ピコピコ音から始まる、あっちへ転送⭐︎
【1】
猫背って状態の名前には、猫がいるのに全然可愛くない…
私の名前はキラキラしているのに、当人は見目も内面も輝いていない…
春の暖かな朝日が差し込む部屋の中、県内一可愛いと評判の高校の制服に着替え、姿見に写る自分の全身を見て思わずため息が出た。
私には、この可愛い制服は似合っていない…
眼鏡、そばかす、陰キャでオタク、運動音痴、小柄な両親から生まれたとは到底思えない、突然変異なのか身長174センチの長身(突然変異なら、せめて顔を可愛くしてほしかった)
縦ばかりに伸びたメリハリが効いてないボディーに、
極力目立たぬ様にと自然と習得したスキル『猫背』が組み合わさって、私の体はなんとも不恰好なシルエットを生み出している。
そして、今日は学校で嫌な嫌なイヤ〜な行事があるのだ。
いかんいかん、朝からネガティブすぎる!
と、肩をぐるぐると回して肩甲骨をほぐした後、しゃんと胸を張り、身だしなみを確認して、猫を模した小さなチャームが付いてあるヘアゴムを使って、鎖骨あたりの長さで二つ括りにした三つ編みの先を撫でる。
「ヨシ!明星綺楽梨、ちょっとだけ頑張ろう」
自分を鼓舞し、そして自室の『祭壇』と称したカラーボックスへ奉納してある推しグッズへ挨拶する。
「行ってくるね、夕月零くん」
そう言いながら、おそらく最高にキモいであろう自分のニヤけ顔を見ない様に、姿見に手を伸ばして鏡の幕を降ろした。
荷物を抱えて玄関へと向かう途中、母からお弁当を受け取る。
「はい、お弁当。綺楽梨の好きな明太子卵焼き入れておいたからね」
「ホント?ちょっとテンション上がったかも。」
声のトーンが少しだけ上がる。
「そうそう、今日はお昼頃からお天気崩れるそうだけど、オリエンテーリングは大丈夫かしら?」
「え?今日雨降るの?中止になればいいのに」
「あんたそんなに嫌なの?学校の裏山あたりを友達とただ歩くだけじゃない」
母は呆れた顔をした。
いやいや、入学四日目、人見知りの激しいアナタの娘は、まだ友達と呼べる存在がいないのがまぁまぁキツいのですよ、母上。
あと、歩くのしんどい。
「おーい!綺楽梨!」
リビングからパジャマ姿でボサボサ頭の父が顔を出した。
「昨日頼んだゲーム攻略サイトのスクショ、忘れずに俺のスマホにおくっておいてくれよ〜」
「あ〜…アレね」
すっかり忘れていた。
PC音痴、機械音痴、デジタル機器音痴の父親から3世代前の家庭用ゲーム機の攻略サイトを調べてくれと頼まれていたのだった。
ドラゴンなんたら戦記2てRPGの…。
そのゲームは父が中学生の頃に発売された物らしく、かなり難易度高めのゲームだったそうで、攻略本無しではクリアすることは到底無理な代物だったらしい。
当時、受験を控えていた父は、少しはプレイしたものの、勉強に割く時間が増えた為に結局そのゲームはクリアすることなく、鬼畜すぎる難易度も相まって、なんたら戦記2の熱はすっかり醒めてしまい、押し入れの奥へとしまいこんだそうだ。
先週の休みの日、掃除のために実家へ帰っていた父が、ウン十年ぶりに自分の部屋で見つけたそのゲームをわざわざ本体ごと持ち帰ったのだ。
「スクショは撮ってるからバスの中からメールで送っておくね、てゆーか、お父さんもスマホ持ってるだから自分でサイト開きなよ」
そう言ってスニーカーに足を入れて玄関のドアへ手を掛ける。
「やだよ、俺のスマホがウィルスに感染したらどーすんのよ?」
「そんな簡単にウィルス感染するかっつーの」
つーか、私のスマホなら感染してもいいんかい!
