表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/22

2.マニマニとプリエラ、王都に来ました。

2日目にして、やっとこさ。

投稿できて良かった…………。

 ◇◇narrator─Manisyu Mani◇◇


 カラカラに手を振ると、カラカラはワイバーンを大きく二回旋回して領の方へと飛び去った。


 左に立つプリエラが、そっと私の手に右手を伸ばして囁く。

「良かったね。カラカラが送ってくれて」

「そうだね、陸路なら間に合わなかったかもしれないからね」

 そう答えながら、プリエラの小さな手を握る。

 ワイバーンなら一日で着く距離も、陸路なら馬車に揺られて一ヶ月はかかる。

 それにしても、大きくなったと思っていても、手を握るとプリエラがまだまだ小さい子供なんだと感じてしまう。もう学校に行く年になったなんて信じられない。


「今日のマニマニの服、格好良いよ」

「プリエラのドレスも可愛いわよ──あっ、プリエラ様でしたね」

「あっ、そうだぁ、さっきマニマニがカラカラを叱ってたのにぃ」

「だから、言い直したでしょ」

 ちょっと歪な姉妹のような関係。

 九歳の時から、近所に住むバーサにお願いされて、怪我をしたナティ様という元聖女のお世話をしていた。その後、シリウス様とナティ様が結婚して、正式にメイドとなり、プリエラ様が産まれてからは、プリエラ様と共にいる。別に侍女とかメイドに憧れてた訳でもない、ただの町娘だったんだけどな……。

 うん、プリエラ様は可愛いからOK!

 そして、いつの日かアルファディオの嫁の座をGETする為の花嫁修行!


「それにしても、人が集まってるねぇ」

「そうですね、やっぱりワイバーンで王都内まで来たのは、失敗でしたかね。プリエラ様」

 そうなんだよね。途中で見たどの町でも魔獣やモンスターなんて見なかったし、地元でもカラカラくらいしか連れてなかった気がする。ドラゴンライダーとか言うドラゴンに乗る騎士さんの話を聞いた事があるから、都会ではもっと一般的なのかと思っていた。あれは冒険者小説の中だけだったかしら?

 バーサはしょっちゅう獣やら魔獣やら拾ってくるし、カラカラは簡単に手懐けて飼育するから感覚が麻痺していた。ちなみに、カラカラはマニマニの弟だ。

 そういえば誰かが言ってた。『バーサとカラカラが本気を出せば、世界征服できるんじゃないか?』と。それぐらい、多くの獣やら魔獣を御屋敷で飼っている。

 やっぱり、ワイバーンで来るのは間違ってたかもしれない。


 バーサはシリウス様の元乳母。シリウス様のお世話をする為に王都からシリウス様にくっついて来たらしい。これからお世話になるアリアドル家にバーサの息子さんもいるって聞いてる。まぁ、私を幼い時から雇ってくれたのもバーサだし。バーサの息子さんなら悪い人のハズがない。何とかなるでしょ。


「あ〜あ、こんなに簡単に着いちゃて……。屋台通りとか見たかったのにぃ」

「それについては、これから王都に住むんですから、何回でも行けますよ。プリエラ様」

「王都って、甘い物いっぱいあるんでしょ。前にアル爺が買ってきてくれたドーナツってお菓子食べたい!」

「それに関しては同意です。早めに入手しましょう。プリエラ様」

「ねぇ、マニマニ。いちいち『プリエラ様』って言わなくても良いよ」

「いえ、今後、プリエラ〝様〟を呼び捨てにしない為の練習です。プリエラ〝様〟」

「ブ〜ブ〜〜」

「ブ〜ブ〜言ってると、ブタになりますよ。プ〝ニ〟エラ〝様〟」

「プニエラ違うもん。ブタ違うもん。プリエラ様だもん」

「自分に〝様〟を付けるのはどうかと思いますが?プリエラ〝様〟」

「モ〜〜!」

「今度は牛ですか?──あっ、そろそろ着きそうですよ。しっかり挨拶してくださいね」

「ふぁーすといんぷれっしょんは、大事だもんね!」

「その通りです」


 アルファディオのくれた銀色のブレスレット型魔道具。正式名称〝アルくんの愛情リング〟。本当は、空中に盾を生みだす魔道具。だけど、これを利用して創った円盾の階段。幾つもの銀色の円板が段になった空中の階段は、気持ちが良い。

 空中から見る王都の風景は、大きくてカラフル。

 風が頬を撫でる。

 いろんな人が生活してる、大きな街。

 ここで、これから暮らすんだ。


 ちなみに、アルファディオは、色々あって地元で家宰をする事になった悪魔さん。アルくん(子供形態)、アルさま(成人形態)、アル爺(老人形態)の三段に変形する、私のラヴァー(仮)。

 凄い魔道具を創る事ができるんだよ。この階段にしている銀色の円板(盾)を出す銀色の〝アルくんの愛情リング〟もそうだし、透明の〝アルさまの愛情リング〟と、金色の〝アル爺の愛情リング〟もそうで、今も私の両手首に着けられている。左右六個、三セットのブレスレットは、アルファディオからの愛の証明。

 訳あって地元の大老をしている堕天使のウリエラ様と一緒に、領主のコサイスタン爺ちゃんをフォロー(イジメ)してる。王国広しといえども、悪魔とか堕天使が管理してる領はないそうなんだ。おそらく、人間界の何処にもないに違いない。だから、地元の領は、完全自治権を持つ、特別な領だって聞いている。で、シリウス様はそこの騎士団長。


 と、言う内に地面に着きます。

 顔を整えて(すまし顔にするって言う事)、背筋を伸ばして、田舎者とバカにされないようにしないといけない。

 地面に降り立ち、繋いだままだったプリエラ様の手を離すと、プリエラ様は一歩前に出て、可愛い笑顔を満面にして挨拶を行います。


「プリエラ・N・アリアドルです。学園入学の為にまいりました。お世話になります」


 よく出来ました◎ 

ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