表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

侯爵家令嬢と毒見係

毒見係として食べた白身魚のソテーが美味しすぎます!

作者: 衣谷強

以前書いた読み切り『意地悪そうな侯爵家令嬢様に毒見係を命じられましたけど、ご飯が美味しすぎて役得です!https://ncode.syosetu.com/n9548ij/』の続きになります。

そっちでは導入だけで役得部分を書いてなかったからね。仕方ないね。


どうぞお楽しみください。

「こ、これは……?」

「白身魚のバターソテーですわ」


 わ、熱々の湯気……!

 いい匂い……!

 絶対美味しいやつ……!


「さ、早く召し上がってくださる毒見係さん? 私も早く食べたいのですから」

「わ、わかりました!」


 マリーアネット様の言葉に慌ててナイフとフォークを持つ。

 そう、私は侯爵家令嬢マリーアネット様の毒見係……。

 口にした食べ物に命を奪われるかもしれない仕事……。

 でも、貧乏な我が男爵家のため!

 私は命をかけて、この食事に挑む……!


「いただきます!」


 端っこを小さく切って、震える手で口に運ぶ。

 !


「お、美味しい!」


 ふわふわの身!

 口に広がるバターの香り!

 塩加減も最高!

 もう一口!


「うわぁ……!」


 美味しいよぉ!

 もうこれに毒が入っていて死んでもいい!


「……毒はないようですわね」

「あっ、はい!」


 しまった!

 夢中になって報告もしないで半分以上食べちゃってた!


「ではいただきますわ」

「……はい……」

「あなたもそれ、無駄にしないように全てお食べなさい」

「わ、わかりました」


 あぁ、良かった!

 これ全部食べていいんだ!

 うーん! 幸せ!

 毒見係って良い仕事だなぁ……!

 次は死ぬかもしれないから、この味をできる限り堪能して……!


「……な、何をしていらっしゃいますの……?」

「皿に残ったソースが勿体無いので、パンに吸わせて食べてます!」

「……そう……」

「……あ」


 し、しまったぁ!

 侯爵家のお作法としてはまずかったかな……!?


「私も……」

「えっ」

「……確かにこれは美味しいですわね」

「!」


 マリーアネット様、私に恥をかかせまいと……!?

 意地悪に見えたけど、お優しい方なのかしら……?




 あああぁぁぁ!

 食べ飽きたと思っていた白身魚がこんなに美味しいなんて!

 しかもパンでソースを残さず拭うのは、それに心血を注ぐ料理人への最高の賛辞の一つ……!

 あまりにこの味に慣れてしまって忘れていましたわ……。

 やはりこの子を毒味役にして正解でしたわ!

読了ありがとうございます。


マリーアネットは、ずっと表情を崩さないようにぷるぷるしてます。

そんな事とは知らずに主人公は美味しそうに食事を楽しむのでした。


お楽しみいただけましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の食べっぷりかわよ。 マリーアネット良かったね! [一言] めっっっちゃ美味しそう&面白かったです!
[良い点] 美味しそうに食べてる主人公ちゃんも、表情を崩さず内心で叫んでるマリーアネット様も可愛いです! 無駄にしないように全てお食べなさい、とさりげない優しさを見せているのもマリーアネット様、素敵…
[良い点] 主人公もお嬢様もかわいい( *´艸`) このままふたりで幸せな食卓を囲んでいてください!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