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序章
今から思えば、彼との出会いが転機だったのだろう。
いかに自分が嘘吐きであるか。いかに自分が無力であるか。それを見つめ直すきっかけだったのだ。
私より酷い大嘘吐きな彼にそれを教えられたのは、皮肉かといえばそうなってしまうのだが。
それにしても、彼から見た私はどれほど無様な嘘を吐いていたのだろう。強がりの権化たる彼には片腹痛い茶番だったろうか。
もう確かめる術はないし、今更訊く気はまったくないのだが。しかし、気になるところではある。
まあそれはさておき。これから私が話すのは、そんな彼の話だ。
赤い稲妻を身にまとい、静動二つの心を内に秘めた改造人間。
などと書くとまるで特撮に出てくるヒーローなのだが、事実なのだからしょうがない。
主役の紹介も終わったところで。それでは、しばらくお付き合いの程をお願いします。