「まぁ、頼んだぜ、娘よ、俺は今日一日有給使ってゲーム三昧だ」
喜色満面にぐうたら宣言をする父とは相反し、母は物凄く嫌そうな顔をしている。
そりゃそうだ。平日に一日中こんなこどもみたいな旦那が家でゴロゴロゲームしてるだなんて…
母上、おいたわしや…
母の今日という一日は、私のオリエンテーリングくらい嫌な日なのかもしれない。
「じゃあ、行ってきます」
ドアを開けようとした瞬間、母に背中をバシっと叩かれた。
「痛った!」
「ほら猫背!そんな姿勢じゃ友達できないよ!」
わたしはすぐさま背筋を伸ばし、振り返って恨めしそうな顔で「にゃぁ」と言って外へ出てた。
【2】
時間通りのバスに乗り込み、運良く席に座るとバッグからスマホを取り出す。
この数十分の移動時間、私にはやるべき事がある。
それは…アニメや書籍、動画等で幅広くメディア展開している人気コンテンツ『プラネットアイドル学園』のソシャゲのログインボーナスを獲得する為である!
なんと!今ならサービス開始1周年&春のキャンペーンで一日一回10連ガチャが無料なのだ!
是が非でもこの機に夕月零くんのSSレア名場面カードを引き当てたい!
すぐにでもゲームを始めたいが、ここは公共の場、もしも他の乗客に私のスマホの画面を見られでしたら、恥ずかしすぎて猫背が悪化して背骨が骨折するかもしれない!
そうならないよう、近くの人が少なくなってからゲームをはじめるのだ。
然るべき時がくるまで、まずはニュースサイトを開き、世間の話題に興味のある女子高生を演じる。
記事のタイトルを吟味してる風に、縦に並んだタイトルをゆっくりスクロールさせてゆく
【ドラ1位若き虎、高崎、プロ初登板初白星!】
【人気お笑い芸人デトロイト、夏に解散】
【自由極民党総裁選総理候補者出揃う】
【デジタルホエール取締役に原田元氏就任】
【フィリピンで地震多発!日本での影響は?】
【広告:隣の家のハゲ旦那さんがフサフサに!?】
【春ドラマ視聴率ランキング】
う〜ん、どれも興味ない。
野球も、漫才がイマイチでも何故かバラエティに引っ張りだこの芸人も、悪そうな顔のお偉いさん達も、現実味のないドラマもどうでもいいかな…
スイーッと滑らかにスマホの画面をスワイプすると、はたと指が止まる。
【広告:ゲームプラネットアイドル学園】
記事の間に差し込まれたただの広告なのに、この文字の神々しさ!
光暈が発生して周りの記事が白ボケてるよ!広告だろうと見たい!そして早くログインしてぇ!
早く夕月零くんを摂取したい!でも立ってるオジサンめっちゃ私の手元見てる…うぅ、嫌だわぁ…
『ピロン!』
あ、お父さんからのメッセージ
『チチ、スマホ、スクショ、オクレ』
昭和の電報かよ!心の中でツッ込んだ後、数枚のスクショ画面を父へ送った。
ちょっと待って、このオジサンまだ、見てるよ…
【3】
今日に限ってバスは満員、結局ログインできないままとぼとぼとバス停から歩いて学校へ行き、教室のドアをゆっくり開ける。
『お、おはよぅ…』声にならない口パク挨拶をしながら教室に入る。
背中を丸めながら、目立たぬように早歩きで自分の席へ向かって着席。
「おはよう、明星さん」
隣の席の女子、守田さんが爽やかな挨拶をくれた
「お、おはよう守田さん…」
0.01秒だけ視線を合わせて挨拶を返した。
守田さんは入学初日から気さくに話しかけてくれる。
私だけじゃなく、男女問わず誰にでもだ。
それに笑顔が多く、話し方も嫌味なく可愛らしい、ショートヘアと県内一可愛いと評される制服がよく似合っている。
こーゆー子がモテるんだろうなぁ…ほら、男子達が守田さんをチラ見してるよ…。
入学四日目、クラス内のヒエラルキーがその輪郭を朧げに形成しようとする中で、彼女はいずれその頂点に存在するだろうと私は確信する。
守田さんと話していると気づく事がある。
一見、会話が弾んでいると錯覚してしまうが、私はただ守田さんが聞いてきたことに単調に返しているだけであるという事に。
それで自分は人とおしゃべりが上手くなったと錯覚してしまうのが怖い。
コミュ力オバケ、守田さん、恐ろしい子…。
「そうそう、明星さんは部活は何部にはいるの?背、大きいからバスケ部?バレー部?」
ふいに飛んできた言葉のパンチに思わず仰け反った。
「あぁ、いやぁ〜私、運動は、ちょっ、ちょっと苦手で…しゅ、手芸部に入ろうかなって…」
「へぇ〜そぉなんだ、手芸部良いよね」
彼女は私が長身を活かして運動部に入る姿を想像していたのか…。
なんだろう?がっかりさせてしまったのか?守田さんが求めている返答と違うのか?
