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第373話 打ち上げは豪華に

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 予定より少々早めに地元の駅まで戻ってきた俺達は、無事に目標を達成出来たことも有り、慰労会も兼ねて少々豪華目の打ち上げをしようという事になった。何日か後に今回の報酬が入るので、美佳達の負担も少ないだろうしな。自制心も大事だが、楽しむ時は楽しんでも良い筈だ……程々に。

 そうそう、親には元々帰りは遅くなるので、夕食は外で食べて帰ると言っておいたので問題は無い。


「さてさて、外で食事をすると言うのは元々決まっていたから良いとして……どこのお店に入る? 元々はファミレスに入る予定だったけど……まぁ特にコレという店は無いよな」

「そうだな。まぁ今日の主役は美佳ちゃん達だから、美佳ちゃん達に決めて貰えば良いんじゃないか?」

「そうね。今日は私達、美佳ちゃん達の後ろを付いていっただけだもの。お店選びは、二人の好きなお店で良いと思うわ」


 と言うわけで、俺達3人の視線が美佳と沙織ちゃんに向けられる。一瞬驚いた様な表情を二人は浮かべたが、言葉の意味は理解しているらしく顔を見合わせ相談を始めた。

 

「ええっと、いきなり好きなお店と言われても困るよね……どうする沙織ちゃん?」

「うーん、どうしよう? ……美佳ちゃんは何が食べたい?」

「私? うーん、そうだね。今日は一杯動き回ったからお腹空いてるし……味が濃いガッツリ系の方が良いかも?」

「ああ確かに今日は一杯動いたから、私もガッツリ系の方が良いかな」


 どうやら二人とも、結構お腹空いてるらしくガッツリ系のお店が良いらしい。確かにアレだけゴブリンと戦ったら、お腹も空くよな。とは言えガッツリ系か……あんまり今日は動いてない俺達からすると、あんまりガッツリってのもな。まぁ今日の主役は美佳と沙織ちゃんだから、二人に任せよう。

 そして暫く美佳と沙織ちゃんの話し合いを見守りながら待っていると、本日の夕食を取るお店が決まった。


「焼き肉屋か……しかも食べ放題」

「うん。でもココ、少し値は張るけど高級ブランド和牛やダンジョン産のお肉が食べ放題のコースがあるみたいなんだ。今からでも予約も取れそうだし、良いよね?」

「勿論、良いぞ。裕二と柊さんも良いよね?」

「ああ、問題ない」

「私も良いわよ」

「「やった!」」

 

 と言う訳で、今日の打ち上げお食事会のメニューは焼き肉食べ放題という事に決まった。食べ放題なら元を取ろうと考えなければ食事量の調整はしやすい部類なので、腹ぺこ組とそこまでも無い組で一緒に食事を取ろうとすれば良いメニューと言える。無理に元を取ろうと考えなければ、だけどな。

 

「じゃぁ予約取っちゃうね。あっそうそう、お店に行く前にコンビニのATMに寄っていきたいんだけど良いかな? 今の手持ちだけだと、ちょっと心配だから降ろしたいんだけど……」

「もちろん良いぞ、皆は?」

「俺は大丈夫だ」

「私も大丈夫よ」

「あっ、私も寄りたいです」


 元々夕食はファミレスで済ませる予定だったので、美佳と沙織ちゃんは財布の中身が不安らしい。そらそうだよな、いきなりファミレスから高級焼き肉食べ放題に変わったら。

 そしてコンビニで美佳と沙織ちゃんが軍資金を補充した後、俺達は予約を入れた焼き肉店へと向かう。そんなに駅から離れていないので、歩いてすぐだ。






 店の前に到着した俺達は、予約したお店の外観を目にし若干尻込みをした。

 いや、だってさココ、パッと見は結構な高級店ぽく見えるんだけど? 黒を基調としたシックな色合いに木製格子の飾り塀、看板だって黒塗りの金字だぞ? 本当に食べ放題メニューをやってるのか?


「ココか……外観から随所に高級店ですって主張してないか?」

「うん、そうだね……予約入れたけど、私達は入れるよね?」

「別にドレスコードが決まってる様な店では無いんだろ? じゃぁ、大丈夫だろ」

「そう、だよね……」


 高校生ばかりなので、本当に支払い能力があるのかと疑われそうだけどな。まぁその時は、探索者カードでも見せれば大丈夫だろう、多分。高校生でも探索者と証明すれば、それなりに小金持ちって分かって貰える筈だろうからな。

