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朝起きたらダンジョンが出現していた日常について……  作者: ポンポコ狸
第11章 夏休みにむけての準備

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第250話 終業式も終り……

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 幻夜さんの合宿訓練を終えた俺達は、前回の訓練時より短い期間で後遺症を克服した。やっぱり、一度経験していると回復も早いよな。

 まぁ……そう何度も経験はしたくもないけどさ。

 

「とうとう、明日は終業式だな」

「そうだな。とはいっても、夏期補講があるから7月いっぱいは夏休みって感じじゃないんだろうけど」


 少々早めの時間に登校した俺と裕二は、朝の教室で若干気の抜けた表情を浮かべながら、HRが始まるまで時間つぶしの雑談をしていた。明日が終業式なので皆も気が抜けかけているのか、いつもより早い時間とは言え登校してきているクラスメートは少ない。 


「夏期補講か……今年は何人くらい出てくるんだろうな?」

「さぁ? 流石に3年生はそれなりに出てくるだろうけど、1,2年はな……」


 俺は人が疎らな教室の中を見回し、補講に来るのは今いるこのメンバーくらいじゃないかな?と思った。うちの学校の夏期補講は単位に関係ないので、夏期補講に出席するかどうかは生徒の意思次第だ。去年の話になるが、夏季補講の内容も基本的に基礎固めなので自分で出来るのなら出席しないでも特に支障はない。

 まぁ、流石に3年にもなると進学等の話も絡んでくるので出席する人も多いだろうけどさ。


「家庭の事情って理由で夏期補講を欠席して、ダンジョンに入り浸りって連中が結構出そうだな」

「多分、出るんじゃないか? 特に2年の場合、来年は受験だから自由に過ごせる夏休みは今年までだ!って感じでな」


 ありえそうだな。この間の春休み……いや、冬休みか。あの時の事を思えば、うちのクラスも半数以上は欠席する可能性が高いんじゃないかと思えてくる。

 まぁ、別に好きに休んでもらって良いんだけどさ。登校日に顔を合わせたら、クラスの半分が包帯塗れとかって展開は勘弁してほしい。


「まぁ来週になれば答えも分かる事だし、あまり気にしてもしょうが無いかな」

「そうだな……」


 俺と裕二は小さく溜息を吐いた後、夏休みの補講についての話を締める。

 そして暫く二人で雑談をしていると、何時の間にか時間も経っており平坂先生も教室に入ってきたのでHRが始まった。


「おはよう。今日が一学期最後の授業日だ、夏休み直前だからと言って気を抜かないように」


 朝の挨拶と共に軽い釘刺しをした後、平坂先生は一つ二つ連絡事項を伝えてくる。まぁ、内容としては特にコレと言ったものでは無い。

 そして最後に、平坂先生は無言で俺達生徒を見回し口を開く。


「それと念の為に言って置くが、夏休みとは言え1、2年生は7月いっぱい夏期補講が組まれている。休んでも欠席扱いにはならないが、出来る限り出席する事が望ましい」

「「「……」」」


 平坂先生がそう言うと、クラスの彼方此方から一斉に何かが動く小さな音が聞こえてきた。頭を動かさず視線だけ左右に動かし教室の中を見てみると、俺の視界には平坂先生から顔ごと視線を逸らす大勢のクラスメイト達の姿が……って、おい!? 半分どころか、3分の2は顔を背けてるんですけど!?

 そんなクラスメイト達の姿を目にした平坂先生は顔を右手で覆い、眉間を指先でもみながら数秒の沈黙をはさみ口を開く。


「……出来るだけ出席するように」

「「「「……はい」」」」


 諦念の感情が多分にこもった平坂先生の言葉に、クラスメイト達は視線を逸らしたまま消え入りそうな小さな声で返事を返した。今返事を返した連中、たぶん夏期補講に来ないだろうな。

 今年の夏期補講は、随分寂しいことになりそうだ。 


「……以上で、HRは終わりだ」

「……起立、礼」


 平坂先生はHRが終わると、小さく溜息を漏らしつつ教室を出て行った。

 うーん。この分だと、来年の夏期補講は成績評価に組み込まれるようになるかもしれないな。






 一学期最後の授業も終わり放課後、俺達は部室に集まり美佳達後輩組と夏休み期間中の活動について話し合っていた。と言っても、既にある程度先に決めていたので確認の意味合いが強いけどな。


