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『前置胎盤と言うのは
子宮口が塞がれている状況なんです
帝王切開をしなければなりません』
医師は続けた
『これは母子共に危険を伴います
ここ最近、無痛出血が度々あり、予断を許さない状況なんです
問題は、母体が耐えられる体力があるかと言うことです』
医師に告げられても
亜樹は、ただ自分の無力を感じるだけであった
神はどこまで
有紀に試練をお与えになるのだろう
亜樹は寝ていた有紀の手を自分の頬に押し当てる
自然と涙がこぼれ落ちた
亜樹の心が叫ぶ
『私を 一人にしないで
お願い!有紀
約束して!
私を一人にしないで・・』




