第5話
ここからしばらく修行についての話です。
「もっと集中力を上げろ!!!」
男による修行は生半可なものじゃなく、1日、1日の限界までしっかりと追い込むようなものだった。
「くっ!!...だはぁ!はぁ、はぁ、だ、だめだ
意識はできているけど、圧縮させることができない。」
想像の何倍、いや、何十倍も難しいことだった。
そんな過酷な修行の中で、いち早く才能を発揮し出したのは、意外にもリサだった。
「わぁー!!ミノラス!ステル!
私もう出来たよ!!」
リサはそういい俺たちに向かって掌を見せてきた。
右手には白い玉、左手には青い玉がはっきりと浮かんでいる。
「す、すげぇ。」
ミノラスとステルはただ、呆然とその玉を見つめることしかできなかった。
そして男が穴の奥から出てくると
驚いたような顔をして、2つの球を見つめていた。
「リ、リサ、君はなかなかいい筋をしているようだね。」
そういうとリサは男に別の部屋へ連れてかれていった。
ミノラスとステルは早くも才能の差を見せつけられて、悔しそうな顔をしている。
だが、ミノラスはすぐに自分のやるべきことに切り替えて仲間に声をかける。
「よし!俺たちも早く追いつこうぜ!」
「うん!」
そういい2人は自分の修行に専念した。
〜
その日から4日ほどだった。
ミノラスとステルは休憩をしていると
ゴオオガアアアアオオオオオン
とリサがいる部屋からとてつもない轟音が響いてきた。
「なんだこれは!?」
そういいリサの様子を見にいくと、木の杖を持ち、呪文のようなものを唱えている。
「アガサレフ・レンリ・ア・ゲッバージ!!」
そう唱えると
リサの頭上にあった炎の柱のようなものが岩の壁を焼き払った。
「す、すげぇぇ!!!、リサ凄すぎるよ!!」
ミノラス、ステル、そして、師匠である男でさえも目の前で起こったできごとに驚きを隠せないでいた。
「君は本当にいいものを持ってるよ。」
男はそういい、俺たち3人を集めさせた。
「ミノラス、ステル、君たちももう圧縮はできるようになっただろ?」
「はいっ!」
そういい2人とも自慢げに気と精霊力の玉を両手に浮かばせていた。
「よし、じゃあ、君たち2人にも、魔法、について
話していこうと思う。」
「はい」
男はいくつかの紙に魔法のことに関して書きだして、その紙を見てうなずき、話し始める。
「魔法というのはな主に精霊力と気の融合や、精霊力単体だけなどで使うことが出来る。そして魔法には主に6つの属性がある、主に、火、水、切、光、闇、回復の6つに分けられ、魔法には各属性につき、8までのレベルがある。」
「6つの属性、8つのレベル...。」
「あぁ、そうだ、そして世界にはこの6つ以外にも属性があるのだが、それはまた、今度にしよう。」
男は2枚目の紙を見せ、話を続ける。
「そして今から君たちに覚えてもらうのは各6属性のレベル6魔法までだ。」
「6!?」
ミノラスとステルは先が遠い話に混乱を隠さないでいた。
「あぁそうさ、だけど実際にもう4日間でレベル2魔法まで完璧にできているって奴はここにいるんだよ?」
そういい男はリサの方へ視線を向けた。
「彼女は世界でも滅多にいない、天才、ってやつさ、彼女ほどではなくても、2週間でレベル2ぐらいまではいって欲しいね。」
そうして男は「君たちなら出来る。」と言わんばかりの、視線を向けて魔法についての本、詠唱の内容が書かれている紙を渡し、男は奥の部屋へといってしまった。
「ミノラスもステルも今日からまた一緒に頑張ろうね!」
リサの無邪気な笑顔とは裏腹の、先が遠い話への不安と共に
魔法についての修行に入った。




