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いざ、魔法学校へ!


 「おい!起きろ!朝だぞ!」

2階からジョウンの声が聞こえる。昨日の出来事でグッスリ寝てしまった。

私は木造の急な木造の階段を降りた。



「朝食だ」

「料理できるんですね」

「あったりまぇだろ?!」


置かれていたのはイングリッシュブレークファストだった。この世界に来てから何も食べていなく、久しぶりの食事だった。私は我を忘れて貪り食べた。


「女の子とは思えない食いっぷりだなぁ」


ジョウンは紅茶を注いでくれた。味が薄かったが、準備してくれただけで感謝している。


ソファに、赤いギンガムチェックのワンピースにメリージェーンが添えられていた。私はそのあまりにも可愛さに凝視してしまった。

あまりにもまじまじと見ているので、ジョウンに勘づかれてしまった。

「新品のワンピースだ。今日着ていけ。その服装じゃまずいだろ」

昨日の夜、シャワーも浴びないで泥の様に眠ってしまった。服はこの世界にに来た時と同じ服であった。

「ジョウンさん、ありがとうございます。私こんな可愛い服を着た事が無いけどどうしよう……」


 私はシャワーを浴びて、服に着替えた。



「おぉ!黒い髪に赤が映えるな!似合ってるぞ!」

父に服装の事で、褒められた事はなかったので、思わず私は顔を林檎の様に赤らめ、微笑してしまった。

「それで、魔法学校までの道のりなんだが……」

ジョウンは紙切れを渡してきた。大雑把だが正確な行き方が記されていた。


「まず、この家の地下一階に隠し通路があって、下水道に通じている。そこから路面電車に乗って、“魔法学校前駅”で降りろ。学校に着いても、怪しい行動をするなよ。学校にはスパイがいる噂があるんだ。」


ジョウンは、一階にあるいかにも隠し通路がありそうな本棚を動かした。だが、レンガの壁があるだけであった。

「なんもないじゃないですか」

「ここからだ」


ジョウンは杖傘を振り(かざ)し、レンガを動かした。地下階段が現れた。


「じゃあな。頑張れ」

「行ってきます、ジョウンさん」


私は数歩進んだところで、

「忘れ物があるぜ」とジョウンに呼び止められた。

ジョウンは私の形見の万年筆を差し出した。

「昨日の晩に魔法発生装置を取り付けておいた。その万年筆、結構厄介でな、一晩かかったんだぞ?」

「ありがとう!ジョウンさん!私、無くしたかと思ったの。それに私この万年筆が無いとやっていけないの」



「大事な物は無くしやすい。それがどんなに硬い絆で結ばれていてもな。」


「いってらっしゃい、ビクトリア」

「行ってきます、ジョウンさん」


私が数歩進むと、レンガの壁は固く閉ざされた。振り向いてもジョウンの姿はなかった。


通路の所々に、ジョウンの魔法で照らされた松明があった。通路は湿っぽく陰湿であった。

私はジョウンから貰った地図を頼りに、進んだ。出口に近づくと水が流れる音がした。


「出口、ここら辺のはずなんだけどなぁ」


私は壁に手を触れると、ひとりでにレンガが動き出し、下水道に通じた。まるで誰かが私を導いてくれている様だった。


下水道から最寄りの駅まではそう、遠くはなかった。

一分もしないうちに列車が来た。

私は車掌にジョウンから貰った切符を手渡すと、にっこりと笑い、どうぞ、と中に案内した。


車内の中は木造のアンティークな感じの雰囲気であった。学校までには時間がかかるので、私は、ジョウンから授かった万年筆を観察していた。

万年筆のキャップのわずかな隙間に精巧な機械が埋め込まれていた。

ジョウンの技巧っぷりに私は心底感心した。キャップを閉めると、窓の外を見渡した。

そろそろ駅に着く——。


 





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