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パーティー募集.3

「うーん……」


 面談が終わり、ギルドを出て実戦形式の場へと向かう俺達。


 思った通り、簡単に希望しているような仲間は見つからない。


 面談に来てくれたのは数名。主に回復職と支援職の人だった。どの人も正直な所今ひとつ、と言わざるをえなかった。熱意は感じたんだけどなぁ。今回はすみませんと丁寧に断りを入れるのが、依頼した側なのに逆に辛かった。


「状態異常を回復出来る方、あの人は良いかもと思ってしまいました。私は外傷しか治せませんし……」


「状態異常の回復に特化しているって話だったからね」


 同席していたアメルはそう話すが、状態異常にしてくる魔物はセバンタートにはいないはず。ダンジョンにもいるか怪しい程。


 現状、アメルが居てくれれば、回復は問題ないと思う。


 支援職の人も、全体的に身体能力がちょっと上がる程度だった。鍛えれば向上効果も伸びるんだろうけど、即戦力とはなりづらい。後、詠唱が長かった。


「お待ちしていました、カイル君」


 城下へ入り、騎士団本部前で出迎えてくれたのはシュヴァリエさん。騎士団副団長であり、鎧の装飾が相変わらず目立っている。


「今回は協力して頂き、ありがとうございます」


「いえ。私個人も興味があるんです。【従魔士】としての貴方の実力に」


 期待していますよ? と急に微笑まれ慌ててしまった。シュヴァリエさんは、そんな俺の様子を見て苦笑してながらも、付いてきて下さいと役割である案内をしてくれた。


 通されたのは開けた広場の様な所。円形になっており、ここが訓練場なんだろう。見上げると、ここを見下ろせる閲覧席の様な椅子が配置されており、騎士団や住民が既に座っていた。中には、貴族と思わしき服装の方もちらほらいるようだ。


 少し待っていると、続々と希望者が訓練場へ入ってくる。


「定刻です! これより、ウィズテーラスの依頼、パーティーメンバー募集、その実戦形式を開始します!」


 シュヴァリエさんの号令で、訓練場内が熱気に包まれる。ではカイル君、説明を、と俺に主導を渡してくれた。


「ウィズテーラス、リーダーのカイルです! 実戦形式の内容としては、俺か従魔であるリリ、またはライム、いずれかを選んで戦闘をしてもらい、明確な一撃が入った時点で合否判定とします! 後衛職であるアメルは、見学の形を取らせて頂きます。では順にお呼びします。まずーー」


 そう言って最初に呼んだのは、あの日、アミカさんを馬鹿にした男の一人だった。職業は【戦士】と言ってたっけ。


「よう、リーダー。わざわざ依頼を出してくれてありがとよ。これで、俺の顔も都市に売れるってもんだ」


 そう言ってニヤついて来る男。俺は努めて冷静に話し掛けた。


「……最初ですので、貴方はうちのパーティーで看板になりつつある、ライムと戦ってもらいます」


「あ? こっちで決めれねぇのか? どうせなら、あの姉ちゃんが良かったんだがな」


「明確な一撃、と皆さんには伝えましたが……一撃でも当たった時点で、貴方をパーティーの一員として迎えます」


 そう告げると、男の眼が開かれる。


「……そうかい。パーティーになるのは確定してる訳だ。お膳立てが上手ぇじゃねぇか、リーダー」


 頼んだぜといい、男はそのまま訓練場中央へと向かっていく。


「ライム」


「おー?」


「今言った通りだ……一撃も食らうな。とはいえ、ジェシカさんに言われてるし大怪我もさせちゃいけない。怪我をさせないで、向こうにコイツらとは二度と戦いたくないと思わせるんだ。出来るか? ……いや、やってくれ」


 頼むと伝えた。これはお願いじゃなくて、半ば命令に近い。流石に嫌がるか? と思ったがライムはいつもの調子でこう言った。


「わかったー!」


 そのまま跳ねながら、男が待つ中央へと向かっていった。

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