強制執行(ルール)
---山田 慎太郎は思う
(俺の能力、強制執行は
俺が対象に宣言したルールが適用されて条件を満たせば、ルールが強制執行される。)
(始業式の数日後、この能力に気づいた俺は、これを使ってとことん儲けてやろう、と思った)
(へへへ、さっきはとんだ邪魔が入ったが、田中 輝のやつも、何かの能力使いなのか?、まあ、いまはそんなことはどうでもいい)
(前から気に入らなかった、廣瀬 太一から金を奪ってやったぜ、へへへ、いつも、チャリンコが邪魔でうざかったんだよ…!)
---僕、田中 輝は自分の能力で、太一くんのピンチを救った
はずだったのに、
まさか、同じクラスの山田 慎太郎も
能力使いだったとは
完全にやられた
僕は少ない状況証拠で
山田くんがどんな能力なのか
考えていた
(おそらく、山田くんが提示し、宣言したルールの条件を対象が満たせば、その通りに強制的にルールに従わさせる、そんな能力なのだろう…!)
(これは、使い方によっては、とてつもなく恐ろしい能力だぞ…)
(なんとかして、太一くんのお金を
取り戻さないと)
(おそらく、山田くんは
僕のこともなんらかの能力使いだ、
とすでに気付いているはず)
警戒が強まった今
同じ様なことは通用しないことを
僕は理解していた
同時に手立てがまったくおもいうかばなかった
山田くんがこちらに語りかける
「田中 輝ぁ、今回はお前は見逃してやる、へへへ、何か隠してるなぁ〜お前も」
「もう、廣瀬にも用はない、2人でさっさと帰るんだな。へへへへ」
山田くんは勝ち誇った顔をしている
僕は生まれて始めてかもしれない
どうしようもない怒りを覚えていた
自分の秘密がバレてもかまうもんか
山田くんの持ち物自身を
飛ばして奪えばいいんだ
そう思っていた
その時だった
「おい、お前ちょっとまて」
僕の後ろから声がした
振り返ると
身長180cm以上ある
ガタイのいいスラッとした
巨体がそびえ立っていた
僕は驚きながら
その巨体のてっぺんを見上げた
「な、流島くん?!」
僕は思わず叫んだ
僕の後ろから声をかけたのは
同じクラスの流島 耕助くんだった
彼は、この学校のボクシング部に入っていて
中学校の時から地元でも中々の
強者だったらしい
山田くんも大きいが
流島くんは、ほんとにデカイ
そんな、彼が急に
僕たちの揉め事の輪の中に
入ってきた
そして、驚きの一言を放った
「おい、山田
俺とジャンケンしろ」
つづく