「あはは…」と愛想笑いしながら返すのが精一杯だった。
『明星!君は運動部入れ!その恵まれた体、当校で是非活かしてほしい!』
ふと入学初日に、『アホ』から言われた言葉を思い出した
「あ、先生来たよ」
守田さんが教室の前に顔を向ける。
「おーはーよーぉぉぉ!ございまぁァァァァす!!」
黒板前の教卓に出席名簿をバシンと置いて、そのアホが元気よく、馬鹿でかい声で不快な挨拶を炸裂させていた。
我らの担任、吉岡好雄である
【4】
今年、この学校へ赴任してきた吉岡好雄(30)独身、趣味筋トレ、特技スポーツ全般。空手、柔道有段者。
子供の頃に観た昭和のスポ根ドラマの再放送に影響を受けて熱血教師を目指したらしい。
短髪刈り上げマッチョのジャージ教師は、初日の自己紹介で、そのドラマの主人公、泣き虫熱血ラガーマン先生を熱く語り、大学時代には陸上競技でオリンピック強化選手に選ばれた経験も熱く自慢していた。
自分の事をポジティブ明王と称してるこのアホは、男子ウケはいいけど、殆どの女子生徒からは嫌われている模様。
昨日、吉岡先生が指名したクラス委員長、畑中君の号令の元、朝の会が始まった。
「今日はみんなが〜!ん待ちに待った〜!
1年生全員による白堂山周辺を巡るオリエンテーリングの日だぁ!この機に親睦を深め、青春の1ページ目に思い出を刻もう!さぁ、男子はこの教室で体操着に着替えろ!女子は荷物を持って2階更衣室で着替えろ!そしてグラウンドに集合ッ!冊子、弁当、水筒、そして今日という輝かしい日を忘れずインプットする為にぃ、脳内のメモリー整理を怠るなぁ!んははは!」
もぅ、なんだコイツ…ほら守田さんが死んだ目のまま笑顔で固まってる。
「あと、スマホは置いてけぇ持ち込み駄目だぞぉ〜!以上!」
先生は言いたい事だけ言って教室を出て行った。
スマホ駄目だと?いいや、私は持っていくね。
休憩の時に、何処かでこっそりゲームにログインするのだ。
ほら、他の生徒もスマホ持って行くって話してるし、私も持って行っても大丈夫でしょ?
荷物を持って更衣室へ移動し、学校指定のえんじ色のジャージへ着替えた。
制服は可愛いと評判だけど、この体操着はダサい、私が着ればダサさが10割増しになる…。
しかし、………守田さんを筆頭にクラスのキラキラしてる女子達がこのジャージを着ても可愛く見えるのなぁぜなぁぜ?
なんだかまだネガティブに襲われて猫背になる。
お弁当等の荷物を入れたナップザックを背負い、廊下を歩いていると、校庭の中庭の角に二人の人影が見えた。
あれは、吉岡先生と…保健の先生…たしか、久遠先生?だったかな?
