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東方思喪人~the whereabout of fantasy~  作者: 蒼月
序章 記憶の無い男
3/3

人里

すんませんしたーー!主人公の名前をとある人に決めてもらうのに1ヶ月近くかかってしまいました。

そのかわり、前より量が多くなっております。文章が良くなっています。多分!

それではどうぞ!

俺はわかさぎ姫におしえられた道の上を歩いている。

しばらく歩いているとそれらしい集落が目に入った。


 「...やっと着いた」


わかさぎ姫と別れてからあまり時間はたってはいなかったがもう日が沈みかけている。さすがに野宿は勘弁したい。よそ者の俺でも泊めてくれるところがあればいいんだが。



人里の入り口の辺りに門番らしき人がいる。年は30代後半ぐらいの男性で門番らしい格好をしている。また、腰の帯に刀を提げている。


 「そこの君、見ない顔だな。どうかしたのか?」


 「実は.....」


俺はこれまでのことを話した。面倒なことにならないように唐傘お化けの女の子やわかさぎ姫については伏せておいた。


 「そうか。それは大変だったな。今宵は満月か......ならば阿求殿のところに行くと良いだろう」


 「阿求?」


 「そうだ。稗田家の九代目現当主、稗田阿求。あの方なら君を向かい入れてくれるだろう」


 「わかりました。その人のところへ行ってみます。...見ず知らずの俺にありがとうございます」


 「気にするな。この人里では助け合うのは当たり前のことだ。何かあったら気にせず誰かに頼ればいい」


この人里には友好的な人が多いようだ。この門番の人も実際いい人だったわけだし。


 「阿求殿の屋敷へはこのまま真っ直ぐ進めば見えてくるはずだ。屋敷に来る経緯を聞かれたら黒田の紹介とでも言っておくといい」


 「本当にありがとうございます。黒田さん」


俺は黒田という門番に礼を言って、紹介された稗田家に向かった。





途中で広場に着いた。その広場の真ん中には龍をかたどった石像が設置されている。日が沈みかけている時間のためか、誰一人としていない。


 「こんなところで一人っていうのは寂しいな。昼間はどのくらい賑やかなんだろ......」


広い場所に一人でいるのは正直言って寂しい。


 「こんなこと言っても答えてくれる相手がいないんじゃあどうしようもないけどな」


 「なら、私が話相手になりましょうか?」


一人で寂しさを紛らわすように喋っていたらマントによって口元が隠れた少女に話掛けられた。

その少女は表地が赤で裏地が青のマントと黒い服を着ていて赤いスカートに黒いブーツを穿いている。髪は赤いショートカットで大きめの青いリボンを付けている。また、リボンと服、ブーツにそれぞれ赤い刺繍が施されている。


 「それはうれしいね。ところであんたはどちらさんかな?」


人の住む地まで来た安心感からか軽い口調で返す。


 「人に名前を尋ねる時は自分から言うのが礼儀じゃないかしら?」


 「確かにな。だが、わけあって今は名乗る名前がないんだ」


 「それはいったいどういうわけなの?」


 「記憶喪失とか」


 「別の名前でも名乗ったら」


記憶喪失ってそうそう起きることじゃないよな?驚かれるどころかすぐに納得されるし......幻想郷に住んでいる人達は疑いっていうものを知らないなのだろうか?それとも幻想郷では記憶喪失ってよく起こることなのか?


 「考えておくよ。......それより俺に何か用があったんじゃないか?」


見知らぬ人に話掛けるのだから何かしらの用があるんだろう。


 「別にもういいわ。見慣れない人がいたから気になっただけ」 


 「そうですか」


 「......気をつけなさい。ここは幻想郷、人ならざるものが住む地。人間は妖怪に襲われて簡単に死んでしまうわ」


 「幻想郷はそんなに危険なところなのか?とてもそうは思えないんだが......実際、俺が今日出会った妖怪は人を襲うような奴らには見えなかった」


といっても俺が会ったのは唐傘お化けとわかさぎ姫だけだが......


