第3話
アルバの元を旅立った3人は北の山のふもとまで
たどり着いていた。
「やっとついたな」
「そうね〜」
「もう僕クタクタだよ笑」
3人とも食事もあまりとっていなかったため
疲労が蓄積していた。
「じゃあ今から少し登ったところで、飯でも食べようぜ」
ミノラスがそういいステルとリサは
もう一踏ん張りだと思い、山を登り始めた。
〜〜
「ふぅ〜、だいぶ高くなってきたね!」
「おい、リサー!はしゃいで落ちんなよー」
「平気平気!ミノラス達も早くしなよー!」
リサだけは少し早いペースで登っている。
「疲れたねーミノラス」
「そうだなー、てかリサってなんで俺らよりも
運動神経がいいんだろ?」
「生まれつきの才能ってやつじゃない?笑」
ステルはリサの幼馴染みなのだがリサのことは
あんまり詳しく知らない。
「ふーん、まぁいいや、俺らもさっさと登っちまおうぜ!」
「うん!」
そういい2人は少しペースを上げた。
〜〜
しばらく登っていると、大きな穴の開いている空間が出てきた。
「ここでご飯にしよっか!」
リサはそういうとバスケットの中から
サンドイッチを取り出した。
「はい、ミノラス、ステル」
「ありがとう」
リサは意外にも、料理がうまかった。それも、結構すごいほうで。
ユーグリッドの中でも主婦に負けず劣らずのうまさで、レストランなどでもたまにバイトなどを頼まれるぐらいだ。
特にサンドイッチは格別で、村のみんなもその味を求めリサの家へおしかけたことがある始末だ。
〜〜
そしてご飯が終わり、空の色が明るさを失おうとしている頃だった。
誰かが、穴の奥から来る気配がした。
「誰だっ!」
その気配にいち早く気づいたのはミノラスだった。
カツンッカツンッカツンッ。
奥から足音が聞こえて来る
「すこし不気味だね。」
リサは少し、怯えてるようだった。
そして長い沈黙が過ぎて、穴の奥から出てきたのは
40代前後の、筋肉質で、身長が大きく
いかにも「軍人」という言葉が似合いそうな
男だった。
「貴様らが、我に教えを乞うという
旅人達か?」
いきなり出てきた大男に困惑しながらも
ミノラスが質問に答える。
「そうです、俺はミノラス、こっちの2人が
リサと、ステルです。」
「ほほう。」
その男は深妙な面持ちでこちらを見ている。
技量を測っているのか、はたまた潜在的な能力を測っているのかはわからない。
だが、明らかに雑念がなく、真剣な顔でこちらを見ていた。
「よし、いいだろう、君たちは今日から
半年間、ここで心身共に、鍛えていくがいい。」
そう言われて、男は手招くようなそぶりをして穴の奥へ3人を連れていった。
〜〜
歩いていて分かったのだがどうやらこの山は宿のようになっているらしい。
山の中を掘り進め、いくつかの部屋や、4つほどの階をを作り、地下から水まで上がってきている。
まるで本当の宿舎のようだった。
「この3部屋を自由に使ってくれ。」
そういわれ、俺たち3人は別々の部屋へ入った。
それぞれが疲れていたためそれぞれの部屋の風呂を利用し、寝る準備をしていた。
〜〜
ー明日からどんな日々が待っているんだろうー
そんな期待でも、不安でもない、不思議な感情を
各自は胸にしまい、眠りについていった。