30代半ばには見えない若々しい見た目の、ちょっとミステリアスな、翳のある雰囲気を漂わせた綺麗な女性、あれは男子が好きになる系統だわ。
久遠先生が吉岡先生に、折りたたんだ紙を差し出した。
会話はここまで聞こえないが、吉岡先生は「任せてください」と言わんばかりに大きな大胸筋を叩いて受け取っていた。
特別な関係って訳でもなさそうだったので、特に気にせずみんなと同じグラウンドの方向へと歩みを進めた。
【5】
私が通う学校の裏山には、高さ350メートルの小高い山、白堂山があり、頂上には合掌造り風の屋根の資料館が佇んでいる。
夜になるとライトアップされるこの建築物は、この街のランドマーク的な存在である。
山の中腹にある多目的広場のすぐ近くには、この山中で弥生時代の土器などの遺物が発見された時の記念にと、当時の人々の暮らしを再現した竪穴式住居が作られていそうだ。
本日、この山の周辺を巡るオリエンテーリングは、山の付近をひと廻りしたのち、白堂山の中腹まで登り、多目的広場での昼食の予定となっていた。
私はクラスメイト達からかなり遅れて広場に繋がる登り道を歩いている。
この様に遅れている生徒には、当然引率者である教師が必ず付いてしまう。
「明星!やはり君は、どこでもいいから運動部に入って体力をつけるべきだなぁ!その恵まれた長身に体幹がしっかり備われば、こんな風に皆に遅れを取ることはないんだぞぉ!」
ニコニコと横を並んで歩く吉岡先生に、湧き上がる怒りを押し殺しながらか下を向いて「はぁ…」とだけ返事をした。
てゆーか息上がってんだから話かけんなよ、と。
デカい声で生徒の身体的コンプレックスに触れるなんてデリカシーなさすぎだろ!と、言える勇気は今のところ持ち合わせていない。
息も絶え絶えで私が山の中腹の広場に着いた頃、先着していたクラスメイト達はお昼を食べている最中だった。
なかには食べ終えて談笑している生徒もいる。
ゆっくり深呼吸して呼吸を整えていると、汗だくの私に気づいた守田さんが、1番に声を掛けくれた。
「明星さん、お疲れ様!大丈夫だった?」
こんな風に話しかけられるだけでも心が軽くなる
「だ、大丈夫…はぁ、ちょっと疲れただけだから…」
「あれ?吉岡先生は一緒じゃなかったの?」
守田さんに言われて気がついた、さっきまで隣で歩きながら…
筋肉は裏切らない!とか、正しいスクワットの姿勢とか、胸筋と三角筋の美しい見せ方とか、筋肉が発達すると虫垂炎にならないとか、鍛えた体で深呼吸すると酸素が3倍美味しくなるとか…
それ絶対嘘だろ!って知識も交えたどうでもいい話を延々と述べてたハズなのに。まぁ、居ないならそれは好都合である。
「わ、私ちょっとトイレ行ってくるね」
そう守田さんに告げ、トイレを口実にスマホを触る為、その場を後にした。
【6】
多目的広場の横の駐車場にトイレはあった。
個室の数は多くない、すべて使用中だったので仕方なくトイレの建物の裏手に回り、ナップザックからスマホを取り出す。
スマホの暗証番号を指先でススイと解除、お気に入りのプラネットアイドル学園のアプリを起動する…
が!中々起動しない。
「いやいや、ちょっと勘弁してよ…」
スマホの中央で小さい丸がくるくる回っている。
電波を確認するとアンテナ1本とチラチラとWi-Fiのマークが交互に点滅中。
「えぇ…こんな山の中で野生のWi-Fiなんて捕まえないでよ。」とイライラしながらスマホをタップする。
ふと、どこからか微かに電子音が聞こえてきた。
「ん?何、この平成初期のゲームのピコピコ音?どこからだろう」
辺りを見渡すも、私以外の生徒の姿はない、音の発生はトイレ側からでもなさそうだ。
その時、気がついた。
朝、眩い光をこの世界に向けて放出していた太陽が、いつの間にか分厚い灰色の雲に覆われている事に。
生い茂った木々に光を遮られた山の中は、かなり薄暗い。
もしここが絵本の世界だったら、フードを深く被った、鼻の垂れ下がった老いた魔女が突然現れて、毒リンゴを渡してきてもおかしくない、そんな妖しい雰囲気。
それにしてもこの電子音…どこかで聞いた気がする…。少し気になるので、音の発生源を探る為に周囲を警戒しながら…もとい、スマホの電波も気にしながら森の中を歩き始めた。
音を頼りに枝葉を分けながら進んでいくと、開けた場所に藁で造られた茶色の建造物が見えた。
「あ、これって…冊子に書いてあった…竪穴式住居?だっけ」
音はこの中から聞こえてくる。
キョロキョロと辺りを見渡してから、竪穴式住居の入り口に近づき、恐る恐る中を覗き見る。
奥にはぼんやりと四角い光があった。
間違いない、ピコピコ音の正体はコレだ…。電波状況を確信するため手の中のスマホに目をやると、プラネットアイドル学園のタイトル画面にWi-Fiのルーター選択画面が被さっている。
『フクロウ企画』?なんじゃこれ?フリーWi-Fi?怪しいな…。
あの光がなんなのか興味を持ってしまったので「おじゃましまぁす」と小声でいいながらゆっくりと中へ入って行く。
近づくと四角い光はテレビ画面であることがわかった。そして画面には、ドットで形成された文字…
『ドラゴンランペイジハンター戦記2』
ピコピコ音はこのゲームのスタート画面のBGMだった。
「これ…お父さんがやってるゲームだ…」
昨夜、攻略サイトを調べてる時に、リンク内の動画でオープニング画面も見ていた事をおもいだした。
なぁんだ、竪穴式住居の中に電源ONになってるレトロゲームがあっただけかぁ、びっくりしたなぁ……
…
…て、
なんで?!なんでこんな所にゲーム機があんのよ!?
