『新・勇者伝説』
世界は暗黒の影に包まれていました。
邪悪な魔王が世界の征服を目論み、人々は恐怖と絶望の日々を過ごしていました。
しかし、人々は希望を捨てませんでした。
古き伝承には、「異世界より勇者が来たりて、魔王を打ち滅ぼさん」との予言が記されていたからです。
ある日のこと。
この世界に一人の勇者が降り立ちます。
その勇者は、神々がこの世界を救うために遣わした、可憐な少女でした。
勇者は聖剣を手に取り、仲間たちと共に魔王を討つ旅に出ました。
旅の道中には、数多くの試練が待ち受けていました。
時には挫折しそうになることもありましたが、長い長い旅の末、ついに一行は魔王の城へとたどり着きました。
黒く冷たい城の中では激しい戦いが三日三晩繰り広げられました。そしてついに、勇者は仲間たちの援護を受けながら、魔王の心臓に聖剣を突き立てました。
こうして魔王は勇者の剣に倒れ、長きに渡る恐怖の時代は終わりを告げました。
人々にはかつての笑顔が戻り、世界には平和が訪れたのです。
勇者は役目を終えると、わずかに残った力を使って、自らの故郷である神々の国へと戻ろうとしました。
しかしその時、旅の仲間の一人である美しい王子様が彼女を引き留めます。
数々の苦難困難を共に乗り越えた二人の間には、いつのまにか深い愛が芽生えていたのです。
勇者は王子のプロポーズを受けると、自らの力を全て解き放ちました。
その力は世界中を駆け回り、荒れた大地には豊かな緑を生やし、枯れ果てた土地に潤沢な水を齎したのです。
こうして神の力を失った勇者は、彼女を深く愛する王子様と共に、この地で末長く幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし――。