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百夜語  作者: 田古墨
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冬沢の話:かくれんぼ

 秋川ちゃん、昨日の話しよー。

「え?何?連絡なしにデートの約束すっぽかされて、健気に一日中待ちぼうけしてた俺の傷口抉るって?」

 ナニソレまじ笑えるんですけど。え、てか一日中?

「は?そうだけど、この話続けるの?」

 うわー、いつも以上にご機嫌ナナメー?

 うーん、そっかぁー。

 あのさー、俺の昨日の話聞いてー。

 俺さ、ひとりかくれんぼしたんだよね。てか、秋川ちゃんに一緒にやろーって、メールしたよね。

「断ったけどな。デートだったし。……デートの予定だったし!」

 あー、うん。そーね。

 で、ひとりかくれんぼって知ってる?

 ざっくり言うと、改造したぬいぐるみをかくれんぼの鬼役に見立ててやる遊びでね。きちんとした手順でやると、ぬいぐるみに幽霊が乗り移って、ホラー体験できるってやつ。

 誰もいない家で一人でやるのが正しいやり方なんだけどー、一人っきりとか俺寂しすぎて死んじゃうからさー、二人でやったんだよ。

 二人で押し入れに隠れてさ、何か起きるかなーって待ってたの。

 そしたら、俺ら以外誰もいないはずの家のなかを、誰かが見て回ってる気配がするんだよねー。

 てか、足音と、扉を明け閉めする音が聞こえるわけ。

 しかも、一部屋ずつ確認して回ってるみたいで、引き出しとかカーテンを動かす音もする。

 とうとう俺が隠れている部屋に来ちゃって。

 二人してどうする、どうしようって、プチパニックだよ。

 トテトテトテ……って足音が、隠れてる押し入れの前で止まってさー、息殺してどれくらい待ったんだろうね?結構長く感じたなー。

 でも押し入れは開けられずに、またトテトテトテ……って足音が部屋を出ていったのが聞こえた。

 扉が閉まる音がしたのを確認してすぐに一緒に隠れてた奴が、もう終わらせようっていうからさー、押し入れから出てぬいぐるみ探したんだよー。

「ん?何でぬいぐるみ探すんだ?」

 一人かくれんぼって、ぬいぐるみ見つけないと終わらないんだよー。

 でも、ぬいぐるみが見つからないんだよぉ。引き出しも一個ずつ開けて確認するぐらい念入りに探したけど、家のどこにもなかった。どれだけ探してもないから、昨日は一端諦めて明日……つまり今日探そうねぇってなったの。

「だったらこんなとこいないで、探しに行けよ。一緒にやったって奴も待ってるだろ。」

 うん、ソレなんだよねー。

 俺さ、秋川ちゃんからの断りメール見てないの。てか、そんなメール送ってたのなんて、さっき初めて聞いたしぃ。

 てか、こんな遊びに誘えるのって、秋川ちゃんしかいないからね、秋川ちゃんにだけメールしたら、お返事メールはなかったケド家に来たんだよー。

 だから、昨日、かくれんぼしたのって、秋川ちゃんとのはずだったのに。

 一緒に押し入れに隠れてたのって、本当は誰だったんだろーね?

「秋川ちゃんにだから話せる話をしちゃったのに、見知らぬ相手に秘密の話聞かれてたとか……マイハートがまじブロークンなんだけどー。」

「待ち合わせ場所に立ち続けてたせいで、通報された俺のほうが心折れてる。」

「うっわ、それキツイ。笑えないねぇ」

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