目覚め、そして初めての友達
第2話書けました!と言っても3500文字程度なんですけどね。話が短いけど許してください!
今回はあの方との会話がメインです。どうぞ!
「う~ん」...眩しい。
太陽の光が差し込んで自分の意識が覚醒し始める。
背中に柔らかな草の感触がする。
どうやら俺は仰向けになって寝ているようだ。
重たい瞼をゆっくりと開きながら上体を起こす。
「ふっ」
その後、両手を上げて起こした
上体だけで背伸びをする。ふぅ...すっきりした。
「ここは...どこだ?」
座ったまま辺りを見回してみる。
しかし、どこもかしこも知らぬ場所。
それどころか、何ひとつとして記憶がない。
前のあの夢は本当だった。
「...」
俺は自分の状況に呆然とする。
これからどうするか...
これからのことを考える。が、
ぐうぅぅー
という効果音がした。
「はぁ」
このままでは飢え死にか。
食料を探すか、人を探すか......
自給自足できる環境があればよし。
人の住む場所が見つかればよし。
......こんなところかな。
目的を決めた俺は行動を起こすため、もう一度辺りを見回す。俺が今いる場所はそれなりに広い草原。この辺には何もない。遠くを見ると二つの森が確認できた。一方は昼間にも関わらず、森の中が暗い。じめじめしているのか?もう一方はいたって普通の森だが、その向こうには霧が立ち込めている。湖でもあるのか?
青年思考中...
向こうの暗い森には人がいるとは思えないな。いたとしても普通ではないだろう。食料に限ってはキノコぐらいしか想像できない。なら向こうはどうだろうか。あちらの森なら木の実が熟しているかもしれない。それにもしも湖があるとすれば人がいるかもしれない。昔から人類が発展する場所の傍らには水が存在する。それに魚が捕れるかもしれない。...食べられる淡水魚ってなんだったかな?
「とりあえず行ってみるか」
俺は霧が発生する森へと足を進めた。
その後、歩き始めて数分。大体中継地点ぐらいにまで行くと腰掛けるのにちょうどいい切り株が目に入った。
「ちょっと休憩とするか」
俺は切り株に腰掛けて青空を見上げた。
そういえば......俺って誰だ?さっきから一人称を「俺」で済ませたから気にしなかったが自分の名前がわからない。ひょっとしてこれは由々しき事態ではないだろうか?人に出会った時、「お前は何者だ?名を名乗れ」とか言われたら返答できない。記憶が無いことを言っても怪しまれるのは確実だ。
そんなことを考えていると
「驚けー!」
「えっ?」
背後からいきなり明るい声色で驚かされた。
その声を聞いて振り向くと左目が赤、右目が水色のオッドアイ。髪は水色のショートボブ。上は白の長袖シャツに水色のベストのようなものを着ている。下は水色のスカートで下駄を着用している。また、大きな一つ目と舌が特徴で持ち手の部分に下駄が付いた紫色の傘を手にした少女がいた。
「ねえ、驚いた?」
少女が子供っぽい笑みを浮かべて聞いてくる。
突然の出来事に俺は一瞬きょとんとしてしまった。
「ああ、驚かされたよ」
主に可愛い女の子が見ず知らずの男を驚かすことに関してだが。いや、ここではそれが常識なのだろうか?そもそもその傘はファッションかなにかなのだろうか?
「本当に!?よし、この調子で驚かすぞおー!」
彼女は俺の目の前で感情を露わにして喜んだ。ついでに俺はここではそれが常識であるような気がしてしまったよ。
「それじゃあまたね!」
俺はいろいろ気になって去ろうとする彼女を呼び止めようするがその瞬間、俺は息を呑んだ。何故なら彼女が空を飛んでいったからだ。
俺はその光景を見て理解した。
俺は記憶以外にも常識の一部を忘れてしまったようだ。人って実は飛べたんだな。さすがにいきなり人を驚かすことが常識だとは思えないが...
とりあえず俺も飛べるはずだ!
実際にやってみたら飛べと念じるだけで飛ぶことができてしまった。意外と簡単だな。その後、俺は気づいた。彼女から人の住んでいる場所を聞き忘れたことに。
そんなこともあったが俺は向かっていた森の中を歩いている。途中に林檎が成っている木があったため、幾つかもらって腹ごしらえをさせてもらった。これでしばらくの間は大丈夫だろう。
そこまで森は深くなく、すぐに通り抜けて霧の発生地点に着いた。そこには霧に覆われた湖があった。どのくらいの大きさかは霧のせいでわからない。
俺は湖に近づいて水面を覗き込む。そこには深い青色の肩に届かない程度の縦ロールの髪型で耳の辺りにヒレのようなものが付いた美しい女性が驚いた表情で映っていた。
これが俺なのか......はい?
俺はそのまま水面に映った顔を見つめて考える。あれ?俺は確か男だったはず、ここまでで喋った時の声は中性的だった気もするがまさか俺は女の子だったのか!?
