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百夜語  作者: 田古墨
8/9

江夏の話:心霊番組

 テレビを見てた話をする。

 あの講義のレポート提出って、先週だっただろ。その提出前日に、レポート仕上げようと思って結構遅くまで起きてたんだよ。家族皆が寝静まっても、パソコンをカタカタさせてた。

 で、ようやく仕上がったのが午前4時半くらいだったかな。すぐにでも眠りたい!ってくらいだったんだけど、喉乾いちゃって。台所に水飲みに行ったんだ。

 俺の家って、台所からでも、居間にあるテレビが見えるんだけど、そのテレビが点いてたんだよ。 

 夜の森の獣道のようなところを進んでいっているシーンで、人は写っていなかったけど、映像がかなり揺れたから、カメラで撮影しながら歩いているんだと思った。

 電気点けたのは台所だけだったからさ、暗い画面だとしても薄暗い居間ではテレビだけが光源だった。

 水飲みながらボーッとテレビを見続けていたら、画面の端に何か白いものが映った。カメラの持ち主もそれに気づいたのか、画面が急に動いて白いものが写った場所に向けられたけど、何もない。

 また元の方向を向いて歩き始めたら、今度は進行方向に白いものがある。カメラをズームして確認すると、その白いものが半透明で白い服着た女性だっていうのが分かるんだよ。

 ん?あぁ、俺もそう思った。こんな時間から心霊番組やってんのかよって。

 もう興味もなくしてたし、眠たいしで、さっさとテレビ消そうと思って、リモコンのボタンを押すけど消えない。

 その時には、テレビの画面は固定されて、森の道をだんだん近づいてくる女性が撮されてた。猫背気味で、手はだらんと下げて、片足を引きずるような変な歩き方で。

 せめてナレーションか音声くらいいれろよ、番組としてどうなの。とか思いながらも、何回かボタンを押すけどテレビは消えない。

 電池切れかと思って、テレビ本体の電源ボタンを押そうと、テレビに近づいてしゃがんだ時。

 びたん。

 何かが張り付くような音がして、顔をあげた。数十センチしか離れていないテレビ画面には、張り付くみたいに青白い顔をした女性が写ってた。

 まるでコチラ側にこようとするみたいに、鼻が潰れていくのも構わずに顔を押しつけてくる。

 どろりと濁った目が、俺を見た。そう感じたとき、プツン……と呆気ないくらいに、真っ暗な画面になった。

 俺は何もしてなかったから、あれ?って思ったけどさ、時計見たらもう5時になってんだよね。これはもう、さっさと寝なきゃって思って、勝手に消えたテレビのこととか放置。

 や、だってさ、うっかり寝過ごして、せっかく仕上げたレポート提出出来なかったら損じゃん。

 次の日、確認したら、誰もテレビを点けっぱなしにはしてないってさ。

 それどころか、節電の為とかでコンセントも外してたらしいよ。

「何かで知った話だが、丑三つ時は午前2時から5時をさすらしいな。時間切れで帰ったんじゃないか?」

「まじか。もし、10分でも早くレポート仕上げてたら、コチラ側に来ていたかもしれないじゃん。」

「そもそも、レポートは前日に慌てて仕上げるものではないだろう。」

「ういっす。」

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