 それでも無理だった場合……財布の中身(諭吉複数人在住)を見せるか。


「良し、何時までもココにいても仕方が無い……行くぞ」

「おう」

「ええ」

「「はぁーい」」


 少々躊躇しつつ、俺達は入り口に掛けられた暖簾を潜り入店した。

 外観通り、店内も落ち着いた作りでますます高級店っぽく見えてくる。いや実際、高級店の部類なんだろうけどさ。

 そして入り口近くで足を止め悩んでいると、受付に居た店員さんが声を掛けてきた。


「いらっしゃいませ、ようこそ当店へ」

「あっ、はい! あの、先程予約を入れた九重というモノなんですけど……」

「はい、九重様ですね? 5名様の御利用で御予約を承っています。お間違いないでしょうか?」

「は、はい!」

「では係の者がお席の方に御案内いたしますので、少々お待ち下さい」


 どうやら高校生だけでの利用でも大丈夫らしい。一瞬断られるかも?と思ったが、そんなことは無かった。

 そして受付係の人に言われて十数秒程待っていると案内係の人が来て、俺達は少し広めの個室へと案内されていく。俺達が大荷物を持っていたので、気を使って少し広めの部屋に案内してくれたらしい。ありがたい心遣いだ。


「ご注文がお決まりでしたらお伺いします」

「あっ、じゃぁこの食べ放題コースをお願いします。ソフトドリンクの飲み放題も付けて下さい」

「はい、では食べ放題コースソフトドリンク飲み放題付きを5名様ですね。商品のご注文はそちらのタブレットの方からお願いします。お皿等をお持ちしますので少々お待ち下さい」


 注文を聞いた店員さんは去って行った。


「ふぅ、入店拒否されるかとドキドキしてたけど、そんなこと無かったな」

「まぁ早々ある様なことじゃない、心配しすぎの取り越し苦労だったな」

「そうね。でも、もしかしたら私達の荷物を見て判断したのかもしれないわよ? 何だかんだで皆、長物(・・)を入れてそうな収納袋をもってたしね」


 ああ、確かにその可能性はあるかもしれないな。柊さんの言葉に納得しつつ、俺は長物(・・)が入った袋に目を向ける。普通は店内まで持ち込まないようなモノだよな……うん、何となく察せられたのかもしれないな。

 もしかしたら今までにも、俺達と同じようにダンジョン帰りに立ち寄った学生探索者が何人も居たのかな? ……居そうだな、俺達みたいにダンジョンで良い成果が出て羽振り良く食べに来たって感じでさ。


「それよりも! 早く注文しちゃおうよ。もうお腹ペコペコだよ」

「そうだな、先に幾つか注文しておくか」


 と言う訳で、備え付けのタブレットを操作し、肉やドリンクなどファーストオーダーを一通り注文していく。因みに、その間に店員さんが皿などを持ってきてくれた。

 そして暫く待っていると、注文した品が届く。


「注文した品も一通り揃った事だし、まずは食べようか。それじゃぁ、頂きます」

「「「「頂きます!」」」」


 こうして俺達の慰労会兼お食事会が始まる。

 100分と言う時間制限もある事だし、話し合いは後にしてまずは腹拵えをしてからだ!






 制限時間も半分を過ぎる頃には皆、そこそこお腹も満ちてくる。と言うか、少々調子に乗って食べ過ぎたかもしれないな。美味しかったからと、一気にカルビ二十人前は頼み過ぎた。

 そろそろ、腹休めも兼ねた雑談の時間かな?


「ふぅ……お腹も落ち着いたことだし、今日の反省会でもしておくか?」

「そうだな。個室だし、余り大声で話さなければ大丈夫だろう」


 と言う訳で、今日のダンジョンアタックについての総評を行う事になった。まぁ総評と言っても、既にダンジョンの中で一通り改善点なんかの話は行っているので、本日のシメって感じだな。

 だから美佳に沙織ちゃん、そんなに緊張しなくて良いんだよ。


「とりあえず美佳、沙織ちゃん。今日はお疲れ様。運良く……うん、運良くだな。運良くトラップ部屋で連戦出来た事で、対多数戦の立ち回り方は大分改善出来たと思う。アレだけ出来るのなら、通路に出現する程度の数のモンスターとの戦いなら、そうそう危ない立ち回りを強いられることも無いと思うよ。なっ?」


 実際、最後の方は慣れもあるだろうが、二人とも中々上手い立ち回りを見せていたからな。

 そして話し終えた俺は、評価役を裕二に振る。


「ああ、大樹の言う通りだな。まずは今日はお疲れ様、俺も中々上手く立ち回れてたと思うよ。ただ、一つ付け足しておくなら、あくまでもゴブリンなんかの小型モンスターの集団との立ち会いならばだ。もう少し下の階層に行くと、オークなんかの大型モンスターが出てくるようになるから、その集団と戦う時にはまた違った立ち回り方になってくる。同じように立ち回れば……と思っていると、思わぬ不覚を取る事になるから、十分注意してくれ。……柊さんからは何かある?」


 裕二は大型モンスター集団が出現した場合の注意点を、美佳と沙織ちゃんに伝える。相手取る数が同じだとしても、相手の大きさが違えば立ち回りも変わってくる。当然の事だが、上り調子に浮かれ同じような対処をし、痛い目を見ることになっている探索者は少なくないと聞くしな。

