美少年の秘密
---僕は川谷くんが気になって
帰宅途中の後をつけていた
彼は徒歩なので僕は遠目から
自転車を押して後をつけることにした
学校の近くには"大千川"
という少し大きな川があって
川谷くんはそこの橋の向こうから
通ってるみたいだ
川谷くんが涼しげな顔をして
歩いていく
僕は、少しの緊張と
自転車を押す運動で
じんわりと汗をかいていた
(今日は、やけに暑いなあ)
今日は、5月というのに
気温は25度くらいで
少し暑い
上着がなくても快適に過ごせる程の
気温だ
でも、川谷くんは
この暑さでも、上着をしっかり
綺麗に着こなし
汗ひとつかいていない
彼を見ているだけで
こっちまで涼しい気分になってくる
川谷くんの後をつけて10分ほど
彼が大千川の橋あたりまで来た時だった
クルッ
「え?」
僕は、急に振り向いた彼にびっくりして
声がでた
タタタタッ
なんと、彼がこちらに走ってくる
(まずい!尾行がばれたのか?!)
僕は、焦るばかりで
自転車と共にピタリとその場に止まっていた
と、彼が急に
橋の側の川辺へ降りられる階段に向かった
涼しげな顔が少し焦っているようだ
(なんだ、尾行がばれたんじゃないのか
ホッとしたなあ)
僕は、安心しつつも
彼があんなに急いで何故川辺に
降りていったのか気になった
タンタンタンタン!
彼はとてもすばやく
華麗に階段を降りていく
僕は少し見惚れていた
その時だった
「あれは!!!」
見惚れたその美少年の先の方で
僕は川で何かがうごめいているのが見えた
「何か動いている…!」
僕はその正体を捕らえた
「子供だ!!
子供が川で溺れている!!」
なんと
僕の視線に飛び込んできたのは
川に溺れ、もがいている
小学生くらいの子供だった
「まずい!助けないと!
なるほど!川谷くんはあの子供に気づいて!」
僕も自転車を側にとめて
すぐに川谷くんの後を追った
(僕の能力があれば、助けられるかもしれない!!)
そう、考えながら
僕は階段をバタバタと飛び降りるように
下っていった
川谷くんはすでに川辺にたどり着いている
ようだった
顔は少し焦っているが
汗ひとつかいていない
僕は思い切って声をかけた
「川谷くん!子供が溺れているよ!」
川谷くんが驚いてこちらを向いた
「田中くん!君も気づいて
降りてきたのかい?!
この大千川は、真ん中あたりで
水深が急に深くなるんだ」
「あの子供はきっと、その
深みに足をとられたんだろう」
「早く助けないと」
川谷くんは溺れている子供を
見ながら
上着の袖をまくった
僕は川谷くんに
大きな声をぶつけた
「川谷くん!安易に助けにいくのは
危険だ!」
僕は、溺れた人を助けに行った人が
一緒に溺れてしまう
ということをどこかで聞いたことがあった
川谷くんが少しこわばった顔をして
すぐに、冷静になってこちらをむく
「田中くん!君が今から見ることは
僕たちだけの秘密だからね!」
川谷くんはそう叫ぶと
袖をめくった両手を
川の中につけた
「凍結しろ!」
そう叫ぶと
なんと
彼の両手の周りから少しずつ
パリパリパリッ!!
と、音をたてながら
水が凍っていく
「川谷くん!!君はまさかっ!!」
(川谷くんも、能力使い!!!!)
僕はまた1人
能力使いに出会ったのだ
つづく