 「それはただ運が良かっただけよ。あなたが遭った妖怪のように人間に対して友好的な妖怪もいる。でも、その逆もまたあるのよ」


 「確かにそうだな。なら、妖怪に襲われたら俺たち人はどうすればいいんだ?」


 「そのくらいは自分で考えなさい」


それくらい教えてくれてもいいと思うんだが......さて、そろそろ気になってることを聞いてみようか。


 「あんたに教えてもらえれば幻想郷で長生き出来そうなんだがな。そっち側のことが聞けるとこちらとしても助かるんだ。妖怪さん?」


 「......いつから気づいていたのかしら?」


少女が若干驚いた素振りを見せた。


 「あんたが俺に注意を促した辺りからかな。自分のことのように喋ってなかったような気がしたからなんとなくだが......


正直、当たってなかったらかなり失礼で恥ずかしいね。


 「勘がなかなか鋭いのね。でも、だとしたらあなたは今ここで私に殺されるのよ?」


着ているマントのせいで口元がよく見えないがその顔は不気味な笑みを浮かべ、その目はしっかりと俺を捉えている。


 「それはない」


俺は少女の言葉にそう言い放った。


 「なぜそう言い切れるのかしら?」


 「見ず知らずの人間に親切にあれこれ教えてくれる妖怪が人を襲うとは思えない」


 「は?」


 「あんたみたいなお人好しが人を襲うわけがないって言ってるんだが?」


 「......なにを言っているの?」


少女が意味が分からないという顔をして聞いてくる。


 「何度でも言ってやるさ。あんたは俺を殺さない。......俺はあんたを信じられる」


しばらくの沈黙が訪れる。よく考えてみたらなぜ俺はこんな恥ずかしい台詞を口にしているんだろうか?


 「......はぁ、私は変な奴に話掛けちゃったわけね」


大きな溜め息を吐かれる。っていうか変な奴とはなんだ!自覚してるけどさ!


 「気が削がれたわ。私はこれで帰らせてもらうわね」


 「なんか突然だな」


 「私の勝手よ。......生きていたければ里から出ないことね」


 「里の中では妖怪に襲われないのか?」


 「ええ、基本的にはね。理由は説明するのがめんどくさいから聞かないで」


そう言われるとすごく聞きたくなるんだが......というかそうすると俺が今さっき発言した言葉はかなり恥ずかしいだけじゃないか!


 「わかった。他の誰かに聞くよ。あんたばかりに迷惑かけるわけにはいかないしな」


 「そう。......次に会うときには名前、考えておきなさい」


 「ああ、またな」


そうして少女は去っていった。

とりあえずいやだとは思われてないみたいだな。気がつけばまた会う約束してるしね。

彼女が言っていたことが本当ならば幻想郷で生きることは大変なのだろう。だが、不思議と俺の心はその不安など欠片も残されていなかった。


 「あっ......名前聞いてない」







その後、歩いているとすぐに一際大きい屋敷が目に付いた。表札には稗田と書いてある。


 「ここで間違いないみたいだな。...すみませーん!誰かいないでしょうか?」


俺は扉の前に来ると屋敷の中に呼びかけた。すると少し間をおいてから扉が開けられた。


 「はい?どちら様でしょうか?」


中から少女が出てきた。その少女は若草色の長着の上に袖の部分に花が描かれた黄色い羽織りで赤いスカートを穿いている。髪は紫色のセミロングで山茶花と思われる花飾りを付けている。


 「黒田さんの紹介で稗田阿求という人を訪ねてきた者なのですが、阿求さんはいますか?」


 「阿求なら私ですが何かご用でしょうか?」


 「......はい?」


どういうことだ?俺よりも若い女の子がこのでっかい屋敷の主だと言うのか!?俺は家がないんだぞ!!