 そして話し終えた裕二は、柊さんに視線を向け順番を振る。


「そうね。私も今日の探索や対多数戦の練習については、特にコレと言って問題は無かったと思うわ。強いて言うならば、異種モンスターが組んで出現した場合の立ち回り方かしら? 今回の探索ではゴブリンという一種類のモンスターで構成された集団と戦ったけど、ダンジョンの階層を進んでいくと異種モンスターが連携して襲ってくる事があるのよ。そう言った場合、それぞれのモンスターの特性を把握し、どう言う連携を取ってくるのかを想定しながら対応しないといけなくなるわ。だから対多数戦に於いては、相手の数だけに注目するのでは無く、相手の構成も考慮し立ち回らないといけないの。今回の練習で上手くいっていたからと調子に乗ること無く、常に相手を観察し重々気を付けて戦ってね」


 俺と裕二がだいたい話していたので柊さんは少し思案した後、異種混合の場合に取るべき注意点を語った。確かに今回は一種で統一されていたので、数は多いが基本的な対処法は同じだったからな。柊さんが言うように、異種混合だった場合は相手の特性を素早く把握し対処しなければならない。それを無視して戦っていると、大きな隙を作る事になり大怪我へとつながるからな。 

 と、そんな感じで今日の成果を褒めつつ、成功に浮かれて気を抜くなよと忠告をしておく。


「「ああ、はい。気を付けます……」」


 俺達の総評と言うか忠告を聞き終えると、美佳と沙織ちゃんは若干微妙……消沈した様な表情を浮かべながら小さく返事を返してきた。うん、まぁ確かに今日の成功を喜んでいる所に、まだまだ先は長いぞ?と言われたら微妙な感じになるよな。

 でも、実際に怪我をする前に言っておいた方が良い事だ。


「まぁ何にしてもだ、今日は本当に良い結果が出せていたと思うぞ。少なくとも、今回の探索の前に抱えていた対多数戦についての不安は大分改善出来たはずだしな。二人はどう思う、手応えは感じられたか?」

「うん、私も改善出来たと思う。実感としても、最初にゴブリン集団と戦った時よりも、最後の方が周りを見て動く余裕が出来てたと思うし」

「私も同じです、最後の方は余裕を持って対処出来るようになってました。まだまだ立ち回りに未熟な部分はありますけど、今日の探索を始める前に持っていた不安は解消出来たと思います」

「そっか、二人が手応えを感じられたのなら良かった」

 

 まぁ実際、アレだけ戦えていたのだから対多数戦における立ち回りのコツは今回である程度掴めたと思う。後は更に回数を重ね、観察眼を鍛え、より効率的に立ち回れるように練習すれば良い。先程裕二や柊さんが言っていたサイズ差戦や異種混合戦においても基本は同じ、相手を観察し効率的に対処するだからな。

 そして一通り本日の総評を終え、腹休めを終えた俺達は食事を再開する。後三十分は時間残っているんだ、量は抑えつつ時間一杯まで楽しませて貰うとしよう。






 会計を済ませた俺達は店を後にし、駅まで戻った後に解散。俺と美佳、そして沙織ちゃんは一緒に帰路につく。食事を取っている内にそこそこ遅くなったので、沙織ちゃんを家まで送っていく為だ。

 因みに食べ放題ドリンクの飲み放題付きで、お食事代は一人一万円だった。

 

「そう言えばお兄ちゃん、明日また裕二さん達と一緒に出かけるって言ってたよね? またダンジョンに行くの?」

「いや、明日は別件だ。夏休み中に終えるつもりだった用件があるんだけど、見込みが甘くてな……暫く土日のどっちかはその案件の為に使うつもりだ」

「そうなんだ……」


 それだけ言うと美佳は興味が無くなったのか、隣を歩く沙織ちゃんとお喋りを始めた。まぁ……良いんだけどさ。

 さて、明日は土地探し第2弾……どんな所を紹介して貰えるのかな?
















苦労した後の打ち上げはパーッと楽しくしたいですからね。


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■■■ コミカライズ版朝ダン、コミックス第2巻が7月7日に発売されました。よろしくお願いします! ■■■


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 贅沢焼肉 いいですね 頑張ったご褒美を楽しんだあとで、評価&改善点教えてくれるので二人とも幸せに元気な気分で帰れそうです [一言] 私もいいお肉食べたくなりました
[一言] JAXA 地すべり等の予兆把握や土砂崩れ等の災害への適用 https://www.sapc.jaxa.jp/work/antidisaster/ 山奥で私有地だからと言って「ありえない破壊…
[気になる点] 人に説明する時って可能な限り簡単な語彙選ばないと聞く側は話入って来ないよね…
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