「……と言う訳で部としては、夏休み期間中に学校に集まって何かをするって活動は無しと言う事で良いかな?」


 俺がそう言うと皆、了解と首を縦に振る。


「まぁウチの部の活動的に、夏休みに皆で集まってする必要はないしな。夏期補講期間中に、部室で顔合わせをしておくくらいしておけば特に文句は言われないだろう」

「ウチの部の表立った活動は公認資格の取得だから、やる事と言ったら資格習得テキストをたくさん解くくらいだものね」

「しかも、次の資格試験が開催されるのが11月ときたら、夏休み期間中に態々やる意味もないしな。皆で集まって資格試験対策をするにしても、2学期が始まってからでも十分間に合うだろさ。勿論、毎日コツコツ勉強しておくに越した事はないけどな」


 裕二と柊さんは夏休み中の活動無しは妥当な選択だと口にする。


「11月か……随分先の事だよね」

「6月にも試験はあったみたいだけど、流石に準備期間が1ヶ月くらいじゃ合格はキツいよ」

「それにしてもさ、試験が年3回って少なくないかな? 他の資格だと、試験が月に何回もってものもあるんだよ?」

「そこを言っても、どうしようもないよ。資格を発行する団体がそう決めているのなら、私達受験希望者はそれに従って受験するしかないんだしさ……」


 簿記資格試験までは時間があるので、美佳達も夏休み中に活動が無しと言う方針に特に異論は無いようだ。まぁ、試験開催回数の少なさへの愚痴はこぼれているけど。

  

「じゃぁ夏休み中の活動は、各自資格取得に向けての勉強をしておくって事で……良いかな?」

「おう」

「ええ」

「「「「はぁい」」」」


 と言うわけで、夏休み期間中のウチの部の方針は固まった。

 なお職員会議に出席中でこの場には居ないが、ウチの部の顧問である橋本先生もこの方針は全面的に賛成している。夏休み期間中、研修や勉強会などで忙しい先生もわざわざ仕事(部活動の監督)を抱え込みたくはないだろうしね。


「それはそうとお兄ちゃん。部としての夏休み中の活動方針は分かったけど、探索者としての活動は如何するの?」

「? ああ、そうだな……」


 美佳に話を振られた俺は、話しても良い?と視線を裕二と柊さんに向ける。すると2人が軽く頷き肯定したので、美佳達に探索者としての活動方針を話すことにした。

 

「とりあえず、夏休み期間中に何度か泊まりでダンジョン探索に行くつもりだよ」

「泊まり? この間、私達と行った時みたいにホテルに泊まるの?」

「いや。今回はダンジョンの中で寝泊まりするつもりだ。その為に、ここ最近の週末は合宿訓練なんかの準備に当ててたからな」


 でなければ、誰があんな拷……訓練に何度も参加すると言うんだ。俺は遠くを見るような眼差しで、達観した雰囲気を出しながら美佳の質問に答えた。

 すると、俺の話を聞いた後輩4人が不安気な表情を浮かべる。


「……本当に、ダンジョンの中に泊まるんですか?」

「ああ。日帰りじゃ、時間の関係であまりダンジョンの深い階層まで潜れないからな。深い階層まで潜ろうと思ったら、如何してもダンジョン内部で寝泊まりする必要があるんだよ。と言っても、合宿訓練の結果も考えれば1泊2日が限度なんだけどな」


 1泊2日と聞き、4人の表情が少しやわらいだように見えるが不安の色がまだ色濃く残っている。


「それって……危なく無いんですか?」

「勿論危ないよ。ダンジョンの中に居るって事は、何時モンスターからの襲撃を受けても可笑しくはないからね。休憩中であっても、常に見張りを立てておく必要があるよ。でも、合宿訓練でその辺はある程度鍛えられたから、皆が思ってる程危なくはないと思うけどな」


 ダンジョンにいるモンスター達が、合宿中の襲撃者さん達並に情け容赦なければね。もっとも、俺達がダンジョンで今まで遭遇した事があるモンスターなら、仮に休憩中であっても無傷での撃退は可能だ。 

 だってアイツら、気配を消して接近してきたり一瞬の意識の隙間を狙ってきたりしないからな……。


「「「「……」」」」

「安心して……と言っても素直には聞き入れられないよな。でもまぁ、過剰に心配して貰う程に危ないって訳じゃないからさ。いつも通り、怪我をしないで帰ってきて欲しいな……ってぐらいに思っておいてくれたらいい」