 「あなたが阿求さんですか?」


 「はい。私が稗田家九代目現当主、稗田阿求です」


いい笑顔でそう言われた。







 「そうだったんですか。大変でしたね」


 「ええ、まあいろいろと......」


あの後、この子が阿求だということを理解して事情を話した。そうしたらしばらくの間はここに泊めてくれるそうだ。阿求は黒田さんの言っていた通りかなりいい人だった。将来、阿求の旦那になる奴が羨ましい。


 「そういえば、しばらくの間はここにいるんですし、名前が必要になりますね。思い出すまで待つわけにはいきませんし......どうするんですか?」


 「とりあえず別の名前でも名乗ろうかと思います」


 「何かいい名前思いついているんですか?」


 「いや、ひとつもないですね。......阿求さんは何かいい名前ありますか?」


全然思いつかないので阿求に丸投げしてみた。


 「え?私がつけてもいいんですか?」


 「思い出すまでの間ですから大丈夫ですよ。でも変な名前は勘弁してくださいね」


阿求なら変な名前を付けることもないだろうしこれで俺の名前が決まる。やったね!俺!


 「それじゃあポチなんてどうでしょうかね?」


 「やっぱり自分で考えます」


阿求がいい笑顔で名前を提案してきたが俺は即答して拒否した。人に丸投げは良くないね!


 「ふふ、冗談ですよ。ちゃんとしたものを考えてあります。下の名前だけですけど」


 「...本当ですか?」


 「本当です」


本当かなぁ?ちょっと疑いの眼差しで阿求を見る。そうすると阿求が穏やかな表情をして口を開いた。


 「かなめ。記憶が無くなったとしてもあなた自身が変わるわけではない。あなたには自分の気持ちを大事にしてもらいたい。重要にしてほしい。私はそう思うのでそういう意味を込めてこの名前を考えました。どうでしょうか?」


 「...」


 「あれ?...もしかしていやでしたか?これは本気で考えたんですけど...」


 「いや、違うんです。そこまで考えてくれていたとはと感動してしまったんですよ」


心の中思わずであっきゅん愛してるZE!って言いそうになった自分がいる。他にもう少し男らしい名前をつけて欲しかったと思った自分がいるような気がするがそんなことは気のせいだ。


 「ありがとうございます。今日から俺は要と名乗らせもらいますね」


 「気にいってくれたみたいで光栄です」


そういうと阿求が手を前に出してきた。


 「?」


 「しばらくの間は一緒に暮らすわけですし、これからよろしくお願いします。要さん」


 「こちらこそよろしくお願いします。阿求さん」


そういうと俺は阿求の手を握ろうとした。が、寸前でその手は避けられた。


 「素で構いませんよ。要さん」


 「わかったよ。それなら阿求も「私はこれが素なので」ならいいか」


 「ふふ、それでは改めまして......これからよろしくお願いします。要さん」


阿求は俺にもう一度握手を要求してきた。


 「ああ、これからよろしく。阿求」


俺は今度はしっかり阿求と握手をした。そのときの阿求は穏やかな笑みを浮かべていた。きっと俺も笑っていたと思う。幻想郷で過ごす俺の日々が始まる。俺は幻想郷をよく知らないがきっとそれはとても楽しい日々になると確信していた。




それから苗字をどうするかとか幻想郷について聞こうと話を振ったが苗字はこれから過ごしてから自分に合った苗字をつけたらいいのでは?という結論に至った。つまりしばらくの間、俺の名前はただの要ってことだね!幻想郷については幻想郷で最も大事なことを知る必要があるとかなんとかでまた明日に教えてくれるそうだ。その後、晩御飯を食べたり、風呂に入ったりした後に寝て今日という日を終えた。

というわけでここで終わります!

どうだったでしょうか?少しは良くなっていると思うのですが......

阿求「作者さん」

おや、阿求じゃないですか!どうしたんですか?

阿求「前書きのときに要さんの名前がなかなか決まらないからって私のせいにしましたよね?」

ギク!えっと...それはですね......

阿求「自分の責任を人になすりつけないでください!このダメ作者!」

ぐふッ......ガク

阿求「しまった!ガラスのハートの作者さんが気絶しまいました!これから遅れを取り戻していけないのに......とりあえず、次回は要さんに幻想郷についてお話をします!期待せずに待っていてくださいね」

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