2 分岐
私は帰ってきたその日、会社に辞表を出した
上司「何があったかは知らないが、これは中々痛手だな」アハハ
私はこの父親の様な上司の元で働くのは好きだったけど、今日でここともおさらばなのか
茜「本当にお世話になりました」
上司「うん、これからも頑張ってな」
その日は引き継ぎの資料等を作成して退社した
楓side
-次の日-
楓「あれ?上司、楓の席が空なのですがどうしたのですか?」
朝出社して茜の席がスッキリしているのを見て何か嫌な予感がした
上司「あれ?聞いてない?茜くん辞めちゃったんだよ」
当たって欲しくない私の感は当たってしまったようだ
楓「な、何故ですか?」
上司「一身上の都合だってさ、茜くんは優秀だったし中々な痛手だよねぇ」
その日は仕事に集中出来なかった、家に帰ってもボーっとしていて気が付いたら寝ていたようだ、茜の私物が無くなって寂しくなった部屋を見渡すと、私が決めた決断なのに凄く後悔している
楓「はぁ、本当に最低だ私…」
-1週間後-
彼氏「へぇ、ここが楓さんの家か」
楓「うん、前まで一緒に住んでた子が居たんだけど、やっぱり1人には広すぎよね」アハハ
私は結婚を前提に付き合った彼氏と同棲するために、今彼の荷物を部屋に運んでいる
彼氏「ちょっと御手洗行くね」
楓「うん…はぁ、茜…私は幸せになるよ、だから貴方も…」
茜side
母「仕事見つけた?」
茜「うん、知り合いがカフェを経営してるんだけど、お父さんが急に倒れて人手不足だからこない?って」
母「そう、無事再就職ね」
茜「ここから少し遠いからまたアパートで一人暮らしするよ」
母「うん、頑張りなよ」フフ
私は無事再就職する事が出来た、経験したことの無いお仕事だけど頑張ってみる
-1週間後-
茜「じゃあまたね」フリフリ
母「たまには帰ってきてね」フフ
父「頑張ってな」
親に暖かく見送られ新しい住居にやってきた、前よりは狭いけど1人なら余裕なスペース
茜「荷物少なくてよかった、明日から出勤だしお店に顔見せに行こ」
カフェの経営をしているのは高校の時の同級生で「吉井海」ちゃんだ、身長も高く男子よりイケメンで緑ロングの似合う女性だ
茜「やっほー」
海「おっ!茜ちゃんー!」
まっ眩しい!その美男美女を組み合わせたような笑顔!ちくしょう、どこで私は道を外れたんだ
海「ん?どうしたの?」
茜「いやぁ、眩しいその笑顔に浄化されてるのよ」
海「えっ!?そ、そのえーと」アタフタ
海は何故か私に弱い、そのせいで高校の時はずっと私の後ろに海が居てちょっと怖かった
それから海にコーヒーを入れてもらい雑談を始めた
海「それにしても、いきなり会社辞めるなんてどうしたのさ?」
茜「いやぁー、まぁちょっと色々あって」
海「彼女さんは止めなかったの?」
あぁ、やっぱり聞くよねぇ
茜「…」
私が少し黙っていると、海は察したようで
海「そう、そういう事ね」ヨシヨシ
海はその少し大きい手で優しく頭を撫でてくれた
海「いいんだよ、そんな今にも泣きそうな目を我慢しなくて」
茜「…ヒック…ごめんね、今だけ、今だけだから…」
別れてから我慢していた涙が、海に優しくされると止まらなかった
泣き止んだ後お店の制服やロッカーの鍵を貰い、簡単な接客を教えて貰って帰路に着いた