いや、そうだとしても俺の耳にヒレは付いていない。 ということは......
これどういうこと?
①まだ夢の中で実は夢オチ
②男だと思ったが気のせいだ
③美しい人魚が水面から見つめている
④なんらかによる精神の末期症状
⑤あなたの幻想です
いったいどれなんd
「あの...」
「はい?」
考えている最中に水面から声がして驚いたが反射的に聞き返す形で答えた。
「どちら様でしょうか?」
こっちのセリフです。いや、それよりも
水面から女性が浮かび上がってきた。
その女性はさっきの顔の特徴に加え、服装は全体的に深緑色の和装。スカートのようなものを穿いており、布が鱗のように重なっている。その内の一枚だけ薄い灰色をしている。また、肩紐とスカートの裾全体に白いフリルがふんだんに使われている。
どうやら彼女は人魚のようだ。水面に尾ヒレが見え隠れしている。それにしても人魚って実在したのか。いや、もしかしたらそれも当たり前なのかもしれない。
「道に迷ったものでして...怪しい者ではありません」
とりあえず無難にそう答えておく。
「ところであなたは?」
その後、俺の好奇心が次の言葉を口にしていた。
「私はわかさぎ姫。この湖に住む人魚です」
目の前の人魚はわかさぎ姫というらしい。この湖に住んでいるというのならこの近辺に詳しいはず。早速それをk
「あなたのお名前は?」
「...」
俺はその問いに口を閉ざした。
聞かれてしまった...なんて答えればいいのやら。俺は今の自分の名前がわからない。どうしよう...
「えと...すいません。言いたくないのなら別に...」
なんかものすごく悪いことをしたような気がする。彼女にめちゃくちゃ気を遣わせてしまっている。この際、洗いざらい全部喋った方が良いのかもしれない。
「いや、すいません。......わからないんです」
「え?」
「実は俺、記憶喪失のようで...自分のことも周りのことも何一つわからないんです」
とりあえず目の前の彼女に打ち明けてみた。
「そうだったんですか...だから私を見ても驚かなかったんですね」
「え?」
「私、人間に見つかったのは初めてなんですよ」
なん...だと。ということは人魚がいるのは当たり前じゃないのか。良かった俺の頭が正常で...。いや、それより
「人間にというのは?」
「あっ、そういえばここがどこなのかもわからないんですよね」
「はい。...なにも」
「ここは幻想郷。博霊大結界に包まれた幻想の生き物たちが暮らす楽園です」
「幻想郷...」
つまり、......どういうこと?
「ここには妖精や妖怪、神霊などの多種族が共存しています。勿論、人も暮らしていますよ」
「そうなんですか」
そんなところだったのか。道中で妖怪に遭わなく良かったな。ん?あの女の子は妖怪だったのか?あの傘からして唐傘お化けかな。まあ人もいるのならこれから先もなんとかなるだろう。
「あなたはこれから先どうするんですか?」
「住める場所を探します。人がいるのなら人の集落もありそうですし、とりあえずそこへ」
「それならここを真っ直ぐ進むと道が見えるはずですから、その道にそって行けば人里に着くはずです」
この人めちゃくちゃ優しいな。こんなに親身になってくれるなんて...今度なにかお礼をしよう。
「何から何までありがとうございます」
「いえ、私の人間での初めての友達ですし」
「友達?」
「あれ、もしかして私と友達なのはいやですか?」
わかさぎ姫がちょっと涙目になっている。
なにこれ可愛い。
「ふふ、いえそんなことは。あなたみたいに綺麗な人なら光栄です」
「なっ!」
そう言うとわかさぎ姫の顔が赤くなった。
「かっ...からかわないでください!」
「えっ?割と本気ですが?」
「...」
黙られてしまった。
なんかもっと赤くなっているような...
「全くもう...それと...」
「ん?」
「敬語は止めません?」
「ああ...君がそれでいいのなら。...こんなかんじ?」
「ええ。これからよろしくね」
「これからよろしく」
そんなことを話してわかさぎ姫と別れた。記憶喪失になってどうなるかちょっと不安だったが、全く...いい友達ができたもんだ。
俺はわかさぎ姫におしえられた道にそって歩いた。
その後、わかさぎ姫は...
ふふ、私に人間の友達ができるなんて...あの人、次はいつ来てくれるかな?...あら?そういえば男性の人と話したのはあの人が初めてだったかしら?......深く考えるのは止めましょう...
というわけで今回、唐傘お化けの子とわかさぎ姫が登場しました!唐傘お化けの子はまだ名前がわかっていないのでこうしときます!
どうだったでしょうか?やっぱり話が短かったですかね?
後半のわかさぎ姫との会話は私個人としては楽しく書かせてもらいました!もうヒロイン候補です!フラグ建築早すぎましたかね?
あと、わからない点やここはもっとこうした方がいいなどの指摘がある場合、
作者におしえてください!一話何文字など。
作者の文章力が上がる可能性があります。
それでは皆さんまた次回をよろしくお願いします!
あ、次回は人里に入ります。