【19】
晴れで気温もちょうど良い、今日この頃。凛は甘味処に向かっていた。
「…こんにちは」
「あら、凛ちゃん」
美加がすくに気づき、手を拭きながらやって来る。ああ、普通の日常が幸せだなと思いながら、凛は言う。
「雅巳さんは…」
すると美加が人差し指を立てた。首を傾げると、奥を指される。
ーまさか…。
美加に対してうなずくと、凛は静かに歩いていく。珍しいことに、休憩室の長椅子で雅巳は横になり、寝ていたのだった。
ーやっぱり…。
疲れがたまっているのだと知り、そのまま寝顔を見つめる。そこに陰りはなく、良かったと安堵する。
ーでも油断できないわね。
要の存在は危険で、雅巳にこれ以上。辛い思いをさせたくなかった。
「必ず守ってみせる」
小声で誓うと、雅巳の頬に触れてみる。それでも彼は起きようとしなかった。
ーもう。…少しだけ。
周りを見、誰もいないのを確認し、雅巳に顔を近づける。頬にキスすると、赤くなったのは凛のほうだった。
ーご褒美じゃないけど、たまにはいいわよね。
寝顔に微笑み、髪の毛を撫ででやる。さらさらして絹のような触り心地だった。
ー静かにしてあげよう。
そう決めると、凛は雅巳を起こさず、しばらく側にいたのだった。




