世界は移り、戸惑うキラリ⭐︎3
◇ぷれいやー1 キラリ おんな 16さい
そうび
ふく:いもじゃーじ
ぶき:すで
どうぐ:すまほ べんとう
◇ぷれいやー2 ヨシオ おとこ 30さい
そうび
ふく:はでなじゃーじ
ぶき:きんにく
どうぐ:ーーー
◇ぷれいやー3 ハヤミ おんな 17さい
そうび
ふく:かわのふく ふくろうのぺんだんと
ぶき:まどうしのつえ
どうぐ:ーーー
「わはははは!そう!ここの部位を大きく見せるポーズがサイドチェストだ!」
夜を迎え、村のみんなで卓を囲む。
わいわいと村人に囃されて先生はタンクトップ姿で得意げにボディビルのポージングを披露している。
昼間あんだけ落ち込んでたのに……
それにしても、明日魔王軍が来るらしいけど、村の人達の余裕な雰囲気が気になる…
私はというと、まだ状況が整理できておらず、ずっとそわそわしたままだ。
ご機嫌な先生の横で正座して背中を丸めている私の元に、ハヤミが湯気の立つ飲み物が入ったマグカップを持ってきてくれた。
「これ、暖かいミルクです、よかったら飲んで…」
「あ、ありがとう…」
ハヤミからマグを受け取り、礼を言う。
そして、まだ自分の名前を告げてない事に気付いた。
「ま、まだ私の名前、言ってなかったね、私は…ミョウジョウ、キラリ」現実ではない世界でも自分のフルネームを伝えるのはやっぱり恥ずかしい。
「そっちで筋肉講座してるのが、吉岡先生…」
両手に持ったマグに口をつけ、ずず…とミルクを啜る。立ち上がる湯気で眼鏡が曇った。
「二人は先生と教え子の関係なんだね。それにしてもキラリつて可愛い名前」
「え?」
久しぶりに言われた言葉に驚き、ハヤミを見た。可愛い名前なんて言われたの、小学校低学年以来だよ…。
眼鏡の曇りが晴れた先で彼女が微笑んでいる。
元気付けてくれてるのかな?
やっぱどこか守田さんに似てる。年齢、私と同じくらいかな?
暫く沈黙が続いた後、ハヤミが重い口を開いた。
「……ごめんなさい。私が未熟なばかりに、初めて召喚に成功したと思っていたのに、間違えて貴方達を呼んでしまって……二人は明日の朝早くに、ここから逃げて」
「え?逃げるって、一体何処へ?」
「それは…わからない。でも、ここ居れば二人を魔王軍との戦いに巻き込んでしまう」
「逃げていいなら、そうしたいけど…アナタは大丈夫なの?戦うって、怖くないの?そもそも魔王軍は何のためにこの村に来るの?」
「……魔王の狙いは村の子ども達。連れ去って王都で奴隷のように働かせるつもりなんです。」
何て残酷な……聞いといてなんだけど、逃げにくくなった。
「それでも!…」
ハヤミはある人を指差した。
「大丈夫、この村には勇者ミゲルさんがいるから!」
ハヤミが指を向けた先には、昼間に悪態ついてたミゲルがいた。
下衆な表情を浮かべ、女の人にお酒を注がせて偉そうにふんぞり返ってるいる。
ここの人達が落ち着き払っているのは、アイツが村にいるからなのね。そんな強そうにみえないけど……
「ねぇ、勇者って、どんな存在なの?そもそもアイツは本物なの?」
「…勇者とは、古の時代に、悪いドラゴンの一族を全滅させた救世主様の末裔。
そして、この村の伝承には、村に厄災が降り注ぐ時、聖剣を携えた赤いマントの勇者が現れると伝えてられているの」
赤いマントと聖剣?確かに見た目はそれっぽいけど。
「勇者が持つ聖剣は、力の弱いモンスターを寄せ付けない程神の力に溢れている。そして鍔には梟のレリーフが彫られてあるの。
ほら、ミゲルさんが持つ剣には、たしかにソレがある。間違いなく、彼は勇者」
遠目には判別し難いがなんとなく鳥のような彫り物があるように見える。
「なんで…梟なの?」
「梟は神の使い、そしてこの村の守護獣。『福が来るから梟』とも言って、縁起が良い鳥としても村で信仰しているの。村では梟を模したお守りを皆んな持っているのよ。ほらコレとか」
ハヤミはネックレスの先の小さな木彫りの梟を見せてくれた。
梟、フクロウ……
暖かい飲み物を胃に流し込んだ事と、ハヤミと会話した事で、なんだか少しだけ考える力が湧いてきた。
まずは、元の世界に戻る方法を探すの最優先とし、
とにかく今はこの世界の事を知らなくては。
状況を整理すると……
私たちはハヤミの召喚魔法でこの村に呼ばれた。
此処は日本語が通じる。しかも『福が来るから梟』なんて、日本人が好みそうな駄洒落が使われている。
明日魔王軍なる者がこの村に来る。このままこの村に居れば、おそらく戦力にさせられるだろう。
昼も夜もある。月と太陽はひとつづつ、村の人達は人間のみ。屋外を照らす明かりは村の各所にある篝火、室内は油を使ったランプ。
文明は私たちが住んでる世界より少し前の時代なのかな?
持ってきたスマホは、電源は入る、画面の時計もちゃんと動いているが圏外表記。
他の持ち物はと、ナップザックの中身を全て取り出した。オリエンテーリングの冊子、水筒、弁当…
私は弁当箱を腿の上に乗せて包みをほどき、蓋を開けて両手で持った。
まだ手をつけていない弁当の中身の明太子入り卵焼きを見て、今朝の家族との会話を思い出す。
こどもっぽい父の笑顔、呆れた顔の母…またポロポロと涙が流れてきた。
あの大きな地震…みんな無事なのかな?
「お母さん……お父さん……」湧き出た涙が頬を伝ってこぼれ落ち、弁当の中身を濡らした。
「キラリ……」
ハヤミが私の背中を優しく撫でてくれた。
「明星ッ!!家に帰れる方法を思いついたぞ!」
「ひゃっ!」
また急にデカい声を…
先生はいつの間にか私の目の前に来て屈んでいた。
「先生、か、帰る方法って?」
先生はニヤりと口角を上げた。
「日本大使館に向かうんだ!」
タイトル変更しました。
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