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振り向かせた俺だが3

 

「お………おおお」


 謁見室へと出向いた俺は、紫のプリンセスラインのドレスを纏い、豊かな黒髪を結い上げて美しく着飾ったメディアレナに見とれていた。

 いつもはナチュラルでリラックスした服装に、俺が軽く編む程度の髪の彼女が、思いっきり着飾り化粧までした姿を初めて目にした。女神か!


「おはよう、リト」

「………………は!おはようございます」


 俺が隣に歩み寄ると、メディアレナの頬がほんのりと赤く染まった。


「綺麗ですよ」


 抱き締めたい気持ちを抑えて、手を握って素直な気持ちを吐露した。


「ありがとう、でもこのドレス歩きにくいし、髪も重たいし、これじゃあお昼寝もできないわ。早く楽な服に着替えたいの」


 こそり、と耳打ちされて、思わず笑った。彼女らしくてホッとした。


「こらこら、国王陛下の御前だぞ」


 玉座に座るイサルの横に立つ騎士団長のランディが、わざとらしく咳払いをして諫めるので、俺は仕方なく膝をついて礼をとった。ハビアル式の作法しか知らないが、無礼ではないはずだ。


「あらためまして、メディアレナ様の弟子を名乗らせていただいていますエリオットと申します。国王陛下に拝謁の栄誉を頂き恐悦至極で御座います」


 表情筋を引き締めて口上を述べると「面を上げよ」と言われて、イサルを見上げる。昨日会っているのに今更の挨拶だなと思っていたら、彼が、あからさまに不機嫌に俺を睨むようにして見下ろしてきた。


「エリオットと言ったな、お前の身元は調査済みだ。剣の腕はなかなかのようだし、騎士として十分やっていける能力がありながら、この方の弟子になるとは、随分彼女に心酔しているようだな」

「はい、勿論です」

「だが弟子と言うわりに、魔法が使えないではないか。男でも魔法の素質のある私とは違い、お前には何もできないだろう?」

「……………はい」


 弟子ではなく、恋人ではダメだろうか。だがそんなこと言ってのけたら困るのはメディアレナだ。


「リトは、私の大切な人です。魔法が使えるかどうかは関係ありません。かけがえのない私の……………」

「メディアレナ様、いいんです」


 俺と同じく、やはり彼女も何て言ったらいいか考えている。こんな子供の容姿なのだから仕方ないことだが、やはり悔しい。俺がもう少し成長していたら、こんなふうに彼女を戸惑わすことも無かっただろうに。


「………………メディアレナ、見たところ親密な間柄のようですが、弟子であるなら分をわきまえさせた方が良いかと思います。あなたのような貴重な魔女とは違い、ただの平凡な人間で、しかもまだ子供をつけあがらせても誤解を受けかねませんよ」


 その言い様に、キッとイサルを睨み付けた。俺がどれほどの想いを秘めているか知りもしない男に、容易く貶められる筋合いはない。


「陛下、リトを侮辱するなら、私はあなたの先程仰られたことを承諾できかねます。今すぐ帰らせてもらいますが、それでもいいですか?」


 メディアレナの声が、いつもよりやや低くなっているのは怒っているからだろう。イサルを見据えて立っているだけなのに、彼女の周りに冷気を感じる。


「レナ」

「黙っていて」

「あ、はい」


 挨拶の時に一旦放した手を、彼女の方から再び繋ぎ直してくれて、強めの力が加わる。


「これは失礼した。気に障ったならお許しいただきたい」


 イサルが魔女の迫力に動揺したのか慌てて謝罪を口にした。


「その言い方、この長雨を止める自信がおありのようだが?」

「………………かなり水の精霊の不興を買いましたね」

「なんですと?」


 問いには答えずに、彼女はいつもの笑みを唇に乗せた。


「ここには魔法学園もあるから頻繁に魔法も使用しますが、小さな魔法なら支障をきたすことも無かったでしょう。それなのに、なまじ力の強い者が一つの属性ばかりを頻繁に使用すれば、相反する属性の精霊は、どう思いますか?」

「相反する……………」


 俺とランディは、同じように反芻しながらイサルに目を向けた。


「水の精霊は、きっと居心地が悪かったはずです。火の精霊ばかりがこの地で幅を利かせて、へそを曲げたのでしょう」


 手を額に置いたイサルが、まさかといった感じで目を見開いた。


「私が元凶だったのか!?」


 お前か!








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