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意外に強かった俺だが3

 

 国王の私室に呼ばれた俺とメディアレナは、イサルとランディに向き合っていた。


「エリオット殿、俺が言いたいことは一つだ」

「騎士団長、僕もです……………騎士団弱い」

「ふぐ、返す言葉もない」


 項垂れるランディと、ついでにイサル。


「我が国は、先代の国王様の御代から平和を享受してきた。今回の国王代替わりの時には、すわ兄上様と王権簒奪の争いになるかとも思われたが、お二方共に武力ではなく話し合いの英断の末にイサル様が王位に就かれて騎士団が動くこともなかった。そして日々争い事も少なく至って穏やかな国だ」


 ランディが無念そうに言うが、イサル普通に良い王様か。


「実戦経験が無いから、弱いと?」

「平和に胡座をかいて、騎士達の向上心や熱意が欠けていたのは確かだ。思い返せば、鍛練中にカトリナの手作りケーキ食べたり、恋愛小説の回し読みしたりと弛んでいたしな」


 イサルがそれを聞いて額に手を当てた。


「『ほのぼののんびりまったり第一騎士団』のキャッチフレーズは、本当だったのか………………」

「で、ですが、これほど平和なのは、陛下の政のお蔭に他なりません」

「だが、もし戦が起きた時には、この有り様では我が国はもたんぞ」


 うん、俺がイサルでも同じことを言うだろう。


「し、しかし、我が騎士団が単に弱いだけではなく、エリオット殿の剣術の才が秀でていることが理由として一番大きく…………」

「では、例えばハビアル国が我が国に攻めて来たとして、この者が敵として乗り込んできたらどうなる」


 ランディとイサルの話を他人事のように聞いていたら、メディアレナが俺の方を見ているのに気付いた。


「リト……………その、さっきは皆の前であんなこと言って、嫌じゃなかった?」

「まさか、嬉しかったですよ」


 彼女が後悔を口にしない内に、その唇を指でなぞった。


「レナこそ俺なんかより勇気が必要だったはずです。ありがとう」


 メディアレナの告白は、意図的な公言に等しい。俺とメディアレナが好きあっていると公に知らしめることで、これ以上俺が理不尽な目に遇わないように牽制して、彼女なりに守ろうとしてくれているのだ。なんたってメディアレナは最強の魔女だから、その恋人に何かしようなんて思わないだろう。


 だから俺の告白も彼女を守るために有効だろう。彼女にちょっかいをかけてくる輩に、付け入る隙を与えないで済む。


「俺がこんな子供なばかりに、あなたを悩ませてしまって」

「前は、悩んだこともあったけれど、今は楽しみよ」

「楽しみ?」

「だって、これからどんどんカッコよく成長していくリトを見られるなんて楽しみ。それにあなたが年下で、私が歳を取らない長寿であるから、その分長く一緒にいられるなんて嬉しいわ」


 あっけらかんとして笑う彼女が、眩しい。


 俺はショタとかよく分からないが、少年と付き合う大人の女性に周りの目が優しいわけがないと思う。


「俺が、あなたを守ります」


 彼女に覚悟ができているなら、俺も覚悟を決めなければ。


「俺が早く、強くてあなたに相応しい大人になって、きっとあなたを……………」


 言いかけて、ふと疑問が湧いた。

 俺は、このままでいいのか?魔女の弟子は、弟子から魔女にはならない。俺が彼女に相応しい男になるには……………


「リト?」

「…………………」


 曖昧に笑い返したところで、ランディの大きな声が割って入った。


「ですからエリオット殿!ぜひ我が騎士団に入られよ!貴殿のような優秀な人材を、我々は求めているのだ!」

「…………………この国と縁もゆかりも無いのですけど」


 ハビアル国が出身だし、この国に来たのも初めてだ。しかもなぜ俺を虐めようとしたイサルなんかに仕えなければならないんだ。


 額を押さえたままだったイサルが、軽く目を伏せた。


「先程そなたにしたことは謝ろう。メディアレナ様の傍にいるそなたを妬んでしまってのこと………大人げがなかった。騎士団長の言うとおり、そなたの実力は、このまま帰すには勿体ないものがある」


 一旦言葉を切り、イサルがチラリとメディアレナに目を向ける。


「確かにそなたには関係の無い国だが、師であるメディアレナ様の生まれ育った地だ、縁の深い魔法学園もある。どうだろう?弟子として彼女のゆかりの国で働いてみないか?」


 ほんの少し前に湧いた疑問と重なり、すぐには言葉が出ない。


 俺は失念していた。

 彼女に相応しく、彼女を守れる男になるには、彼女の弟子のままでは辿り着けない。


 そんな俺を見透かしているのか、イサルは続けて言った。


「皆の前で彼女に言ったことに責任を取る覚悟があるのか?彼女と堂々と想い合う為には、そなたが自立して大人にならなければ。いつまでもベッタリと依存して彼女に恥をかかす気か?」


「そんなこと!」


 メディアレナが声を挙げるのを、腕に手を触れて制する。


 悔しいが、イサルの言葉は間違っていない。

 俺は彼女ばかりを追いかけて、自分の道を歩んでいない。


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