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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ポンコツを演じたら、なぜか全てが大勝利に転がっていくんですけど? ~公爵様、その盛大な勘違いを解いてから、離婚届にハンコを押してください!~

作者: ちいもふ
掲載日:2026/06/20

 氷の公爵と名高い辺境伯・アルフレッドの屋敷に、嫁ぎ先が決まった。


 三ヶ月後の契約満了で離婚する――それが私の目的だ。


「アルフレッド様。私は無能な田舎貴族の娘ですので、どうか放置してくださいませ」


 華奢きゃしゃなフリをして、わざとティーカップを床に落とす。


「教養のないポンコツ」認定は確実だ。


 だが、カップが割れる拍子に、床に隠されていたはずの「公爵暗殺用の毒針」を偶然踏み抜いて、弾き飛ばしてしまった。


「……なっ!?」


 アルフレッドが目をく。


 すかさず、「きゃあ、ドジを踏んでしまいましたわ!」と、わざとらしく悲鳴を上げた。


 アルフレッドは、暗殺者の毒針と私を交互に見る。


 瞳に浮かんだのは、軽蔑けいべつではなく、衝撃と「何かを確信したような」光だった。



 ――それからというもの、「ポンコツ作戦」は全て裏目に出始めた。



 庭のバラを剪定せんていしようとして転んだら、スパイが仕掛けた隠しカメラを蹴り飛ばして、破壊してしまった。


 執務室で大量の書類をぶちまけてしまった時は、公爵家を揺るがす裏切り者の密書を露呈させてしまった。


 そのたびにアルフレッドは、私の手を取り、熱っぽい瞳で告げるのだ。


「これほど完璧な立ち回りで敵をあぶり出すとは……! 君は俺の命を守るために、わざとポンコツを演じていたんだな?」


「い、いえ、違いますわ。ただ転んだだけです」


「照れなくていい。君の『天然に見せた知略』、心底惚れ直した。離婚などと言わず、一生俺の隣で才覚を振るってくれ!」


 アルフレッドは、私の離婚届をシュレッダーにかけて、満足げに微笑む。


 いや、違う。


 本当にただ転んだだけなんです。


 最強の武術家であり、前世で「運」のステータスだけはMAXだった私だが、まさかこんな形で、「知略家」だと勘違いされ、囲い込まれるとは。


「さあ、今日は俺の隣で、我が領地の敵を全滅させてくれ。ポンコツな君をもっと見ていたいからな」


 離婚プランは、どうやら運命という名のバグによって、完全に握りつぶされてしまったらしい。


 今日も私は、わざと転んで、なぜか領地の危機を救ってしまう――最強で不運な(?)公爵夫人の生活は、まだまだ続きそうだ。

 「ポンコツを装っているのに、なぜか最強になってしまうヒロイン」を書いてみたくなりました!


 公爵様の勘違いっぷりを楽しんでいただければ幸いです。


 「ポンコツなのに運だけは最強」という、ちょっとズルいヒロインですが、この後もきっと公爵様に溺愛されながら、無自覚に領地を救っていくのだと思います(笑)


 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

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