閑話 浸潤と転移
「浸潤」と「転移」は異なる。
「浸潤」というのは染み渡るようにじわじわとした移動のことだ。
イメージとしては混雑した人混みのなかをかき分けながら移動していく感じ。
「転移」というのは移動そのものというよりも移動した結果を指す。
マジックショーの瞬間移動とかだろうか。ある地点にあったがん細胞が別の地点でも見つかったとき転移したと表現する。
当然ながら何もなくて突然に移動していることなどない。タネが存在する。
皮膚の表面を考えると分かりやすいのでそれで説明していく。(実際の皮膚がん等とは異なる)
皮膚表面に腫瘍ができたとする。
浸潤しない場合はその場で細胞塊(デキモノのような塊)ができる。
この場合はその場で膨れているだけなので除去すれば終わる。
問題は浸潤がおこる場合だ。
ここで少し細胞について。
皮膚の表面があり、その奥に血管があり筋肉や骨があることは分かるだろう。このうち皮膚の表面を上皮、血管のあるところを結合組織などといったりする。この上皮と結合組織の間には「基底膜」とよばれるものがある。
とりあえず大雑把に、上皮-基底膜-結合組織(血管が存在)と階層構造になっていると思ってほしい。
ここで浸潤の話に戻る。
皮膚表面の腫瘍、つまりは上皮に発生した腫瘍だが、普通はこの上皮だけで基底膜を通過できないのだが。
この腫瘍が基底膜を通過して結合組織にまで移動できるようになるのを「浸潤」という。
こうして浸潤できるようになった腫瘍が「がん」である。
こうして結合組織まで移動できると、そこには血管が存在している。
移動してきた腫瘍というよりがん細胞が血管内に入り込み、血液の流れに乗って体中を移動してどこかへくっつき、そこで増殖を始める。
これが「転移」と呼ばれる現象となる。
こうした過程を経るのでがん細胞が即座に転移するわけではない。がんの進行というのはこの転移するまでの過程と理解してもいいのではないかなと思う。
早期発見、早期治療が大事と言われるゆえんもここらへんだと思う。
イメージのしやすさから敢えて血管を取り上げたけれど、体中に張り巡らされた循環器として「リンパ」も転移には大きく関わりますのでご注意ください。
長く書いたけど図だと一発だよなぁとも思います。




