毒見係として食べた白身魚のソテーが美味しすぎます!
以前書いた読み切り『意地悪そうな侯爵家令嬢様に毒見係を命じられましたけど、ご飯が美味しすぎて役得です!https://ncode.syosetu.com/n9548ij/』の続きになります。
そっちでは導入だけで役得部分を書いてなかったからね。仕方ないね。
どうぞお楽しみください。
「こ、これは……?」
「白身魚のバターソテーですわ」
わ、熱々の湯気……!
いい匂い……!
絶対美味しいやつ……!
「さ、早く召し上がってくださる毒見係さん? 私も早く食べたいのですから」
「わ、わかりました!」
マリーアネット様の言葉に慌ててナイフとフォークを持つ。
そう、私は侯爵家令嬢マリーアネット様の毒見係……。
口にした食べ物に命を奪われるかもしれない仕事……。
でも、貧乏な我が男爵家のため!
私は命をかけて、この食事に挑む……!
「いただきます!」
端っこを小さく切って、震える手で口に運ぶ。
!
「お、美味しい!」
ふわふわの身!
口に広がるバターの香り!
塩加減も最高!
もう一口!
「うわぁ……!」
美味しいよぉ!
もうこれに毒が入っていて死んでもいい!
「……毒はないようですわね」
「あっ、はい!」
しまった!
夢中になって報告もしないで半分以上食べちゃってた!
「ではいただきますわ」
「……はい……」
「あなたもそれ、無駄にしないように全てお食べなさい」
「わ、わかりました」
あぁ、良かった!
これ全部食べていいんだ!
うーん! 幸せ!
毒見係って良い仕事だなぁ……!
次は死ぬかもしれないから、この味をできる限り堪能して……!
「……な、何をしていらっしゃいますの……?」
「皿に残ったソースが勿体無いので、パンに吸わせて食べてます!」
「……そう……」
「……あ」
し、しまったぁ!
侯爵家のお作法としてはまずかったかな……!?
「私も……」
「えっ」
「……確かにこれは美味しいですわね」
「!」
マリーアネット様、私に恥をかかせまいと……!?
意地悪に見えたけど、お優しい方なのかしら……?
あああぁぁぁ!
食べ飽きたと思っていた白身魚がこんなに美味しいなんて!
しかもパンでソースを残さず拭うのは、それに心血を注ぐ料理人への最高の賛辞の一つ……!
あまりにこの味に慣れてしまって忘れていましたわ……。
やはりこの子を毒味役にして正解でしたわ!
読了ありがとうございます。
マリーアネットは、ずっと表情を崩さないようにぷるぷるしてます。
そんな事とは知らずに主人公は美味しそうに食事を楽しむのでした。
お楽しみいただけましたら幸いです。