 俺は安心させるように、出来るだけ優しげな口調で不安顔の4人に話し掛ける。それと同時に、裕二と柊さんに視線を送りフォローを頼む。


「大樹の言う通りだぞ。確かに危ないと言えば危ないが、過剰に心配する程の事じゃない。それにダンジョン内で寝泊まりするとは言え、モンスターが何匹も徘徊する様な場所で寝たりはしないよ。ちゃんと安全圏まで下がるからさ」

「そうよ。だから皆、私達の事を心配してくれるのは嬉しいけど、そんなに不安気な表情は浮かべないで。そんな顔を見ていたら、凄く行きづらくなっちゃうわ」

「「「「……はい」」」」


 二人の説得?が効いたのか、4人は元気なさげな声ながらもハッキリと返事をした。

 納得し切れないだろうが、まぁ大丈夫だからさ。


「それはそうと美佳、沙織ちゃん」

「……何?」

「……何ですか?」

「俺達、夏期補講が終わった8月になったらダンジョンに潜ろうと思ってるから、7月中は2人のダンジョン探索に付き合うよ」


 もう何度か一緒に潜って経験を積ませておけば、美佳と沙織ちゃんの2人でも安全なダンジョン探索が可能になるだろう。2人もコレまでの探索で、それなりの経験を積んでいるからな。重蔵さんの訓練にも真面目に参加しているので、武器の扱いも一丁前になってきたって言ってたし。

 それと俺達としては8月は丸々ダンジョン探索にあてたいので、7月中に夏期補講や夏休み中の課題を終わらせておきたい。


「えっ、ほんと!?」

「ああ。と言っても、夏期補講があるから潜るのは週末だけなんだけどな」

「それでも良いよ! ねっ、沙織ちゃん!?」

「う、うん! よ、よろしく御願いします!」


 俺達と一緒にダンジョン探索が出来ると聞き、美佳と沙織ちゃんは先程までの意気消沈振りが嘘のように喜色を顔に浮かべていた。まぁ俺達が一緒にダンジョンに潜ると、2人の財布が暖かくなるからな。

 逆に、館林さんと日野さんは美佳達の変節に感情がついて来れなかったのか、大口を開け唖然とした表情を浮かべている。うん。突然、隣で心配げな表情を浮かべていた友人が喜色の表情を浮かべ喜びの声を上げたら、困惑するのも無理はないよな……どうフォローしよう。


「えっと……舘林さんと日野さん?」

「「はっ、はい!」」

「その、なんだ? 夏休みの課題で分からない所があったりしたら、夏期補講後に集まる部活の時に聞いてよ。分かる範囲で教えるからさ」

「「は、はぁ……ありがとうございます」」


 あまりフォローになっていないような気もするが……まぁ意識がこっちに戻ってきただけ良しとするか。

 そして、暫く雑談をしていると職員会議を終えた橋本先生が部室に顔を出しにきたので、俺達は夏休み中の活動方針を先生に一通り説明しておいた。ダンジョン内に泊まって探索するという部分で先生も若干難色を示したが、合宿訓練などの事前準備は万全だと丁寧に説明すると最後は納得してくれた。若干顔が引き攣っているような気がするが問題ない、と思う。






 翌日、終業式を無事に終えた俺達はついに夏休みに突入した。と言っても、夏期補講があるから夏休みらしい夏休みは8月からなんだけどな。正直、終業式は7月末日でも良いんじゃないか?と思う。

 そして翌週から俺達は平日に夏期補講と部室での夏休みの課題処理を学校で行い、週末は美佳達とダンジョン探索に出かけるという過ごし方をした。なお予想通り1、2年生……特に2年生の夏期補講の出席率はかなり悪く、1クラス10人も出席していれば良い方という有様だ。夏期補講を欠席した連中は一体、今何処に……なんだろうな? まぁ、中には進学より探索者として身を立てる事を目指している奴もいるんだろうから、欠席するのがダメだと言う訳じゃないんだろうけどさ。現に、3年生の中には企業のスカウトを受け、探索者業が進路って先輩もいるらしい。そうなると夏期補講よりも、ダンジョンに潜って探索者としての腕を磨く事こそが一番の将来の為になる事、だからな。まぁプロ野球選手等にスカウトされるとかより裾野は広いだろうけど、険しい道であることに違いは無い。頑張ってくれ。

 と、慌ただしくも7月が終わり、8月。夏期補講と夏休みの課題も終わり、本格的な夏休みが始まった。さぁ、ワクワクドキドキのダンジョン探索の始まりだ! 
















これで、夏休み前編は終了です。

幕間を何話か入れた後、新章に入ります。

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