第9話
それからは個人の修行が続いていった。
残りの半年は長かったようで一瞬の時間が過ぎていった。個人で何回も悩み、何度も迷走し続けた。
そして3人とも自分の答えへたどり着く。
トントンッ
ミノラスは男がいる部屋のドアを叩く。
「決めたか、ミノラス。」
「はい。」
そういうとミノラスは椅子に座り話し出す。
「俺は、やっぱり王都直属軍にいきます。」
「そうか。」
男はそう告げてミノラスと他愛のない話をした後、ミノラスを部屋の外に連れ出す。
そして山の頂上まで行き、日が暮れそうな夕日の方を向きしゃべり出した。
「俺はこんな腐った世界を変えてくれる人をずっと探し続けていた。そんな時、お前と出会った。
誰よりも努力をして、誰よりも人に好かれる。
そんなお前はこの世界さえも変えてくれると俺は
信じている。」
そういい男は山を降り始め、帰っていく。
「俺が世界を変える、か。」
少し考え事をした後、ミノラスも男の後に続き帰っていった。
〜〜
やがて出発の日になった。
3人とも荷物をまとめて、山を背にお礼を告げる。
「1年間ありがとうございました!」
無駄な言葉は使わず、最低限の言葉だけでいい、
それがもうすでに朽ち果てた、軍人への最大の礼儀みたいなものだからだ。
「あぁ、頑張れよ」
そういい、男は山へ戻っていく。
そして3人とも歩きだし、やがてふもとへたどり着いた。
「ここでお別れだね」
リサは寂しげな顔でいう。
「だね、けど俺らの絆は決して消えるようなものじゃないよ!」
ステルはリサを励ます言葉をかけた。
「そうだぜ?それにきっと、またどこかで会えるだろ!」
ミノラスが言葉をかけるとリサは不安を消したような、清々しい顔になった。
ミノラスとステルは王都直属の軍へ行くが、リサは
炎の国の魔導士団は行くこととなり、2人と離れることとなってしまった。
だが、リサは推薦を勝ち取り、魔女からの飛び級になった。
どうにもあの山の男は推薦屋みたいなものらしく、有望株をいろんな国に放出している人らしく、ステルは少将から、ミノラスは中将からの超飛び級になった。
「じゃあそろそろ行くか!」
ミノラスがそういい2人はエデアへ、1人は飛行船で炎の国へ。
3人の背中はそれぞれの覚悟に満ちていた。




