吉岡跳びまくり、数えるキラリ⭐︎3
◇ぷれいやー1 キラリ おんな 16さい
そうび
ふく:いもじゃーじ
ぶき:すで
どうぐ:すまほ
◇ぷれいやー2 ヨシオ おとこ 30さい
そうび
ふく:はでなじゃーじ
ぶき:きんにく
どうぐ:ーーー
◇ぷれいやー3 ハヤミ おんな 17さい
そうび
ふく:かわのふく ふくろうのぺんだんと
ぶき:まどうしのつえ
どうぐ:ーーー
すてーたすいじょう:けが
さくせん:ぴょんぴょんとぼうぜ!
時は反復横跳び対決の少し前までさかのぼる…
「膝?」
先生とハヤミは同時にその単語を口に出した。
私達は円陣を組んで小声で話している。
「そう、アイツの弱点はズバリ膝よ。ここに記してあるの」
私はスマホを2人に見せた。
「これは!」
初めて目にする電子端末に、ハヤミは目を大きく見開いて驚いた。
「これを見ればこの世界のことがわかるの、人物やモンスターや地図までも」
私はハヤミが命を落とす部分だけは見せないように気をつけて画面をスワイプしてゆく。
「明星……スマホは持ち出し禁止だと言ったはずだぞ!」
今はそれどころじゃないでしょ!と大声で言いたいところだけど、今回は睨むだけで許してやる。キッ!
「うう……」吉岡先生はたじろいだ。空気読め!
「注目すべきはここよ。ベリアルの事を書いてあるこの部分……」
私が2人に示したのは……
『魔竜族ベリアル。強い者との戦いを好む戦闘狂。短気で乱暴者だが、時には礼節を弁える武人のような振る舞いを見せる。
過去に、弓使いのエルフから右膝を撃ち抜かれて重症を負っている。勇者はベリアルの弱点である膝の古傷を突いて見事に撃退した。苦手なものはトマトジュース。』
「キラリ、それはつまり、先生がベリアルに……」
「僕がベリアルにトマトジュースを飲ませればいいんだな?」
「「違うでしょ!」」私はハヤミと同時にツッこんだ。真顔で何言ってんだコイツは!
「そうか!わかった!膝だな?でも明星。僕は暴力は反対だ、アイツにドラゴンスクリューを仕掛けて膝を痛めつけるなんて出来ないぞ」
何それ?プロレス?カクテル?
「心配しないで先生、そのドラゴンズがなんだか知らないけど、アイツには自分で自分の膝を壊してもらうのよ…
ストップ&ゴーを繰り返してね!」
……
……
「806!……807!………808!」
「810!…811!……812!…813!」
先生のポイントがベリアルのポイントを抜いた。
ベリアルは全身から滝のような汗を流して、肩を大きく揺らしながら跳び続けている。
「824!………824!」
「あぁ!?今ちゃんと跨いだだろうがッ!目ん玉ついてんのか!?」
ハヤミが同じ数を連続で数えると、ベリアルはハヤミを恫喝した。その間にポイントは9点差となり、私は勝利を確信して拳を強く握ったその時、ドサッ!と音と共に、限界を迎えたベリアルがその場に倒れ込んだ。
仰向けになり、ぜぇぜぇと大きく呼吸している。
それを見た先生は跳ぶのを辞めた。
「ベリアル様!ベリアル様!」
部下達がベリアルの元に駆けつけようとするのを先生が止める。
「待てッ!彼に触れば失格になるぞ!」
突拍子の無い先生の行動に、私は思わず檄を飛ばす。
「ちょっと!先生何してんのよ!あと1点だよ!はやくと…!」
吉岡先生は無言で私の方に手を向けて言葉を遮った。
「はぁ、はぁ、何やってんだよ?はぁ、後1回跨いだらテメーの勝ちだ……はやくやれや……ハァ、ハァ…」
黙ってベリアルを見下ろしていた先生が口を開く
「何故だ?」
「あぁ?」
「キミがその気になれば、その背中の翼や腰の尻尾を使って膝を痛めない跳び方ができたはずだ。それにさっきみたいに強い風を起こして僕の邪魔も出来た筈…それなのにキミはそれらを使わなかった」
吉岡先生の質問に、暫く沈黙した後、ベリアルは答えた。
「テメーには翼も尻尾も無ぇ……理由はそれだけだ」
「僕に合わせていたのか…?フッ……武人なんだな」
吉岡先生は微笑み、倒れているベリアルに手を差し伸べ、意外な言葉を口にした。
「今回の勝負、引き分けにしよう!」
「んなっ!」何を言ってんのよ、このアホーーーーーーーーーーーー!!!




