1 別れ
母「もうあなたもいい歳なんだから、そろそろ結婚相手さがしたら?茜」
私の名前は藤原茜、久々に実家に帰ってきたら母から耳にタコができるくらい結婚の事を言われた。
私はそれを全て適当にあしらって部屋にある1枚の写真を見つめて思い出していた
-半年前-
???「ねぇねぇ、今日のご飯は何がいい?」
茜「んー、ハンバーグが食べたいな」
私には今付き合っている女性がいる
???「ハンバーグでいいの?」
茜「うん、楓のハンバーグが食べたい」
楓「分かった!腕によりをかけて作るね!」
彼女は橋本楓、会社の同期で周りに気を使えて常に明るい、ポニーテールの似合う元気な女性だ
私達は同じ部署に配属されて、同期というのもあって話したら凄く気があったのでそれ以来よく話すようになった。
入社して2年経ったある日、楓から告白をされて付き合う事になった、私も楓のことを友達以上に好きだったためとても嬉しかった。同性のため少し不安も感じていたが、とても充実した毎日を送っていて杞憂だった。
それから同棲しようという話になり、現在会社に近いマンションで2人暮らしをしている。毎日がとても楽しくて幸せだった、「今日」までは…
ご飯を食べ終え洗い物を片付けると、楓が「話がある」と言ってきたので向かい合って椅子に座る。
楓「実は、私そろそろ結婚とか考えててその…別れて欲しい」
私は一瞬何を言われたか分からなかった、分かりたくなかった
楓「私達ももう26だしそろそろ将来の事考えた方がいいと思うんだよね」
楓の言うことは最もだ、私のことも考えて言っているのは分かる…分かるけど嫌だ
茜「…だ」ボソ
楓「え?」
茜「嫌だ!もちろん楓の言っている事は分かるよ!?でも…そんないきなり言われても…」
いきなりの別れの宣告に頭が回らず言葉が整理できない
楓「本当にごめんね、嫌いになったとかでは決してないの」
私も楓も涙を流して色々話し合った
楓「実は、結婚を前提にお付き合いする人がいるの」
私はこの言葉で楓のことを見れなくなった、私は別れたら何も無いけど、楓にはある…このことを知ってしまったらなんかもうどうでも良くなってしまった
茜「そうなんだ、じゃあこのマンションは私が出て行くよ、その人とここで暮らしなよ」
楓「えっ!?で、でも…」
茜「いいよ、私1人で暮らすにはちょっと広いし家賃高いもん」アハハ
まぁ、本当にここで1人はキツいし新たな家族ができる楓に住んでいてもらった方が絶対にいい、何より早く楓から逃げたかった
楓「本当にヒック…ごめんね、会社で何かあれば何でも手伝うし、仕事とかも回してくれて全然いいからね」
茜「そんな事しないよ、今後は彼氏のために頑張りなよ」アハハ
その夜は楓が泣き疲れて寝てから私は荷造りをして始発の電車で実家に一旦帰った