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第二部 有紀の真実
第二部 有紀の真実
雨宮有紀
雨宮有紀は
決して
辛いことや
苦しいことを
表に出さない
我慢強い少女だった
両親は
有紀が小さいころに
別れており
母親一人に育てられ
生活は貧しく
有紀も高校の時から
アルバイトをしながら
家計を助けていた
有紀は明るく
皆に好かれていたが
我慢強い性格は
時として誤解された
意志表示をしなかったからだ
他の人に
自分の希望を
言うことはなかった
いつしか
有紀は
第三者を借りて話すようになっていた
例えば
まだ 帰りたくない場合
自分自身に
『有紀は まだ 帰りたくない と言っています』
と話しかけて
耐えてきたのだった




