とりあえずご飯にしましょう」
ハヤミの提案に私は激しく首を縦に振る。
「僕は先に体の汚れを落とすよ……あと着替えたい……」
吉岡先生は樹液でテカテカしてる体を小さくして風呂場へ向う。ぬるぬる樹液はとても頑固で海水でも落ちなかったようだ。
「じゃ、行こっか!」ハヤミが私の手を引いた。
酒場に入ると私達のような冒険者と地元民っぽい人で埋め尽くされ、存分に賑わっていた。奥の席でミゲルが女性達と酒盛りしている。
アイツは放っておこう…
なんとか空いているテーブルを探して座ることができると、ハヤミはメニュー欄に目を通す。
「ここの海鮮パエリアが美味しいらしのよね」
鼻歌まじりでご機嫌な様子…。ただ純粋に旅を楽しんでいるのか、はたまた口数が少ない私を、元気がないと思って気を遣ってくれているのか?
そうだとしたら申し訳ない、私、ただのコミュ障なのよ…。
何か喋らなきゃ!ガンバレキラリ!
会話を続かせるヒントは相手に質問する事だと、昔自己啓発系動画で見た事を実践してみよう!
「は、ハヤミはこの村のこと、詳しいけど、ここに来たことは、あるの?」
「ん?ないよ。一度来てみたかったんだけど、来るまでの道中に強いモンスターがうじゃうじゃ居たでしょ?普通ならアイツらを倒さなきゃここまで来れないんだけど、今回はミゲルさんのおかげでニノ村まで来れた。そこは唯一ミゲルさんに感謝するところだね〜」
ハヤミは人差し指を立ててイタズラっぽく笑った。
「そ、そーなんだ…」
……
…
ふんふ〜ん♪←ハヤミの鼻歌
…
会話、完
キラリさんの次回の発言にご期待ください
「あ!あった貝の蒸し焼き!すいませーん!注文いいですか〜!」
ハヤミは手を上げて大きな声で店員を呼ぶと、すぐに恰幅良い元気なおばさんの店員がやって来た
「はいよ〜、注文どうぞ〜!」
「海鮮パエリア2つと、貝の蒸し焼き盛り合わせ、それと白身魚のあっさり煮、これはなるべく骨を取ってください。それと食後に芋とバニラのスイーツを…キラリも食べる?」
私はこくんと頷く。
「2つ!お願いします」
「あいよ!しばらく待ってな〜!」
店員がキッチンへ注文を告げに行くと、ハヤミはメニュー表をパタンと閉じた。よほどここの料理が楽しみだったのか、なんだかすごくニコニコしている。
しばらくすると私達のテーブルに料理が並べられた。
魚介と野菜がふんだんに使われた海鮮パエリア
野菜もエビもデカい!
じゅわじゅわと湯気を立てる貝の蒸し焼き盛り合わせ
ほんのりバターの香りが漂う!
海藻が添えられた白身魚のあっさり煮
ぷりっとした身が美味しそう!
「す、凄い…こんな豪勢な晩御飯がゲームの中で食べられるなんて…」
私は思わず唾を飲み込んで眼鏡を光らせた。
「さ、食べよっか、いただきます!」
一日中歩いて疲れた後に、こんな美味しい海鮮料理が食べられるなんて、この上ない幸甚の至り。
私の達はたちまち料理を平らげてしまった。
「すいませ〜ん!芋とバニラのスイーツお願いしま〜す」
吉岡先生を放ったらかしてほとんど食べちゃったけどまぁ、いいか。
「あ、あのね、キラリ……言っておきたいことがあるんだけど、いいかな?」
うん?
食後のデザートを待っていると、ハヤミが急に照れくさそうに話しを切り出した。
「な、なに?」
「えっと、私のことを、話しておこうと思ってね……」
「ハヤミのこと?」
「そう……じつは私はね。はじまりの村の近くで拾われた捨て子なんだ。
私を育ててくれたのは村の大人達。あの村の人は全員私の家族みたいなものなの。
私はいつか村に恩返しが出来るようにと勉強して、今年やっと召喚士の試験に合格したんだ」
そんな事があったのか……
あの攻略画面のキャラ設定に書いてなかったのは、ハヤミが序盤で死んでしまうキャラだったからなのかな?
「はじまりの村にはこどもの数が少なくてね、特に私と年齢が近い子は全然居ないの。
年上も年下もみんな10歳以上離れてる。私が小さい時は年上から世話をされてるだけだった。
今は逆に私が小さい子ども達の世話をしている。
遊び相手とは呼べないような小さい子どもばかり……
だから、私には今まで年齢の近い友達と呼べる存在がいなかった……だからね、キラリ。
昨日今日知り合ったばかりで図々しと思うかもだけど……」
そこまで言うと、ハヤミはひとつ咳払いをして襟を正し、背筋を伸ばした。
「……私と友達になってください!」
ふぁっ!?
突然の告白に私は目を丸くした。ハヤミは下を向き、握手を求めてテーブル越しに私に腕を伸ばしている。
……友達って……
私には友達がひとりもいない。いや、正確には今はいない。
中学校に上がる前まではそれなりに友達は居たはずだ。それがいつしかその子たちとは会話しなくなり、挨拶すらしない関係になってしまった……
なんでそうなったんだっけ?多分、私のせいなんだと思う。何がいけなかったのかわからないけど。
いや、今はそんなことより、ハヤミ………
あなたはゲームの中のキャラクターで、私はいずれ元の世界に帰る人間。
それなのに、私と友達になりたいだなんて……
死ぬほど嬉しい。
私はハヤミの手を握った。政治家っぽく両手で力強く握った。
パッと顔を上げたハヤミの顔は赤らんでいて、その顔を見て私はむず痒い気持ちになる。
「ふ、ふ、ふつつか者ですが宜しくお願いします」
「ぷっ、何それ?」
なんだか可笑しくて私達は吹き出した。
「あんた達仲がいいねぇ」
さっきのおばさん店員に話しかけられて、私達はサッと手を離す。
おばさんはテーブルに、芳醇なバニラの香りが漂うサツマイモのデザートを置いてくれた。
「二人は観光でここに来たのかい?」
「いえ、旅の途中で立ち寄ったんです。他にも連れが二人います。この村はいい場所ですね、景色が綺麗だし食べ物もとても美味しい。観光気分になっちゃいましたよ」
ハヤミはおばさんの問いに笑顔で答えたが、連れの1人が店の奥で調子に乗って半裸になってるミゲルの事だとは言わなかった。
「そうかいそうかい、あんた達、夕方ごろにここに来たんだろ?じゃあハクボザキの花は見たかい?ここいらで一等綺麗に咲く青い花なんだよ」
さっきの男の子が石を投げてた花?ハクボザキって名前なんだ。
「見た見た!青が輝いてて凄く綺麗だったよ!でもね、おばさん、その花に石を投げつけて落とそうとしている男の子がいたよ。」
「え?」
さっきまで快活に話していたおばさんの表情が曇った。
「その子はササだね」
「ササ?」
「あの子は私の妹の息子、甥なんだよ」
side q
ゲーム内でおかしな動きをしているキャラを発見したと佐川さんから報告があった。彼は今、そいつを調べている。
バグが発生しているのかもしれない…
嫌な予感がするわ。