頭の中でノリツッコミしていたその時
「誰かいるのか!」
「ひやぁっっっ!!」
突然背後から掛けられた声に驚いて、私が普段出さない声が建物の中に響いた。
「ん?明星か?こんな所で何してるんだ?」
吉岡先生?なんでここに…あ、ヤバい!
慌ててスマホを後ろに隠す
「駄目じゃないか、勝手にこんな所に入って〜…あ!あったあった、コレかぁ〜」
吉岡先生は躊躇なくゲーム画面に近づき、ゲーム機本体を手に取った。
「えぇ〜っと、電源はどうやって切るんだコレ」
各部のスイッチを押したり倒したりしても画面はそのままだ。
「せ、先生、コレってなんなんですか?」
「ん?あぁ、コレはなあ誰かのイタズラで放置したままだから処分してくれって頼まれてたんだよ…それにしても、どうやったら電源きれるんだ?」
誰かのイタズラって…何の為?それより、本体のどこを触っても電源が切れないままでいる
16ビットのピコピコ音が、不気味に竪穴式住居の中に響いている。
「あ〜もうわからん!僕はゲームとか全然やらないからなぁ」
そう言いつつ、吉岡先生がコントローラーを両手に持ってSTARTボタンを押して、『ピコーン!』と軽快な音が鳴ったその時
私が後ろ手に隠していたスマホが、けたたましい音量と共に激しく震え始めた!
『地震です!地震です!ヴィィン!ヴィィン!地震です!地震です!ヴィィン!ヴィィン!』
同時に、『ズゴゴゴゴゴゴ!』と大きな音が鳴り響き、地面が左右に激しく揺さぶられた!
「うわぁぁぁぁ!!」立っていられない程の揺れに、私は尻もちをついて、頭を抱えて身を守る。
怖い怖い!何コレ?怖いよ!恐怖で目を瞑り、身体が硬直している。
「明星!大丈夫か!此処を出るぞ!」
先生!
吉岡先生は素早く私の元へ駆けつると、私をヒョイと抱き抱え、この激しい揺れをものともせず、先生は光の指す出口へ向かって急いで駆け始めた。
そうだった、この竪穴式住居は当時を再現した耐震性のない建物。潰れたら生き埋めになってしまう!
助けて神様!そう祈っていると、瞑った目に光が感じられた。無事に外に出られたと思い目を開けてみると…
…え、どういう事?
私たちの目の前には、眩しいくらい広がる青空の下、何処かの国の民族衣装であろう服を着たショートカットの青い髪の少女が、驚いた顔で杖を持って立っていた。
その後ろには似たような服装の人達が大勢いる。
私はまったく動けずにいた。先生も、私を抱えたままフリーズしている。
首から上だけを動かして、目に映る風景を脳内で処理する…が、まるで理解出来ない。
さっきまでの揺れは?此処どこ?アンタ達誰?髪、青ッ!なんで地震!収まってるの!?めっちゃ晴れてる?なんで?なんで?
困惑してる私たちをよそに、少女は感極まった表情で後方の人達に向け、腕を挙げて叫んだ。
「やりました!召喚の儀!大成功ですッ!!」
な ん だ そ れ ?
続く
第一話を読んで頂きありがとうございます。
はじめまして、ねずただひまと申します。
2026年、何か新しい事に挑戦してみたい思いから、本格的に小説を書きはじめました。
わたくし、まぁまぁアホなんで、拙い文章で読みづらい部分が多々あると思いますが、何卒ご容赦ください。
それでは次回までサヨウナラ




