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チートなしの俺TSUEEE!  作者: くびねこ
1/1

お決まりのプロローグ

 俺、猪勢海人は享年三十歳にて、さっき死んだ――はずだった。


「なんで生きているんだ? というかさっきまで……」


 気付くとそこは、宇宙に浮かぶ神殿のような空間で、この世の人間とは思えないほど美しい女性が立っていた。


「初めまして、猪勢海人さん」

「あ、あなたは……?」

「申し遅れました。私は、女神アメリアというものです」

「本当に人間じゃなかったー! ならここって――」

「神の住む地とでもいいましょうか」

「ということは、やはり僕は……」

「残念ながら……過労死によるものでした」


 そう。俺の記憶が正しければ、俺は数分前に死んだはずなのだ。いわゆるブラック企業に勤めていた俺は、意識が朦朧とする中、つい信号を見ずに道を横切ってしまったのだ。


「――ってあれ? 僕の死因は交通事故ではないのですか?」

「はい、過労死の直後で車に轢かれたようです」


 どんだけ運悪いんだ俺。しかしこのどこかで見たようなテンプレ展開、まさか……な。


「あのぅアメリア様、これから僕はどうなるんでしょうか?」

「海人さんには、ご自身の潜在意識の希望を基に、地球とは別の星に転生していただこうかと思っていますがよろし――」

「異世界キター! あ……急に叫んじゃってすみません」


 やっぱり、最近のラノベお決まりのプロローグだ。しかしまだ俺TSUEEEできることが決まったわけじゃない。これからもらえる転生特典選びは慎重を期すぞ。


「いえいえ、ただでさえ突然の死で混乱しているのですから。しかし、拒否や驚嘆による大声ではないようですね。なぜか最近の地球出身者さんは実に物分かりがよく、すぐにご快諾いただけるので説明の手間が省けています」


 それは間違いなくラノベの影響ですよ、アメリア様。あの世界のエンタメは面白かったが、世界自体にはなんの未練もない。

 てかラノベの影響すごいな~。いや、ラノベ通りの設定なら、ここに来るのは若くして短い生涯を終えた若者ばかりだから、大体が知ってるのか。


「僕の転生先の異世界には、やはり日本人もいるのですか?」

「異世界というのは、転生先の惑星のことでしょうか? それでしたら海人さんが初めてですよ! 生物が存在する星は無数にあるので、これからも地球出身者が転生することはないかと――」


 俺が最初で最後の地球人というわけか。

 ――って、思った以上に規模の大きい話になってるな。これはいわゆる電脳世界に吸い込まれるのではなく、本当に他の星で転生しちゃうパターンか。

 ま、そりゃそうだよね。VRMMOプレイしてたんじゃなくて、現実世界で亡くなってるわけですから……。


 しかし元地球人がいないというのは、ライバルがいないと思えばありがたい話だけど、地球の思い出を共感できる相手もいないってことだよね。ちょっと複雑な気分。


 それにしても、宇宙人って沢山いるんだな……。さり気なくすごいことを聞いてしまった。

 さて、質問したいこともし終えたところで、転生特典選びとしゃれこみますか!

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